無線電信法
1.はじめに
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現在の電波法に相当する法律で、大正4年(1929)に公布されました。まだ放送の概念も無い頃で、ワイヤレス限定の通信法規という扱いです。
本資料はなるべく原文に近づけるようには努めていますが、旧字・異体字についての保証はありません。必要な場合は最下部にリンクしている原本画像をご覧ください。
出典は法令全書及び日本無線史第13巻です。その他に、現行日本法規(主要旧法令編)も参考にしています。
目次
1.2 電信法及び関連法規の改正状況
電信法以前(一部のみ)
電信法時代
無線電信法時代
- 制定 大正04年06月21日 法律第26号(無線電信法制定)
- 勅令 大正04年10月25日 勅令第185号(施行期日)
- 勅令 大正04年10月25日 勅令第186号(朝鮮・台湾・樺太への施行)
- 省令 大正04年10月26日 逓信省令第47号(省令77号・省令13号の廃止)
- 改正 大正10年04月11日 法律第62号(第1次改正:航空無線準用)
- 勅令 昭和02年05月24日 勅令第126号(第1次改正の施行期日)
- 改正 昭和04年04月02日 法律第45号(第2次改正:条約対応・放送・EMC対応)
- 勅令 昭和04年12月04日 勅令第345号(第2次改正の施行期日)
- 改正 昭和24年05月31日 法律第161号(第3次改正:郵政省・電気通信省発足)
- 廃止 昭和25年05月02日 法律第131号(電波法成立)
法律の有効期間:大正4年11月1日から昭和25年5月31日まで
1.3 日本における電波法規の進展について
本邦における最初の電波関連法規は、有線通信を意図した電信法(明治33年(1900)法律第59号)を準用する形でのスタートでした。その15年後の大正4年(1915)、国際条約対応のために電波通信を専門とする法律として制定されたのが無線電信法です。タイタニック号沈没の影響が遠因でした。
- 1900年 電信法制定(有線通信)。無線は電信法を準用してしのぐ。
- 1905年 日露戦争における海軍での利用ピーク。
- 1908年 無線が公衆電気通信に利用される。(銚子無線局など)
- 1912年 タイタニック号沈没
- 1915年 無線電信法制定
- 1920年 米国で商業ラジオ放送開始
- 1925年 NHK放送開始
- 1950年 電波法制定
最初から電波全般を規制する法律とならなかったのは、船舶無線しか無い時代だったからです。そのため、無線通信が開始されてからも、しばらくは電信法に準じて運用されていました。
その当時には「放送」という概念が薄く、後にNHKがラジオ放送を開始する際には、無線電信法の例外規定を用いて実現する苦労ぶりです。ラジオ放送自体も「放送用私設無線電話」という、いかめしい名称でした。しかも、一般家庭のラジオ受信機ですら立派な無線局の一員という扱いなので、ただラジオを聴くだけでも逓信省の許可(聴取無線電話施設許可)が必要という面倒な時代だったのです。
「電波」と言う用語も一般的ではない時代、法的にも無線電信・無線電話という用語しかありません。この名残は現在の電波法にも見ることが出来ます。
電波法第2条 「無線電信」とは、電波を利用して、符号を送り、又は受けるための通信設備をいう
一般に思い浮かぶ「無線電信」は歴史的な「通信方式」という印象で間違いありませんが、法の上では「通信設備」そのものを指す用語になってしまっています。まさに電波法が無線電信法を直接受け継いだがゆえの法文といえるでしょう。
1.4 電波という用語について
現代ではごくありふれた電波という用語が使われるようになったのは、第二次大戦中の頃からです。当時の行政改革時に電波局(現在の総務省総合通信基盤局)が設置されたのが公的組織での最初の例。昭和25年に現在の電波法が公布されて、通信用途に限定しない包括的な電磁波規制の法制度へと整備されました。
その電波法も当初のうちは「無線電信法改正案」(1次:昭和22年2月案)として原案が練られていたのですが、第3次案(昭和22年6月)からは「無線法」、直後の昭和22年7月からは「電波法」といったように、法律案名称自体にもめまぐるしい変化があったのです。
まだ連合国の占領下でもあり、政府は連合国総司令部(GHQ)民間通信局(CCS; Civil Communication Section)へお伺いを立てながら第9次案まで引っ張り、やっと日の目を見るのが第10次案。第7回会通常国会で審議入りを果たしました。昭和25年4月26日に参院本会議を通過して、ようやく電波法が成立したのでした。
(参考) 電波関連の政府組織変遷
- 昭和18年以前
- 逓信省 電務局無線課/工務局無線課、東京・大阪逓信局監督部無線課などが事務を遂行
- 昭和18年11月1日
- 鉄道省との合併で逓信省が廃止になり運輸通信省へ。同省の外局として「通信院」が発足(勅令831号通信院官制)
- 昭和19年4月1日
- 通信院に電波局が設置(昭和19年3月31日勅令203号 通信院官制)。ちなみに、初代局長は理研の仁科芳雄博士
- 昭和20年5月19日
- (運輸通信省)通信院→(総理府)逓信院へ改名(内閣直轄組織へ)
- 昭和21年7月1日
- 逓信省復活に伴い、逓信省電波局へ
- 昭和24年6月1日
- 電気通信省発足に伴い、電波局→電波庁へ。このとき、地方電波管理局(注:監理局ではない)が発足
- 昭和25年6月1日
- 電波3法成立に伴い電波監理委員会配下となる。電波管理局から電波監理局へ改称。
- 昭和27年8月1日
- 日本占領軍が居なくなった途端に電波監理委員会・電気通信省が廃止され郵政省へ移管。旧電気通信省の大半は、日本電信電話公社に移管
- 昭和60年4月1日
- 電気通信事業法施行に伴い、電波監理→電気通信監理へと改称。
- 平成13年1月
- 郵政省廃止→総務省へ移管。総合通信基盤局/地方総合通信局へ改称。
2.無線電信法制定前の電波法
○遞信省令第七十七號(無線電信準用)
電信法ハ第二條、第三條、第二十八條及第四十三條ヲ除クノ他之ヲ無線電信ニ準用ス
明治三十三年十月十日
遞信大臣 子爵 芳川 顯正
○遞信省令第十三號(無線電話準用)
電信法ハ第二條、第三條、第二十八條及第四十三條ヲ除クノ他之ヲ無線電話ニ準用ス
大正三年五月十二日
遞信大臣 武富 時敏
○逓信省令第四十七號(廃止)
明治三十三年十月遞信省令第七十七號及大正三年五月遞信省令第十三號ハ大正四年十月三十一日限リ之ヲ廢止ス
大正四年十月二十六日
遞信大臣 箕浦 勝人
3.無線電信法と関連命令
○無線電信法(大正4年制定時)
朕帝國議會ノ協賛ヲ經タル無線電信法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名 御璽
大正四年六月十九日
内閣總理大臣 伯爵 大隈 重信
遞信大臣 武富 時敏
法律第二十六號
無線電信法
- 第一條
- 無線電信及無線電話ハ政府之ヲ管掌ス
- 第二條
- 左ニ掲クル無線電信又ハ無線電話ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ之ヲ私設スルコトヲ得
- 一 航行ノ安全ニ備フル目的ヲ以テ船舶ニ施設スルモノ
- 二 同一人ノ特定事業ニ用フル船舶相互間ニ於テ其ノ事業ノ用ニ供スル目的ヲ以テ船舶ニ施設スルモノ
- 三 電報送受ノ爲電信官署トノ間ニ施設者ノ專用ニ供スル目的ヲ以テ電信、電話、無線電信又ハ無線電話ニ依ル公衆通信ノ連絡ナキ陸地又ハ船舶ニ施設スルモノ
- 四 電信、電話、無線電信又ハ無線電話ニ依ル公衆通信ノ連絡ナク前號ノ規定ニ依ルヲ不適當トスル陸地相互間又ハ陸地船舶間ニ於テ同一人ノ特定事業ニ用フル目的ヲ以テ陸地又ハ船舶ニ施設スルモノ
- 五 無線電信又ハ無線電話ニ關スル實驗ニ專用スル目的ヲ以テ施設スルモノ
- 六 前各號ノ外主務大臣ニ於テ特ニ施設ノ必要アリト認メタルモノ
- 第三條
- 私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ機器其ノ装置及運用ニ關スル制限並私設ノ無線電信ノ通信ニ從事スル者ノ資格ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
- 第四條
- 私設ノ無線電信又ハ無線電話ハ其ノ施設ノ目的以外ニ使用スルコトヲ得ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ船舶遭難通信、氣象通信、報時通信其ノ他主務大臣ニ於テ公益上必要ト認ムル通信ニ限リ之ヲ使用スルコトヲ妨ケス
- 第五條
- 外國船舶ニ装置シタル無線電信又ハ無線電話ハ第二條ノ規定ニ依リ施設シタルモノヲ除クノ外之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ船舶遭難通信及航行中電信官署又ハ電話官署トノ通信ニ使用スルコトヲ妨ケス
- 第六條
- 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ私設ノ無線電信又ハ無線電話ヲ公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ノ用ニ供セシムルコトヲ得
- 前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣ハ吏員ヲ派遣シテ其ノ取扱ヲ爲サシムルコトヲ得
- 第七條
- 主務大臣ハ公衆通信上又ハ軍事上必要ト認ムルトキハ私設ノ無線電信、無線電話ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ設備ノ變更ヲ命スルコトヲ得
- 第八條
- 主務大臣ハ公安ノ爲必要ト認ムルトキハ私設ノ無線電信、無線電話又ハ外國船舶ニ装置シタル無線電信、無線電話ノ使用ノ制限、停止又ハ其ノ機器附屬具ノ除却ヲ命スルコトヲ得
- 前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣ハ當該官吏ヲシテ機器附屬具ニ封印ヲ施シ又ハ之ヲ除却セシムルコトヲ得
- 第九條
- 私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ施設者本法、本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ主務大臣ハ其ノ無線電信、無線電話ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ使用ノ停止ヲ命スルコトヲ得
- 第十條
- 私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ施設者其ノ無線電信又ハ無線電話ノ許可ヲ取消サレタルトキハ主務大臣ノ命スル所ニ依リ其ノ機器工作物ヲ撤去スルコトヲ要ス私設ノ無線電信又ハ無線電話ヲ廢止シタルトキ亦同シ
- 第十一條
- 私設ノ無線電信、無線電話又ハ外國船舶ニ施設シタル無線電信、無線電話ハ船舶遭難通信ノ取扱ノ依賴ヲ受ケタルトキハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
- 第十二條
- 無線電信又ハ無線電話ハ船舶遭難通信アリタル場合ニ於テハ直ニ應答シ救助上最便宜ノ位置ニ在ル無線電信又ハ無線電話ニ通報スヘシ
- 前項ノ場合ニ於テ特定ノ事項ノ通報ヲ求メラレタルトキハ前項ノ規定ニ依ラス直ニ其ノ通報ヲ爲スコトヲ要ス
- 第十三條
- 主務大臣ハ不法ニ無線電信又ハ無線電話ヲ施設スル者アリト認メタルトキハ當該官吏ヲシテ其ノ施設ノ場所ニ立入リ機器工作物ノ檢査、機器附屬具ノ除却其ノ他相當ノ措置ヲ爲サシムルコトヲ得
- 第十四條
- 政府ハ公衆通信ノ用ニ供スル無線電信又ハ無線電話ノ施設ノ爲船舶ノ一部ヲ使用シ必要アルトキハ特殊ノ供給又ハ設備ヲ命スルコトヲ得
- 前項ノ場合ニ於テ相當ノ使用料及特殊ノ供給、設備ノ實費ハ請求ニ因リ政府之ヲ支給ス
- 第十五條
- 公衆通信ノ用ニ供スル無線電信又ハ無線電話ニ依ル通信ニシテ無線電信、無線電話、電信、電話、郵便、郵便爲替、郵便貯金ノ事務又ハ船舶遭難、報時、氣象報告ニ關スルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ無料ト爲スコトヲ得
- 第十六條
- 許可ナクシテ無線電信、無線電話ヲ施設シ若ハ許可ナクシテ施設シタル無線電信、無線電話ヲ使用シタル者又ハ許可ヲ取消サレタル後私設ノ無線電信、無線電話ヲシタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
- 前項ノ場合ニ於テ無線電信又ハ無線電話ヲ他人ノ用ニ供シ因テ金銭物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ沒収ス既ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徴ス
- 第十七條
- 私設ノ無線電信又ハ無線電話ヲ其ノ施設ノ目的以外ニ使用シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
- 前項ノ場合ニ於テ無線電信又ハ無線電話ヲ他人ノ用ニ供シ因テ金銭物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ沒収ス既ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徴ス
- 私設ノ無線電信又ハ無線電話ニ依賴シ通信ヲ爲サシメタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 第十八條
- 第五條ノ規定ニ違反シタル者ハ本法ニ依ル無線電信、無線電話使用ノ制限、停止、設備變更若ハ除却撤去ノ命令ニ從ハサル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス無線電信、無線電話ノ事務ニ從事スル者使用ノ制限又ハ停止ニ違反シテ使用シタルトキハ其ノ從事者ニ付亦同シ
- 第十九條
- 第六條ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ無線電信、無線電話ノ使用ヲ拒ミ又ハ第十四條ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ船舶ノ使用ヲ拒ミ若ハ特殊ノ供給設備ヲ爲ササル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
- 第二十條
- 電信官署又ハ電話官署ノ取扱中ニ係ル無線電信又ハ無線電話ノ通信ノ秘密ヲ侵シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ通信ノ秘密ヲ漏泄シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 本條ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
- 第二十一條
- 不法ニ無線電信、無線電話ニ關スル料金ヲ免レシメタル者ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 第二十二條
- 他人ニ損害ヲ加フル目的ヲ以テ無線電信又ハ無線電話ニ依リ虚僞ノ通信ヲ發シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 公益ヲ害スル目的ヲ以テ無線電信又ハ無線電話ニ依リ虚僞ノ通信ヲ發シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
- 船舶遭難ノ事實ナキニ拘ラス無線電信又ハ無線電話ニ依リ船舶遭難通信ヲ發シタル者ハ三月以上十年以下ノ懲役ニ處ス
- 無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ從事スル者第一項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金、第二項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ十年以下ノ懲役、第三項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ一年以上ノ有期懲役ニ處ス
- 第二十三條
- 無線電信ノ事務ニ從事スル者電信官署ノ取扱中ニ係ル無線電信ニ依ル電報ヲ正當ナ事由ナクシテ開披、毀損、隱匿若ハ放棄シタルトキ又ハ受取人ニ非サル者ニ交付シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ5百圓以下ノ罰金ニ處ス但シ刑法第二百五十八條又ハ第二百五十九條ニ該當スル場合ハ刑法ノ例ニ依ル
- 第二十四條
- 無線電信ノ事務ニ從事スル者正當ナ事由ナクシテ公衆通信若ハ軍事上必要ナル通信ノ取扱ヲ爲ササルトキ又ハ之ヲ遲延セシメタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 無線電信ノ事務ニ從事スル者正當ナ事由ナクシテ第十一條若ハ第十二條ノ規定ニ依ル船舶遭難通信ノ取扱ヲ爲ササルトキ又ハ之ヲ遲延セシメタルトキハ一年以上ノ有期懲役ニ處ス
- 船舶遭難通信ノ取扱ヲ妨害シタル者ハ罰前項ニ同シ
- 第二十五條
- 無線電信、無線電話ニ依ル公衆通信若ハ軍事上必要ナル通信ヲ障碍シ又ハ之ヲ障碍スヘキ行爲ヲ爲シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ5百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 第二十六條
- 前十條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
- 第二十七條
- 本法ニ基キテ爲ス當該吏員ノ職務ノ執行ヲ拒ミ之ヲ妨ケ若ハ忌避シ又ハ第十三條ノ規定ニ依ル檢査ノ際當該吏員ノ尋問ニ對シ答瓣ヲ爲サス若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
- 第二十八條
- 電信法第四條、第五條、第十一條乃至第二十一條、第二十三條、第二十四條及第四十五條ノ規定ハ公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ノ用ニ供スル無線電信又ハ無線電話ニ之ヲ準用ス
- 附則
- 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
大正四年 勅令 第百八十五號(電信法施行期日)
朕無線電信法施行期日ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名 御璽
大正四年十月二十五日
内閣總理大臣 伯爵 大隈 重信
遞信大臣 箕浦 勝人
勅令第百八十五號
- 無線電信法ハ大正四年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス
大正十年四月十一日 法律第六十二號(第1次改正)
朕帝國議會ノ協賛ヲ經タル無線電信法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名 御璽
大正十年四月九日
内閣總理大臣 原 敬
遞信大臣 野田 卯太郎
法律第六十二號
無線電信法中左ノ通改正ス
- 第二十九條
- 本法ハ航空機ニ施設スル無線電信及無線電話ニ關シテ之ヲ準用ス
- 第三十條
- 本法ノ適用ニ付テハ航空機ハ之ヲ船舶ト看做ス
- 附則
- 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
昭和二年五月 勅令百二十六號(施行期日)
朕大正十年法律第六十二號無線電信無線電信法中改正法律施行期日ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名 御璽
昭和二年五月二十四日
内閣總理大臣 男爵 田中 義一
遞信大臣 望月 圭介
勅令第百二十六號
- 大正十年法律第六十二號ハ昭和二年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
昭和四年四月二日 法律第四十五號(第2次改正)
朕帝國議會ノ協賛ヲ經タル無線電信法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名 御璽
昭和四年四月一日
内閣總理大臣 男爵 田中 義一
遞信大臣 久原 房之助
法律第四十五號
無線電信法中左ノ通改正ス
- 第三條中「私設ノ無線電信」ヲ「私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ通信」ニ改メ「資格」ノ下ニ「及配置定員」ヲ加フ
- 第七條中「設備ノ變更ヲ命スルコトヲ得」ヲ「設備ノ變更、使用ノ制限若ハ使用ノ停止ヲ命スルコトヲ得、無線電信、無線電話ノ混信防遏ノ爲必要ト認ムルトキ亦同シ」ニ改ム
- 第八條ノ二
- 無線電信又ハ無線電話ニ依ル通信公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壞亂スルモノト認ムルトキハ主務大臣ノ指定シタル電信官署又ハ電話官署ニ於テ之ヲ停止シ又ハ當該無線電信、無線電話ノ施設者若ハ當該通信を發スル者ニ對シ其ノ通信ノ停止ヲ命スルコトヲ得
- 第十三條ノ二
- 主務大臣ハ私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ機器、其ノ装置又ハ運用ニ關シ監督上必要ト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ其ノ施設ノ場所ニ立入リ機器工作物及關係書類ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
- 第十三條ノ三
- 前二條ノ規定ニ依リ當該官吏無線電信又ハ無線電話ノ施設ノ場所ニ立入ル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ證明スヘキ證票ヲ携帶スヘシ
- 第十五條中「船舶遭難」ノ下ニ「、航行ノ安全」ヲ加フ
- 第二十條ノ二
- 無線電信又ハ無線電話ニ依リ知得シタル前條ニ該當セサル無線電信又ハ無線電話ノ通信ノ秘密ヲ漏泄シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
- 第二十二條ノ二
- 無線電信又ハ無線電話ニ依リ公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壞亂スル通信ヲ發シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
- 無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
- 第二十六條中「前十條」ヲ「第十六条乃至第二十五條」ニ改ム
- 第二十七條中「第十三條」ノ下ニ「若ハ第十三條ノ二」ヲ加フ
- 第二十八條中「、第五條」ヲ削ル
- 第二十八條ノ二
- 無線電信又ハ無線電話ニ非スト雖高周波電流ヲ使用シ通報信號ヲ爲スモノニ關シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ノ規定ヲ準用ス
- 第二十八條ノ三
- 主務大臣ハ無線電信又ハ無線電話ニ依ル公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ニ及ホス障碍ヲ防止スル爲必要ト認ムルトキハ高周波電流ヲ發生スル設備ニシテ無線電信、無線電話又ハ前條ノ通報信號施設ニ非サルモノニ關シ其ノ施設者ニ對シ設備ノ變更ヲ又ハ特殊ノ設備ヲ命スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ設備ノ變更又ハ特殊ノ設備ニ要シタル費用ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
- 前項ノ規定ニ依ル補償ニ關スル決定ニ對シ不服アル者ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月内ニ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
- 附則
- 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
昭和四年十二月 勅令三百四十五號(施行期日)
朕昭和四年法律第四十五號無線電信無線電信法中改正法律施行期日ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名 御璽
昭和四年十二月四日
内閣總理大臣 濱口 雄幸
遞信大臣 小泉 又次郎
勅令第三百四十號
- 大正十年法律第六十二號ハ昭和二年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
昭和二十四年改正(抜粋)
○法律第百六十一号
郵政省設置法及び電気通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律
- 第十一条
- 無線電信法(大正四年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
- 第二条第三号及び第二十三条中「電信官署」を「地方電気通信取扱局」に改める。
- 第五条中「電信官署又ハ電話官署」を「地方電気通信取扱局」に改める。
- 第八条ノ二中「主務大臣ノ指定シタル電信官署又ハ電話官署」を「地方電気通信局又ハ地方電波管理局」に改める。
- 第十五条中「、郵便、郵便為替、郵便貯金」を削る。
- 第二十条第一項中「電気官署又ハ電話官署」を「電気通信省ノ地方機関」に改める。
昭和二十五年 法律第百三十一号 電波法(抜粋)
○法律第百三十一号
電波法
- 附則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。
(無線電信法の廃止)
2 無線電信法(大正四年法律第二十六号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
- 3 旧法第六条、第十五条、第十九条、第二十一条、第二十三条、第二十四条第一項、第二十五条、第二十六条及び第二十八条の規定は、公衆通信業務に関する法律が制定施行されるまでは、この法律施行後も、なおその効力を有する。
(旧法の罰則の適用)
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、旧法は、この法律施行後も、なおその効力を有する。
資料:大正4年版の無線電信法(法令全集)