漸化式(1.6)を、一般分数型の形で表現すると、
\[
a_{n+1}=\frac{r a_n+s}{p a_n +q} \tag{1.A1}
\]
ここで、 \( a_{n+1}=a_n=x \) と置いて(実はここで収束仮定している。)、特性方程式を立てると
\[
px^2+(q-r)x-s=0 \tag{1.A2}
\]
式(1.A2)の解をそれぞれ \( \alpha,\beta \) とし、重解ではないとする。(ただし、抵抗ラダーの条件で計算すれば重解にならない)
そして、テクニック的に
\[
a_{n+1}-\alpha \tag{1.A3}
\]
及び
\[
a_{n+1}-\beta \tag{1.A4}
\]
を計算する。式(1.A3)は、
\begin{eqnarray}
a_{n+1}-\alpha &=& \frac{(ra_n+s)-(p a_n+q)\alpha}{pa_n+q} \\
&=& \frac{(r-p\alpha)a_n+s-q\alpha}{pa_n+q}
\end{eqnarray}
(1.A5),となるが、\( s-q \alpha\)は、式(1.A2)より、
\[
s-q\alpha=-\alpha(r-p\alpha) \tag{1.A6}
\]
と書き換えることができる。なぜなら式(1.A2)に解の一つαを代入すれば、
\begin{eqnarray}
p \alpha^2+(q-r)\alpha-s \\
p \alpha^2 +q\alpha -r \alpha -s =0 \\
s-q\alpha =-\alpha(r-p\alpha)
\end{eqnarray}
と計算でき、上手い形がつくれるからである。
式(1.A5)を式(1.A6)を使って書き換えると、
\begin{eqnarray}
a_{n+1}-\alpha
&=& \frac{(r-p\alpha)a_n+s-q\alpha}{pa_n+q} \\
&=& \frac{(r-p\alpha)a_n - \alpha(r-p\alpha)}{pa_n+q} \\
&=& \frac{(r-p\alpha)(a_n-\alpha)}{pa_n+q} \tag{1.A7}
\end{eqnarray}
,といった、分子を積の形にまとめることができる。同様に、
\[
a_{n+1}-\beta = \frac{(r-p\beta)(a_n-\beta)}{pa_n+q} \tag{1.A8}
\]
さて、式(1.A7)及び式(1.A8)は分母を同じにしたので、式(1.A7)を式(1.A8)で割ることにすれば、
\[
\frac{a_{n+1}-\alpha}{a_{n+1}-\beta} = \left( \frac{r-p\alpha}{r-p\beta} \right) \frac{a_n-\alpha}{a_n-\beta} \tag{1.A9}
\]
と、等比数列の形に変換ができる。ここに、
\[
b_n = \frac{a_n-\alpha}{a_n-\beta} \tag{1.A10}
\]
と定義すれば、
\[
b_{n+1} = \left( \frac{r-p\alpha}{r-p\beta} \right) b_n \tag{1.A10}
\]
となって、bnは公比 \( (r-p\alpha) /(r-p\beta) \)の等比数列になっていることが分かる。式(1.A10)の初項\(b_1\)は、
\[
b_1 = \frac{a_1-\alpha}{a_1-\beta} \tag{1.A11}
\]
であり、初項a1さえ既知であれば \(b_n\) を一般的な形に書くことが出来て、
\[
b_n = b_1 \left( \frac{r-p\alpha}{r-p\beta} \right)^{n-1} \tag{1.A11}
\]
式(1.A11)の公比は \(n\) に依存しない定数になっているので、これ以降 \(k\) とおく。つまり、
\[
b_n = b_1 k^{n-1} \tag{1.A12}
\]
とする。この関係から \(a_n\) を求めることができて、
\[
\frac{a_n-\alpha}{a_n-\beta} = b_1 k^{n-1}
\]
を \(a_n\) について解けば
\[
a_n = \frac{\beta b_1 k^{n-1}-\alpha}{b_1 k^{n-1}-1} \tag{1.A13}
\]
が目的であった \(a_n\) の形式となる。さらに、実際の式(1.6)に当てはめるには、
\begin{eqnarray}
r & \longrightarrow & R + r \\
s & \longrightarrow & Rr \\
p & \longrightarrow & 1 \\
q & \longrightarrow & r
\end{eqnarray}
と置換し、面倒な諸計算を行うと
\[
k = b_1 = \frac{r+\beta}{r+\alpha}
\]
となるので、
\begin{eqnarray}
a_n & = & \frac{\beta b_1 k^{n-1}-\alpha}{b_1 k^{n-1}-1} \\
& = & \frac{\beta k^{n}-\alpha}{k^{n}-1}
\tag{1.7}
\end{eqnarray}
が導ける。また各変数を再掲すれば、
\[
\alpha = \frac{R}{2} - \frac{\sqrt{R(R+4r)}}{2} \tag{1.7.1}
\]
\[
\beta = \frac{R}{2} + \frac{\sqrt{R(R+4r)}}{2} \tag{1.7.2}
\]
\[
k = \frac{r+\beta}{r+\alpha} \tag{1.7.3}
\]
となる。
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