前ページにて、直流分布定数回路の微分方程式は以下の2式にまとまりました。ここに \(V,I\) は \( V=V(x) , I=I(x)\) という位置の関数です。
\begin{eqnarray}
\frac{dV}{dx} &=&-R I \tag{7.4} \\
\frac{dI}{dx} &=& -G V \tag{7.8}
\end{eqnarray}
この2式から電圧と電流が互いに影響を及ぼしあっている様子が分かるのは良いとして、ケーブル上の電圧や電流が実際にどう分布しているのかは見て取れません。
そこで、電圧のみ、電流のみの方程式に変換していきます。
まず、 電圧減少式(7.4)をもう一回だけ距離(位置) \(x\) で微分します。
\[
\frac{d^2V}{dx^2} = -R \frac{dI}{dx} \tag{8.1}
\]
この2階微分した式(8.1)には電流減少式(7.8)をそのまま代入できることがわかります。したがって
\[
\frac{d^2V}{dx^2} = RG V \tag{8.2}
\]
と表すことができ、めでたく電圧 \(V(x)\) の関数だけになりました。
できあがった式(8.2)の方程式は、小難しい分類だと「定数係数」「2階」「線形」「同次」「常微分」方程式になるのですが、微分方程式としてはごく基本的なものであって一般解は以下のようになります。
\[
V(x) = V_1 e^{-\sqrt{RG}x} + V_2 e^{\sqrt{RG}x} \tag{8.3}
\]
ここに \(e\) は自然対数の底(2.71828...), \(V_1,V_2\) はケーブル両端の条件によって決定する電圧です(境界条件)。
電圧の方程式ができたので、電流の方程式も当然つくれます。
先ほどと同様に電流減少式(7.8)を距離(位置) \(x\) 微分して。
\[
\frac{d^2I}{dx^2} = -G \frac{dV}{dx} \tag{8.4}
\]
を得て、式(7.4)を代入すると
\[
\frac{d^2I}{dx^2} = RG I \tag{8.5}
\]
となって、結局は全く同じ形の方程式になってしまい、ただ電圧と電流が入れ替わるだけとなりました。よって、解となる電流の分布関数も式(8.3)にならい
\[
I(x) = I_1 e^{-\sqrt{RG}x} + I_2 e^{\sqrt{RG}x} \tag{8.6}
\]
になります。ここで \(I_1,I_2\) はケーブル両端の条件(境界条件)によって決定する電流です。
RG分布定数回路における電圧、電流の位置関数(分布関数)をまとめると、以下の2式で全く同じ形になりました。
\begin{eqnarray}
V(x) &=& V_1 e^{-\sqrt{RG}x} + V_2 e^{\sqrt{RG}x} \tag{8.3} \\
I(x) &=& I_1 e^{-\sqrt{RG}x} + I_2 e^{\sqrt{RG}x} \tag{8.6}
\end{eqnarray}
では、これらの式が実際にどういった振る舞いをするのか、次ページ以後で見ていきます。
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