このページは、無線従事者資格の謎の別編である資料集であり、昭和25年の特殊無線技士制度発足時からの各資格の改廃状況と操作範囲の変遷を対象としたものです。
あくまで、歴史的な資料としてまとめたものですので、現行法規上、有効なものかどうかは必ず法令集を参照するようお願いいたします。誤字・脱字などは少し多いかもしれません。最新の法令は政府の法令データ提供システムで閲覧が可能です。
特殊無線技士以外の無線従事者資格については、下記を参照ください
特殊無線技士では運用周波数に制限がかかる場合が多いので、時代により単位の表現方法が変わっています。
なぜか電波法施行規則上では、原文からしてアルファベット記載だったりして不思議。たぶん、GHQが居たせいだと思う。
最初の規則(電波監理委員会規則:電波法施行規則)によると、資格はたったの2種類でした。甲乙と名前が付いていますが、どちらが上位という概念は薄く、全く別種の資格になっています。
例えば、甲種だと電話しか出来ませんが、乙種は電信も含んで範囲が広いですし、レーダーも扱えます。一方、甲種は条件内であれば何でもできるような表現になり、文字通り甲乙付け難い部分ですが、概ね、乙種の方が広めでしょう。
しかし、この規則は「暫定規則」と呼ばれるものであり実際に試験が実施された形跡はありません。これは電波法83条に定められた関係者に対する「聴聞」をしなければ、正式規則とならない制度であったからです。戦前の政府専掌主義を捨て、米国FCC(連邦通信委員会)の民主的な制度を取り入れようとした形跡があります。
しかしながら、電波法の公布が5月2日、施行が6月1日というスケジュールから考えると、聴聞会を開催する余裕が無い事は明らかです。
そこで、しばらくは電波法の附則で認められた暫定規則で間に合わせたということです。正式な規則となるのは11月になるのを待たなければなりません。
資格 | 操作範囲 |
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特殊無線技士甲 | 空中線電力三〇ワツト以下の無線電話局、(海岸局を除く。)の無線設備の操作 |
特殊無線技士乙 |
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正式な電波法施行規則が公布されたのは11月30日。11月一杯で各種の聴聞を実施してようやく特殊無線技士の種別と操作範囲が確定しました。
最初の規則と比べて、資格数が細分化し、当初のものをさらに細かく分けたような状態になっています。当初の資格は規則が全部改正されて跡形もありません。
これら新規制定資格の操作範囲を見ると、以下の4種類に大別できます。
中短波の「電信」関連は、技術操作しかできません。また、不思議に移動用・固定用という分類がなされています。それとCB無線にも資格を要する制度だったため簡易無線電話の資格もありますね。また、有線と無線を接続する装置にも資格を要求しているといった、現代から見ると少々厳しい制度にみえます。
この時点の資格で、現代まで生き残っているのは下記の3種類です。
資格 | 操作範囲 |
---|---|
レーダー | レーダーであつて外箱の外部の調整部分及び電源の操作 |
超短波移動無線電話 | 三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力三〇ワツト以下の移動業務の局の無線電話であつて外箱の外部の調整部分及び電源の操作 |
超短波多重無線電話 | 三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する局の多重無線電話の操作 |
簡易無線電話 | 簡易無線局の無線電話であつて検定規則による型式検定に合格したものの操作 |
有無線連絡装置 | 電信の場合を含む有無線連絡装置の操作 |
中短波固定無線電話 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力一〇ワツト以下の固定業務の局の無線電話であつて外箱の外部の調整部分及び電源の操作 |
中短波移動無線電話 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力一〇ワツト以下の移動業務の局の無線電話であつて外箱の外部の調整部分及び電源の操作 |
中短波固定無線電信 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の固定業務の局の無線電信の技術操作 |
中短波移動無線電信 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の移動業務(海上移動業務を除く。)の局の無線電信の技術操作 |
国際無線電信 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)の国際通信及び国内通信のための通信操作 |
国内無線電信 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)の国内通信のための通信操作 |
正式な施行規則が公布されてからわずか1年後、さっそく規則が変更されました。経緯は不明です。内容はかなり大きなもので、資格の創設・廃止が沢山ありました。
全般的ですが、固定・移動で分類されていたのが海上・陸上に分けられたのと、ファクシミリの資格ができたこと、国内電信が2種類になったことが大きな改正です。またこの時点から、技術操作と通信操作がより厳密に区分されました。海上用は通信操作ができるようになっています。
なお、旧資格の廃止に伴う、新資格への引継ぎ規定はなく、規則上は完全廃止になっています。
資格 | 操作範囲 |
---|---|
レーダー | レーダーであつて外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
超短波陸上無線電話 | 三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の固定業務又は陸上移動業務の局の無線電話であつて、外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
超短波海上無線電話 | 三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の海上移動業務の局の無線電話の通信操作並びに外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
フアクシミリ | 陸上に開設した三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の局のフアクシミリであつて、外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作(超短波陸上無線電話の資格の従事範囲を含む。) |
超短波多重無線電話 | 三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する局の多重無線電話の操作 |
簡易無線電話 | 簡易無線局の無線電話であつて検定規則による型式検定に合格したものの操作 |
有無線連絡装置 | 電信の場合を含む有無線連絡装置の操作 |
中短波陸上無線電話 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力一〇ワツト以下の固定業務又は陸上移動業務の局の無線電話であつて外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
中短波海上無線電話 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力一〇ワツト以下の海上移動業務の局の無線電話の通信操作並びに外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
中短波固定無線電信 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の固定業務の局の無線電信の技術操作 |
中短波移動無線電信 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の移動業務(海上移動業務を除く。)の局の無線電信の技術操作 |
国際無線電信 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)の国際通信及び国内通信のための通信操作 |
国内無線電信甲 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)の国内通信のための通信操作 |
国内無線電信乙 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)であつて、公衆通信を取り扱わないもの又は別に告示する島に開設した無線局の国内通信のための通信操作 |
この頃から、命令の出しどころが電波監理委員会から郵政省に変わりました。電波監理委員会もなくなり、電気通信省も廃止で、郵政省に統合されたからです。
多重無線関連の整理と、昭和27年の主権回復による航空業務解禁に伴う整理が主ですが、資格の改廃が2つだけありました。
多重無線電話は多重無線装置へと表現が拡大され、みなし規定により新資格への引継ぎができました。また、有無線は資格不要な無線設備のカテゴリに追加されたため削除されました。
資格 | 操作範囲 |
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レーダー | レーダーであつて外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
超短波陸上無線電話 | 三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の 固定業務、陸上移動業務又は航空移動業務(航空機の安全運航及び正常運航のための無線通信業務を除く。)の局の無線電話(多重無線電話を除く。)であつて、外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
超短波海上無線電話 | 三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の海上移動業務の局の無線電話(多重無線電話を除く。)の通信操作並びに外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
フアクシミリ | 陸上に開設した三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の局のフアクシミリであつて、外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作(超短波陸上無線電話の資格の従事範囲を含む。) |
超短波多重無線装置 | 三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する局の多重無線通信の装置の操作(放送の場合を除く。) |
簡易無線電話 | 簡易無線局の無線電話であつて検定規則による型式検定に合格したものの操作 |
中短波陸上無線電話 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力一〇ワツト以下の固定業務又は陸上移動業務の局の無線電話であつて外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
中短波海上無線電話 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力一〇ワツト以下の海上移動業務の局の無線電話の通信操作並びに外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
中短波固定無線電信 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の固定業務の局の無線電信の技術操作 |
中短波移動無線電信 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の移動業務(海上移動業務を除く。)の局の無線電信の技術操作 |
国際無線電信 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)の国際通信及び国内通信のための通信操作 |
国内無線電信甲 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)の国内通信のための通信操作 |
国内無線電信乙 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)であつて、公衆通信を取り扱わないもの又は別に告示する島に開設した無線局の国内通信のための通信操作 |
昭和32年のものは大改正で、資格の大掃除がされました。この時点をほぼ基本型として平成元年まで資格追加と内容変更のみで乗り切っています。頑張って?2種類に分けた国内電信が、なぜか元の鞘に納まってるのが不思議でたまりません。
廃止資格が多いですが、みなしが全て適用されましたので、完全廃止扱いの資格はありません。
資格 | 操作範囲 |
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レーダー | レーダーであつて外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
無線電話甲 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力一〇ワツト以下又は二七、五〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の固定業務又は移動業務(航空機の安全運航及び正常運航のための無線通信業務を除く。)の局の無線電話の通信操作(海上移動業務に限る。)並びに外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
無線電話乙 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまでの周波数を使用する空中線電力一〇ワツト以下又は二七、五〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の固定業務又は移動業務(航空機の安全運航及び正常運航のための無線通信業務を除く。)の局の無線電話であつて、外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作 |
フアクシミリ | 陸上に開設した三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の局のフアクシミリであつて、外箱の外部の調整部分及び電源の技術操作(無線電話乙の資格の従事範囲を含む。) |
超短波多重無線装置 | 三〇、〇〇〇kc以上の周波数を使用する局の多重無線通信の装置の操作(放送の場合を除く。) |
簡易無線電話 | 簡易無線局の無線電話であつて検定規則による型式検定に合格したものの操作 |
陸上無線電信 | 一、五〇〇kcから四、〇〇〇kcまで及び四、六三〇kc(非常通信用のもの)の周波数を使用する空中線電力五〇ワツト以下の固定業務又は移動業務(海上移動業務及び航空移動業務を除く。)の局の無線電信の技術操作 |
国際無線電信 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)の国際通信及び国内通信のための通信操作 |
国内無線電信 | 陸上に開設した無線局(海岸局及び航空局を除く。)の国内通信のための通信操作 |
この時点以降、電波法施行規則による規定から、政令による規定に移行しました。「無線従事者操作範囲令」です。
以前の操作範囲の規定は「電波法」で通信士・技術士の操作範囲を、電波法施行規則で特殊無線技士の操作範囲をそれぞれ定めていたのですが、これ以降、政令で一本化されています。
形式的には旧資格は全部廃止されて、新資格が施行されていますが、事実上廃止されたものを挙げると以下のようになります。
主な操作範囲の変更点を整理すると、
という点であり、資格の有効期限も無くなって終身免許となりました。
おおまかに分類すると
のように、かなりすっきりした関係になります。
資格 | 操作範囲 |
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レーダー | レーダーの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 |
無線電話甲 |
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無線電話乙 | 特殊無線技士(無線電話甲)の操作の範囲に属する技術操作 |
多重無線設備 |
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国内無線電信 | 陸上に開設する無線局(海岸局及び航空局を除く。)の無線電信の国内通信のための通信操作 |
小改正です。多重の操作範囲に「空中線電力」と「周波数」の制限ができ、1技の指揮下での操作が認められるようになりました。
資格 | 操作範囲 |
---|---|
レーダー | レーダーの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 |
無線電話甲 |
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無線電話乙 | 特殊無線技士(無線電話甲)の操作の範囲に属する技術操作 |
多重無線設備 |
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国内無線電信 | 陸上に開設する無線局(海岸局及び航空局を除く。)の無線電信の国内通信のための通信操作 |
特殊無線技士に無線電話丙が新設されました。甲乙丙と順番になっていますが、現在の航空特殊無線技士に相当する資格です。
資格 | 操作範囲 |
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無線電話丙 |
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昭和47年の命令では操作範囲自体の変更はありませんでした。周波数の単位系がサイクルからヘルツに変わったのみです。この7月1日をもって、日本の周波数単位系はヘルツに変更されました
資格 | 操作範囲 |
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無線電話甲 |
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無線電話丙 |
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多重無線設備 |
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無線電話丙のみを対象とした専用政令でした。トランスポンダが使用可に。
資格 | 操作範囲 |
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無線電話丙 |
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通信士・技術士を含め、かなり広範な改正があり特殊無線技士全般の操作範囲が拡大されました。また、国際VHF用として「国際無線電話」資格が新設です。既に甲と乙を入れてしまったので、甲の上位資格としては十干順の名称(甲乙丙丁戊己庚辛壬)を使えず、それっぽい名称になっています。
なお、国際無線電話は現在の1海特に2陸特を足し合わせたような資格です。
資格 | 操作範囲 |
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国際無線電話 |
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無線電話甲 | 移動局(航空機局を除く。)、陸上局(航空局を除く。)及び固定局の無線設備(レーダーを除く。)で次に掲げるものの国内通信のための通信操作(モールス符号による通信操作を除く。)並びにこれらの無線設備(多重無線設備を除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
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無線電話丙 | 航空機(航空運送事業の用に供する航空機を除く。)に施設する無線設備及び航空局(航空交通管制の用に供するものを除く。)の無線設備(レーダーを除く。)で次に掲げるものの国内通信のための通信操作(モールス符号による通信操作を除く。)並びにこれらの無線設備(多重無線設備を除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
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昭和59年も、またまた資格新設です。無線電話丁ができました。
現在の3級海上特殊に相当する資格ですが、今とは違ってごっそり国際VHF帯が除外されています。資格創設理由は今ひとつ分らないですが、おそらく27MHzDSB1W機あたりが狙いのように思えます。
今回は下位資格創設ということで、十干の名称順(今回は丁)がまだ使えるのですが、まだまだ十干順にこだわっているのに執着心を感じますね。なお、読み方は「ちょう」ではなく「てい」ですのでご用心。
資格 | 操作範囲 |
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無線電話丁 | 船舶に施設する空中線電力五ワツト以下の無線電話で二万五千十キロヘルツ以上の周波数の電波(百五十六メガヘルツから百五十七・四五メガヘルツまでの周波数のものを除く。)を使用するものの国内通信のための通信操作及びその無線電話(多重無線設備を除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 |
電電公社廃止に伴い、国際無線電話の表現が一部変更になりました。単純に「国際公衆通信」が「国際電気通信業務の通信」となっただけです。
資格 | 操作範囲 |
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国際無線電話 |
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平成元年は政令の全部改正があり、資格の大整理が行われました。陸・海・空の3つに分類された影響で、旧資格と新資格とは大きな違いが出ています。
また、旧資格は全部廃止されたことになり、附則に従って新資格へのみなし移行がなされることになりました。 ただし、みなしとは言っても、昭和60年時点で可能だった旧資格の操作は、平成22年現在も原則的に効力が継続中です。
資格 | 操作範囲 |
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第一級海上特殊無線技士 |
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第二級海上特殊無線技士 |
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第三級海上特殊無線技士 | 船舶に施設する空中線電力五ワット以下の無線電話(船舶地球局及び航空局の無線電話であるものを除く。)で二万五千十キロヘルツ以上の周波数の電波(百五十六メガヘルツから百五十七・四五メガヘルツまでの周波数のものを除く。)を使用するものの国内通信のための通信操作及びその無線電話(多重無線設備であるものを除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 |
レーダー級海上特殊無線技士 | 海岸局、船舶局及び船舶のための無線航行局のレーダーの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 |
航空特殊無線技士 | 航空機(航空運送事業の用に供する航空機を除く。)に施設する無線設備及び航空局(航空交通管制の用に供するものを除く。)の無線設備で次に掲げるものの国内通信のための通信操作(モールス符号による通信操作を除く。)並びにこれらの無線設備(多重無線設備を除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
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第一級陸上特殊無線技士 |
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第二級陸上特殊無線技士 |
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第三級陸上特殊無線技士 | 陸上の無線局の空中線電力五十ワット以下の無線設備(レーダー及び多重無線設備を除く。)で二万五千十キロヘルツ以上の周波数の電波を使用するものの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 |
国内電信級陸上特殊無線技士 | 陸上に開設する無線局(海岸局、海岸地球局、航空局及び航空地球局を除く。)の無線電信の国内通信のための通信操作 |
そのほか、3年間だけ旧多重の操作範囲が可能でした。
資格 | 操作範囲 |
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第一級陸上特殊無線技士 | 空中線電力五百ワットを超える多重無線設備で三十メガヘルツ以上の周波数の電波を使用するものの技術操作であって、改正法附則第二条第一項の規定により第一級陸上無線技術士の資格の免許を受けたものとみなされた者の指揮の下に行うもの |
1海特の中短波パワーが50Wから75Wへ、DSCと衛星が可能に、3海特に国際VHF帯が開放、3陸特は全部改正です。1.2GHz以上は100Wまでに緩和されました
3海特の改正は、マリンVHFシステムの導入のために緩和されたものです。Marine VHFは本来、日本でいうところの国際VHFを指しますが、国内においては国際VHFをチャンネル制限したような特殊システムになっている不思議なものです。
昭和63年の海自潜水艦なだしお衝突事故を機に、各種船舶間で共通の通信チャンネル、要するに16chを持つという意味で導入されたようです。(*3)
資格 | 操作範囲 |
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第一級海上特殊無線技士 |
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第三級海上特殊無線技士 | 船舶に施設する空中線電力五ワット以下の無線電話(船舶地球局及び航空局の無線電話であるものを除く。)で二万五千十キロヘルツ以上の周波数の電波を使用するものの国内通信のための通信操作及びその無線電話(多重無線設備であるものを除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 |
第三級陸上特殊無線技士 | 陸上の無線局の無線設備(レーダー及び多重無線設備を除く。)で次に掲げるものの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
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1海特がまたまた改正です。
資格 | 操作範囲 |
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第一級海上特殊無線技士 |
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3海特がまたまた改正です。平成2年と同じく全部改正され、実質的には小型船舶レーダーが使えるようになりました。
資格 | 操作範囲 | 第三級海上特殊無線技士 |
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郵政省廃止と総務省発足に伴う、大臣名の変更のみです。特殊無線で対象となったのは1海特のみで、「郵政大臣」が「総務大臣」へと書きかえられました。
資格 | 操作範囲 |
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第一級海上特殊無線技士 |
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平成元年から、無線従事者の操作の範囲を定める政令だったのが、これを機に電波法施行令の中にまとめられました。3総通と1海特でわずかな文言追加「以下同じ。」→「以下この表において同じ。」されました。
この年は政令245号による電波法施行令の新規公布の他に、第422号による施行令第一次改正で3陸特だけ改正されています(後述)。
資格 | 操作範囲 |
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第一級海上特殊無線技士 |
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3陸特は多重無線設備が全て除外されていましたが、衛星以外の多重ならOKとなりました。
資格 | 操作範囲 |
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第三級陸上特殊無線技士 | 陸上の無線局の無線設備(レーダー及び人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局の多重無線設備を除く。)で次に掲げるものの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
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世界無線通信会議(WRC-15)で衛星利用のAIS(Automatic Identification System: 船舶自動識別装置)が導入されることになったため、従来は電気通信業務のみであった衛星地球局が電気通信用とそれ以外に分離しました。その影響で、3総通、4海通、1海特及び2海特において文言が変更されています。
これによって、4海通、2海特も電気通信業務以外の船舶地球局の操作が可能になりました。
法的には「電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律」(平成29年法律第27号)の改正影響です。
資格 | 操作範囲 |
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第一級海上特殊無線技士 |
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第二級海上特殊無線技士 |
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コミュニティFMとギャップフィラー(小出力のエリア補完用放送中継装置)の条件緩和によって、従来は2陸技以上を必要としていた放送系の設備が、2陸特でも操作可能となりました。
改正対象は、2総通、3総通と2陸特です。2陸特改正の結果として1陸特も対象となります。(3陸特は測定に関する知識が無いとの理由で対象外にしたと総務省が回答。)
資格 | 操作範囲 |
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第二級陸上特殊無線技士 |
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ときおりチェックしていますが、操作範囲の変更はないはずです。(令和元年7月現在)
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