本法令は、明治政府が出した公衆通信用途にかかわる他人の土地(特に民間所有地や公道・私道)の使用、占有に関する法令です。当時の電気通信事業は日本政府直営ですが、この法律ができるまでは、慣例で処理していた模様。
道路や私有地に電柱(電信柱)を自由に建ててよいお墨付きを与える根拠法令になりますが、これは逓信省以外の官有地にも適用できるやや強権的なものでもあったため、後に自動車交通が発達すると道路を管轄する内務省と対立する要素も出て来たようです。
時代的にはちょうど東京―横浜間で電話交換サービス(同年12月16日)が開始される直前であり、また、帝国憲法は発布後(同年2月11日)かつ施行直前(11月29日施行、同時に第1回帝国議会開会)というタイミングであるので、国会ではなく元老院と閣議による制定となっています。
現代では、電気通信事業法の第3章を割き「土地の使用等」という形で本条例が引き継がれています。
御名 御璽
明治二十三年八月六日
内閣總理大臣 伯爵 山縣有朋
遞信大臣 伯爵 後藤象二郎
法律第五十八號(電信線電話線建設条例の改正)
第十九条(電信線電話線建設条例等の廃止)
第二条旧字を現行の標準的な新字に書き換え、またカナをひらがなに、送り仮名や接続詞を現代風に付け直しました。内容は改変により正確とは言えないため、あくまで参考です。
法律第五十八号本文書は国会図書館が公開する官報(明治23年8月6日)と法令全書(明治23年)をテキスト化したものです。必要がある場合は上記URLを参照ください。
テキスト化にあたり、旧字等の書体(「建」、「支」)については表現ができておりません。ただし、一部の漢字(「所」→「所󠄁」、「通」→「通󠄁」、「請」→「請󠄁」、「評」→「評󠄁」、「判」→「判󠄁」)はIVD/IVS対応のフォントとブラウザを使用することで表示できる可能性があります。(上に並んだ2字が異なって見えるはずです。)
具体的には、2016年時点においてAdobe-Japan1-6に準拠した「小塚ゴシック Pr6N」又はGoogleとAdobeが協同開発した「源ノ角ゴシック(Source Han Sans JP)」をPCにインストールすることで異体字セレクタによる表現が可能となるケースが多いものと思います
ただ、「建」(5EFA-E0101)のAdobe字形は既に2016-08-15版のIVDに収録されているのが確認できますが、上記2つのフォント自体では未対応の模様。将来的なサポートを期待して「建」だけはIVS対応の文字コードを入力してあります。
なお、対応済みのデバイス(PC)にて閲覧した場合、自動的に上記フォントを選択するようにしてあります。仮にこれらに非対応のOSやフォントあるいはブラウザでの閲覧にあたっては、一般的な字形で表示されるようになっているため、コピペ時以外に支障は生じないと想定しています。