電信法(明治33年法律第59号)

目次

1.解説

本法令は明治33年から昭和28年までの間に施行された、電気通信に関する基本法です。現在の電気通信事業法・有線電気通信法から見て、直系の祖先に当たります。(電信法→公衆電気通信法・有線電気通信法→電気通信事業法)

これ以前は、伝信機の布告(明治2年)日本帝国電信条例(明治7年)、電信条例(明治18年)が代表的な法令。

無線通信分野については、当初のうち本法の大部分を使い回す準用をしていましたが、大正4年に無線電信法が制定されて独立。その他には電信線電話線建設条例(明治23年)と軍事用の特別立法(軍用電信法→軍用電気通信法)がありました。

本ページの漢字表現はなるべく旧字体(いわゆる康煕字典体)に近づましたが、、あまり正確ではありません。必要に応じてノートの原本を参照してください。

○電信法(明治33年制定時)

朕帝國議會ノ協賛ヲ經タル電信法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名 御璽

明治三十三年三月十三日

内閣總理大臣 侯爵 山縣有朋

遞信大臣 子爵 芳川顕正

法律第五十九號
電信法
  1. 第一條
    1. 電信及電話ハ政府之ヲ管掌ス
  2. 第二條
    1. 左ニ揭クル電信又ハ電話ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ私設スルコトヲ得
      1.  一邸宅内若ハ一構内ニ於テ專用ニ供スル爲施設スルモノ
      2.  鐵道業其ノ他電信電話ノ專用ヲ必要トスル事業ノ爲施設スルモノ
      3.  公共團體ノ事務執行ノ爲一市區町村内若ハ鄰接市區町村間ニ於テ公署相互間又ハ一郡市區内ニ於テ公署ト第一次監督官廳トノ間ニ施設スルモノ
      4.  電報送受ノ目的ヲ以テ一人ノ專用ニ供スル爲電信官署トノ間ニ施設スルモノ
      5.  一市區町村内若ハ鄰接市區町村間ニ於テ又ハ電信電話ノ連絡ナク且第四號ニ依ルヲ不適當トスル市區町村間ニ於テ一人又ハ一營業ノ專用ニ供スル爲施設スルモノ
  3. 第三條
    1. 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ニ依リ施設シタル電信又ハ電話ヲ公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ノ用ニ供セシムルコトヲ得
    2. 前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣ハ吏員ヲ派遣シテ其ノ取扱ヲ爲サシムルコトヲ得
  4. 第四條
    1. 主務大臣ハ公安ノ爲必要ト認ムルトキハ區域ヲ定メ電信又ハ電話ニ依ル通信ヲ停止若ハ制限スルコトヲ得
  5. 第五條
    1. 電信又ハ電話ニ依ル通信ニシテ公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壊亂スルモノト認ムルトキハ主務大臣ノ指定シタル電信官署又ハ電話官署ニ於テ之ヲ停止スルコトヲ得
  6. 第六條
    1. 職務執行中ノ電信又ハ電話ノ工夫配達人及配達用車馬等ハ道路ニ障碍アリテ通行シ難キ場合ニ於テ墻壁又ハ欄柵ナキ宅地田畑其ノ他ノ場所ヲ通行スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ政府ハ被害者ノ請求ニ因リ其ノ損害ノ賠償ヲ爲スヘシ
  7. 第七條
    1. 職務執行中ノ電信又ハ電話ノ工夫配達人及配達用舟車馬等事故ニ遭遇シタル場合ニ於テ電信又ハ電話ノ工夫配達人若ハ吏員ヨリ助力ヲ求メラレタル者ハ正當ナ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス此ノ場合ニ於テハ政府ハ助力者ノ請求ニ因リ相当ノ報酬ヲ爲スヘシ
  8. 第八條
    1. 職務執行中ノ電信又ハ電話ノ工夫配達人及配達用舟車馬等ニ對シテハ渡津、運河、道路、橋梁其ノ他ノ場所ニ於ケル通行錢ヲ請求スルコトヲ得ス
    2. 前項ノ工夫及配達人ハ何時ニテモ渡津ノ出船ヲ求ムルコトヲ得
  9. 第九條
    1. 政府ハ電信又ハ電話ノ用ニ供スル爲鐵道用地及停車場建物ノ一部ヲ使用シ必要アルトキハ建物ノ建築又ハ改築ヲ命スルコトヲ得
    2. 前項ノ場合ニ於テ土地建物ノ使用料及建築改築ノ費用ハ請求ニ因リ政府之ヲ支給ス
  10. 第十條
    1. 政府カ鐵道用地内ニ電信線又ハ電話線ヲ施設シタルトキハ使用料ヲ支給セス
  11. 第十一條
    1. 電信若ハ電話專用ノ物件又ハ現ニ其ノ用ニ供スル物件ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス
    2. 前項專用ノ物件ハ何等ノ賦課ヲ受クルコトナシ
  12. 第十二條
    1. 電信又ハ電話取扱ニ關シ電信官署又ハ電話官署ニ對シテ無能力者ノ爲シタル行爲ハ能力者ノ爲シタルモノト看做ス
  13. 第十三條
    1. 電報ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外其ノ宛所ニ配達ス
  14. 第十四條
    1. 電報ハ命令ヲ以テ定ムル場合ニ限リ發信人ノ請求ニ因リ其ノ送達ヲ停止スルコトヲ得
  15. 第十五條
    1. 宛所ニ配達シ又ハ受信人ニ交付シ得サル電報ハ之ヲ公示ス其ノ公示ノ日ヨリ三十日間ニ交付ノ請求ナキトキハ之ヲ棄却ス
  16. 第十六條
    1. 電信官署ニ於テ必要ト認ムルトキハ發信人ニ對シ其ノ電報ニ用ヰタル祕辭隱語ノ說明ヲ求ムルコトヲ得發信人若其ノ說明ヲ拒ミタルトキハ其ノ電報ノ取扱ヲ拒絶ス
  17. 第十七條
    1. 電信又ハ電話ニ關スル料金及電信又ハ電話ニ依ル通信ノ取扱ニ必要ナル制限ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
  18. 第十八條
    1. 電信又ハ電話ニ關スル旣納及過納ノ料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外之ヲ還付セス
  19. 第十九條
    1. 發信人ニ於テ前内スヘキ電信ニ關スル料金ニ不足アルトキハ發信人ヨリ其ノ不足額ノ二倍ノ料金ヲ徵收ス
  20. 第二十條
    1. 電信又ハ電話ニ關スル料金内付ノ義務ハ其ノ内付スヘキ日ヨリ六箇月内ニ内付ノ吿知ヲ受ケサルニ因リテ消滅ス
  21. 第二十一條
    1. 電信又ハ電話ニ關スル料金ノ不内金額ハ電信官署又ハ電話官署ニ於テ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ徵收ス
    2. 前項ノ不納金額ニ付電信官署又ハ電話官署ハ國稅ニ次キ先取特權ヲ有ス
  22. 第二十二條
    1. 電信又ハ電話ニ依ル通信ニシテ電信、電話及郵便、郵便爲替、郵便貯金ノ事務又ハ氣象報吿ニ關スルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ無料ト爲スコトヲ得
  23. 第二十三條
    1. 電信又ハ電話ニ關スル料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外郵便切手ヲ以テ内付スヘシ
  24. 第二十四條
    1. 電信又ハ電話ノ取扱ニ關シテハ政府ハ損害賠償ノ責ニ任セス
  25. 第二十五條
    1. 本法ニ依ル損害賠償又ハ報酬ノ請求權ハ主務大臣ノ指定シタル電信官署又ハ電話官署ニ對シ其ノ事實アリタル日ヨリ三箇月間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス
  26. 第二十六條
    1. 電信官署若ハ電話官署ノ賠償又ハ報酬ニ關スル決定ニ對シ不服アル者ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三箇月以内ニ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  27. 第二十七條
    1. 權利ナクシテ電信若ハ電話ヲ私設シタル者又ハ權利ヲ失ヒタル後主務官署ノ指定シタル期間内ニ私設ノ電信若ハ電話ヲ撤去セサル者ハ五圓以上百圓以下ノ罰金ニ處シ其ノ電信線又ハ電話線及電信又ハ電話ノ機器ヲ沒收ス
    2. 前項ノ場合ニ於テ其ノ電信又ハ電話ヲ他人ノ用ニ供シ因テ金錢物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ沒收ス旣ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徵ス
    3. 第一項ノ電信又ハ電話ヲ使用シタル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
  28. 第二十八條
    1. 第三條第一項ニ依ル場合ヲ除クノ外私設ノ電信若ハ電話ヲ他人ノ用ニ供シタル者又ハ其ノ私設者ニアラスシテ之ヲ使用シタル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
    2. 前項ノ場合ニ於テ金錢物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ沒收ス旣ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徵ス
  29. 第二十九條
    1. 第三條第一項ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ電信若ハ電話ノ供用ヲ拒ミ又ハ第九條第一項ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ用地、建物ノ使用ヲ拒ミ若ハ建物ノ建築改築ヲ爲ササル者ハ五圓以上五百圓以下ノ罰金ニ處ス
  30. 第三十條
    1. 第六條ノ場合ニ於テ通行ヲ拒ミ又ハ第七條ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ助力ヲ拒ミ又ハ第八條ノ場合ニ於テ通行錢ヲ强要シ若ハ正當ノ理由ナクシテ渡津ノ出船ヲ拒ミタル者ハ科料ニ處ス
  31. 第三十一條
    1. 電信官署又ハ電話官署ノ取扱中ニ係ル通信ノ祕密ヲ侵シタル者ハ一月以上一年以下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
    2. 電信又ハ電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等ヲ加フ
    3. 本條ノ罪ハ被害者ノ吿訴ヲ待テ之ヲ論ス
  32. 第三十二條
    1. 不正ノ手段ヲ以テ電信又ハ電話ニ關スル料金ヲ免レ又ハ免レムトシタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
    2. 電信又ハ電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等ヲ加フ
  33. 第三十三條
    1. 自己若ハ他人ニ利益ヲ與ヘ又ハ他人ニ損害ヲ加フル目的ヲ以テ虛僞ノ電報ヲ發シタル者ハ一月以上五年以下ノ重禁錮ニ處シ五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
    2. 前項ノ場合ニ於テ電信爲替ニ要スヘキ電報ニ係ルトキハ輕懲役ニ處ス
    3. 電信事務ニ從事スル者前二項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等ヲ加フ
  34. 第三十四條
    1. 電信又ハ電話ノ事務ニ從事スル者電信官署又ハ電話官署ノ取扱中ニ係ル電信又ハ電話ノ用紙ニ貼用シタル郵便切手ヲ剝シタルトキハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス其ノ未タ消印ヲ爲ササルモノニ關シテハ刑法竊盜ノ罪ニ照シテ處斷ス
  35. 第三十五條
    1. 電信官署ノ取扱中ニ係ル電報ヲ正當ノ事由ナクシテ開披、毀損、隱匿若ハ放棄シタル者又ハ受取人ニ非サル者ニ交付シ若ハ情ヲ知リテ之ヲ受取リタル者又ハ其ノ傳送配達ヲ妨害シタル者ハ一月以上二年以下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
    2. 電信事務ニ從事スル者前項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等ヲ加フ
  36. 第三十六條
    1. 電信若ハ電話ノ事務ニ從事スル者正當ノ事由ナクシテ其ノ通信ノ取扱ヲ拒絶シ又ハ其ノ傳送ヲ遲延セシメタルトキハ四圓以上四十圓以下ノ罰金ニ處ス
  37. 第三十七條
    1. 電信線又ハ電話線其ノ他電信又ハ電話ノ機器建造物ヲ毀損シ若ハ通信ヲ障碍シタル者ハ一月以上五年以下ノ重禁錮ニ處シ五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
    2. 過失ニ因リ通信ヲ障碍シタル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
  38. 第三十八條
    1. 電信線若ハ電話線ノ建築修理又ハ線路ノ巡視測量ヲ妨害シタル者ハ一月以上二年以下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
  39. 第三十九條
    1. 電信、電話ノ線條若ハ其ノ支持物ニ物品ヲ懸ケ若ハ擲チ又ハ之ニ動物若ハ舟筏ヲ繋キ又ハ之ヲ汚穢シタル者ハ科料ニ處ス
    2. 電信又ハ電話線路ノ測量標ヲ毀棄汚穢シタル者亦同シ
  40. 第四十條
    1. 主務官署ノ指定シタル水底電信線路若ハ水底電話線路ノ區域内ニ於テ船舶ヲ繋留シ又ハ漁業採藻ヲ爲シ若ハ土砂ヲ掘鑿シ又ハ水底電信線若ハ水底電話線ノ號標ニ舟筏ヲ繋キ又ハ其ノ號標ヲ毀棄シタル者ハ五圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
    2. 水底電信線若ハ水底電話線ノ布設若ハ修理ノ爲其ノ位置ヲ示スヘキ浮標又ハ其ノ布設若ハ修理ニ從事スル船舶ヨリ主務官署ノ指定シタル距離以内ニ於テ前項ノ所爲ヲ爲シ若ハ航行シタル者亦同シ
  41. 第四十一條
    1. 第三十二條ヲ除クノ外前條ニ記載シタル輕罪ヲ犯サムトシテ未タ遂ケサル者ハ刑法未遂犯罪ノ例ニ照シテ處斷ス
  42. 第四十二條
    1. 法人ノ業務ニ關シ其ノ代表者又ハ雇人其ノ他ノ從業者前條ノ罪ヲ犯シタルトキハ其ノ罰則ヲ法人ニ適用ス但シ罰金科料以外ノ刑ニ處スヘキ場合ニ於テハ法人ヲ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
    2. 法人ヲ處罰スヘキ場合ニ於テハ法人ノ代表者ヲ以テ被吿人トス
    3. 法人ヲ處罰スルノ裁判確定シタル日ヨリ罰金ニ關シテハ一月以内科料ニ關シテハ十日以内ニ之ヲ内完セサルトキハ民事訴訟法第六編ノ規定ニ從ヒテ其ノ執行ヲ爲ス此ノ場合ニ於テハ檢事ノ命令ヲ以テ執行力ヲ有スル債務名義ト同一ノ效力アルモノトス
    4. 前項ニ依リ執行ヲ爲スニハ執行前裁判ノ送達ヲ爲スコトヲ要セス
  43. 第四十三條
    1. 公衆通信又ハ第三條第一項ニ依リ現ニ軍事通信ノ用ニ供スル私設ノ電信又ハ電話ニ關シテハ第九條ヲ除クノ外本法中政府ノ施設ニ係ル電信又ハ電話ニ關スル規定ヲ準用ス
  44. 第四十四條
    1. 電信又ハ電話ニ非スト雖通報信號ヲ爲スモノニ關シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ノ規定ヲ準用スルコトヲ得
  45. 第四十五條
    1. 帝國外國間ニ於ケル電信ニ關シ別ニ法令條約又ハ特許ノ條款ニ明文アルモノハ各其ノ定ムル所ニ依ル
  46. 附則
  47. 第四十六條
    1. 本法ハ明治三十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
    2. 電信條例ハ之ヲ廢止ス
  48. 第四十七條
    1. 本法施行前電信條例ニ依リ電信又ハ電話私設ノ許可ヲ得タル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ更ニ許可ノ申請ヲ爲スコトヲ要ス

○電信法第一次改正(大正5年)

朕帝國議會ノ協賛ヲ經タル電信法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名 御璽

大正五年三月六日

内閣總理大臣 伯爵 大隈重信

遞信大臣 箕浦勝人

法律第十九號
電信法中左ノ通改正ス
  1. 第十五條
    1. 宛所ニ配達シ又ハ受信人ニ交付シ得サル電報ハ電信官署ニ於テ之ヲ保管ス其ノ保管開始ノ日ヨリ三十内ニ交付ノ請求ナキトキハ之ヲ棄却ス
  2. 第二十二條中
    1. 「電話及」ヲ「電話、無線電信、無線電話、」ニ改ム
  3. 第二十七條
    1. 不法ニ電信、電話ヲ施設シ又ハ不法ニ施設シタル電信、電話ヲ使用シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
  4. 第二十七條ノ二
    1. 主務官署カ命令ノ定ムル所ニ依リ私設ノ電信又ハ電話ノ撤去ヲ命シタル場合ニ於テ期間内ニ之ヲ撤去セサル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
    2. 撤去ヲ命セラレタル私設ノ電信又ハ電話ヲ使用シタル者亦同シ
  5. 第二十八條
    1. 私設ノ電信若ハ電話ヲ他人ノ用ニ供シタル者又ハ其ノ私設者ニ非スシテ之ヲ使用シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
    2. 私設ノ電信又ハ電話ニ依賴シ通信ヲ爲サシメタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
  6. 第二十八條ノ二
    1. 第二十七條、第二十七條ノ二第二項及前條第一項ノ場合ニ於テ金錢物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ沒收ス旣ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ價額ヲ追徴ス
  7. 第二十九條
    1. 第三條ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ電信、電話ノ供用ヲ拒ミ又ハ第九條ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ鐵道用地、停車場建物ノ使用ヲ拒ミ若ハ停車場建物ノ建築改築ヲ爲ササル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
  8. 第三十條中
    1. 「科料」ヲ「三十圓以下ノ罰金又ハ科料」ニ改ム
  9. 第三十一條
    1. 電信官署又ハ電話官署ノ取扱中ニ係ル通信ノ祕密ヲ侵シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
    2. 電信又ハ電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
    3. 本條ノ罪ハ吿訴ヲ待テ之ヲ論ス
  10. 第三十二條
    1. 不法ニ電信、電話ニ關スル料金ヲ免レ又ハ他人ヲシテ之ヲ免レシメタル者ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
    2. 電信又ハ電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
  11. 第三十三條中
    1. 「虛僞ノ電報」ヲ「電信又ハ電話ニ依リ虛僞ノ通信」ニ、「一月以上五年以下ノ重禁錮ニ處シ五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス」ヲ「五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス」ニ、「輕懲役」ヲ「七年以下ノ懲役」ニ改メ同條第三項ヲ削ル
  12. 第三十四條
    1. 削除
  13. 第三十五條
    1. 電信官署ノ取扱中ニ係ル電報ヲ正當ノ事由ナクシテ開披、毀損、隱匿若ハ放棄シ又ハ受取人ニ非サル者ニ交付シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス但シ刑法第二百五十八條ニ該當スル場合ハ刑法ノ例ニ依ル
  14. 第三十六條
    1. 電信若ハ電話ノ事務ニ從事スル者正當ノ事由ナクシテ通信ノ取扱ヲ爲ササルトキ又ハ之ヲ遲延セシメタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
  15. 第三十八條中
    1. 「一月以上二年以下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰金ヲ附加ス」ヲ「三年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス」ニ改ム
  16. 第三十九條中
    1. 「科料」ヲ「十圓以下ノ科料」ニ改ム
  17. 第四十條中
    1. 「五圓以上百圓以下ノ罰金」ヲ「千圓以下ノ罰金」ニ、「所爲」ヲ「行爲」ニ改ム
  18. 第四十一條
    1. 第二十七條、第二十七條ノ二第二項、第二十八條、第三十一條乃至第三十三條、第三十五條、第三十七條、第三十八條及前條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
  19. 第四十二條
    1. 削除
  20. 附則
    1. 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
    2. 本法施行前ニ差出シタル電報ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル

昭和23年改正(抜粋)

法律第百五号
電信電話料金法
  1. 第一條
    1. 公衆通信の用に供する電信(無線電信を含む。以下同じ。)及び電話(無線電話を含む。以下同じ。)に関する料金は、この法律の定めるところによる。
  2. 附則
  3. 第五條
    1. この法律は、昭和二十三年七月十日から、これを施行する。
  4. 第六條
    1. 電信法(明治三十三年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
      1. 第十七條中「電信又ハ電話ニ關スル料金及」ヲ削る。

昭和24年改正(抜粋)

法律第百六十一号
郵政省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律
  1. 第十條
    1. 電信法(明治三十三年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
      1. 第二條第四号、第十五條、第十六條及び第三十五條中「電信官署」を「地方電氣通信取扱局」に改める。
      2. 第五條及び第二十五條中「主務大臣ノ指定シタル電信官署又ハ電話官署」を「地方電氣通信局」に改める。
      3. 第十二條中「電信官署又ハ電話官署」を「地方電氣通信取扱局」に改める。
      4. 第二十一條及び第三十一條中「電信官署又ハ電話官署」を「電氣通信省」に改める。
      5. 第二十二條中「、郵便、郵便爲替、郵便貯金」を削る。
      6. 第二十三條中「場合ヲ除クノ外」を「場合ニ於テハ」に改める。
      7. 第二十六條中「電信官署若ハ電話官署」を「地方電氣通信局」に改める。
  2. 附則
    1. この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。

昭和27年改正その1(抜粋)

昭和二十七年七月三十一日

法律第二百五十一号
日本電信電話公社法施行法
  1. (電信法の改正)

    第二十二條

    1. 電信法(明治三十三年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
      1. 第一條中「管掌ス」を「管理ス」に改め、同條の次に次の一條を加える。
        1. 第一條ノ二
          1. 公衆通信ノ用ニ供スル電信及電話ニ関スル業務ハ日本電信電話公社ヲシテ之ヲ行ハシム
      2. 第二條第四号、第十二條、第十五條、第十六條及び第三十五條中「地方電気通信取扱局」を「電気通信取扱局」に改める。
      3. 第三條第一項中「又ハ軍事上必要ナル通信」を削る。
      4. 第五條中「地方電気通信局ニ於テ」を「主務大臣ハ」に改める。
      5. 第六條、第七條、及び第二十四條中「政府」を「日本電信電話公社」に改める。
      6. 第九條第一項中「政府」を「日本電信電話公社」に改め、同條第二項中「政府」を「日本電信電話公社」に、「支給ス」を「支拂フベシ」に改める。
      7. 第十條中「政府」を「日本電信電話公社」に、「支給セズ」を「支拂フコトヲ要セズ」に改める。
      8. 第二十一條及び第三十一條第一項中「電気通信省」を「日本電信電話公社」に改める。
      9. 第二十五條及び第二十六條中「地方電気通信局」を「日本電信電話公社」に改める。
      10. 第四十三條中「又ハ第三條第一項ニ依リ現ニ軍事通信」を削り、「政府」を「日本電信電話公社」に改める。
      11. 第四十五條中「帝国外国間ニ於ケル電信」を「日本国外国間ニ於ケル電信及電話」に改める。
  2. 附則
    1. この法律は、公社法の施行の日から施行する。但し、第一條の規定は、公布の日から施行する。

昭和27年改正その2(抜粋)

昭和二十七年八月七日

法律第三百一号
国際電信電話株式会社法
  1. 附則
    1. (施行期日)

       この法律の施行期日は、政令で定める。但し、その期日は、昭和二十八年三月三十一日後であつてはならない。

    2. 33 電信法(明治三十三年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
      1. 第一條ノ二に次の但書を加える。
        1. 但シ主務大臣ハ日本国外国間ニ於ケル電信及び電話ニ関スルモノハ国際電信電話株式会社ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
      2. 第二十四條及び第三十一條第一項中「日本電信電話公社」の下に「又ハ国際電信電話株式会社」を加える。

昭和28年廃止(抜粋)

昭和二十八年七月三十一日

法律第九十八号
有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法
  1. (有線電気通信法及び公衆電気通信法の施行期日)

    第一条
    1. 有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号。以下「有線法」という。)及び公衆電気通信法(昭和二十八年法律第九十七号。以下「公衆法」という。)は、昭和二十八年八月一日から施行する。
  2. (電信線電話線建設条例等の廃止)

    第二条
    1. 左の法律は廃止する。
      1. 電信線電話線建設条例(明治二十三年法律第五十八号)
      2. 電信法(明治三十三年法律第五十九号)
      3. 電信電話料金法(昭和二十三年法律第百五号)
  3. 附則
    1. この法律は、昭和二十八年八月一日から施行する。

ノート

出典

本文書は国会図書館が公開する過去の官報、原本、法令全書または衆議院制定法律一覧を参考にテキスト化したものです。

必要がある場合は下記URLを参照ください。

明治33年版
官報(明治33年3月14日)
法令全書(明治33年)
御署名原本(明治三十三年法律第五十九号)
大正5年版
御署名原本(大正五年法律第十九号)
官報(大正5年3月7日)
昭和23年版
御署名原本(昭和二十三年法律第百五号)
官報(昭和23年7月6日)
衆議院制定法律(法律第105号)(第2回国会)
昭和24年版
御署名原本(昭和二十四年法律第百六十一号)
官報(昭和24年5月31日)
衆議院制定法律(法律第161号)(第5回国会)
昭和27年7月版
御署名原本(昭和二十七年法律第二百五十一号)
衆議院制定法律(法律第251号)(第13回国会)
昭和27年8月版
御署名原本(昭和二十七年法律第三百一号)
衆議院制定法律(法律第301号)(第13回国会)
昭和28年版
御署名原本(昭和二十八年法律第九十八号)
衆議院制定法律(法律第98号)(第16回国会)