ある意味どうでもいい情報ですが、工事担任者の資格者証番号に関する情報です。公的には一切明らかにされていないのですが、各種の情報を元に推測はできるので、このあたりをメモ書きしておこうと思いこのページを作成してみました。
念のために言いますが、ここで紹介する番号体系はあくまで推測であることに注意してください。(だって法的根拠が薄いんですもの。)
この体系は電気通信主任技術者とほぼ共通になっています。電気通信事業法で規定された資格群という扱いなんだと思ってます。
最初の記号「A」はどうやら予備ビット的な扱いらしく、A以外が割当されたという話は聞きません。
今後、資格種類が更に増えたりして足りなくなったら使うんじゃないかと思います。
工担資格は新旧合わせて19種類もの種別があります。実質はさらに遡るともう8種類以上あったりしますが、これは旧々資格として付与済なので考慮外。
それで、資格を表す種別は以下のように割当てられています。まずは、2005年までの旧資格から。
記号 | 資格種別 |
---|---|
P | アナログ第一種 |
Q | アナログ第二種 |
R | アナログ第三種 |
S | デジタル第一種 |
T | デジタル第二種 |
U | アナログ・デジタル総合種 |
W | デジタル第三種 |
2020年度まで発給の7資格は以下のような割当て。
記号 | 資格種別 |
---|---|
G | AI第一種 |
H | AI第二種 |
J | AI第三種 |
K | DD第一種 |
L | DD第二種 |
M | DD第三種 |
N | AI・DD総合種 |
2021年度からは5資格に整理されました。
記号 | 資格種別 |
---|---|
A | 第一級アナログ通信 |
B | 第二級アナログ通信 |
C | 第一級デジタル通信 |
D | 第二級デジタル通信 |
E | 総合通信 |
これらのアルファベットはけして適当に割当てられた訳じゃありません。それなりに理由がありそうですので、少しばかり解説をしましょう。
昭和60年(1985)、電電公社と国際電電が法律に基づいて発給していた工担は、政府が直接発給する資格として全面リニューアルしました。この時点では5つの資格、アナログ1~3種、デジタル1~2種のみです。
と、同時に新資格である電通主任もデビューを飾り、こちらの方は3資格制となりました。(伝送交換1種、伝送交換2種と線路)
結果として、電気通信事業法枠内で8資格が新規発給の運びとなり、ほぼ同じ番号体系で資格者証番号が割当てられました。
まずは、主任技術者が優先レーンに入ったようで 資格記号の A-B-C をかっさらいゴールイン。この記号は現在でも継続中。(Bの新規発給はないけど。)
その一方で、工担には P-Q-R-S-T が割り当てられます。アルファベットの後半です。では、なぜPから開始したのか?
それにはある推測が成り立ちます。アルファベット26文字を13文字前後で二分割しようとするとき、境界としては15文字目の O (オー)、つまり A~N–|O|–P~Z として区切ると良いからです。なぜならアルファベットの O(オー)は数字の 0 (ゼロ)と紛らわしくて使えないからです。
平成7年(1995)、規制緩和政策の一環とやらで政府の宿題に答えるべく工担に「アナログ・デジタル総合種」が新設されることになりました。このとき、総合種の記号に U が割当てられ P-Q-R-S-T-U と順番に並びました。
と、ここまでは順調な流れです。ところがこの後に一見して不自然な割り当てが生じるのです。
平成10年(1998)、ISDN普及の目的で「デジタル三種」が新設。このとき、デジ3の記号には 予定調和的な V ではなく W が割当てられ P-Q-R-S-T-U-(V)-W と一つスキップしました。
なぜに V が未割当てとなったのかを示す文書などあるはずも無いですが、ここでも割合に推定は簡単。その理由は V と U が紛らわしいからです(確信)
平成17年(2005)、新たに工事担任者資格が制定されたとき、旧資格は置き去りにされて、工事監督範囲が違う両資格がともに有効という微妙な状態になります。そこで、総務省は主任技術者分の割り当て余力 (D-E-F) を残しつつ、 G 以後に7種類の記号割り当てを行いました。
W 以後の記号はもう X-Y-Z の3資格分しか余裕が無かったからです。(それと Z は数字の2と紛らわしいため使いにくそうで、実質は2資格分かな。)
AI第一種~第三種に (G-H-J) が割当てられたのですが、よく見ると (G-H-(I)-J) と I が華麗にスルーされています。
この理由も例のごとく、アルファベットの I を使わない慣例が定着しているからです。当然ですが数字の1と紛らわしいからに他なりません。
電話番号の指定も同じで、伝統的に使われている固定電話番号体系は 0AB-J と表現します。例えば、0A-BCDE-FGHJ とか 0AB-CDE-FGHJ という番号のこと。10桁目は本来 I (アイ) なんですが、J に置き換えられているので初心者キラーな用語だとつくづく感じる次第
さて、DD第一種~第三種、及び総合種は (K-L-M-N) が割当てられました。アルファベット前半をちょうど使い切っていますね。
あと、そうそう。なぜAI第1種から順に割当てられているのか疑問に思った勘の鋭い方はいますかね。法令上の記載順だからって程度でしょう。
令和3年(2021)、不人気で使い道があまりない2種資格が廃止されるとともに、残る5資格は「名称」のみが変更されました。
幸いにも旧2種を除いて試験内容も監督範囲にも影響はなく、旧資格の所有者は新資格と同一効力がある「みなし規定」が実現しています。
ここに至り、ついにアルファベットの余力が尽きたようです。電通主任で使っている領域が使われ始めました。A-B-C-D-Eが新規に割り当てです(もともと別資格なので本来は問題ない)。
既存体系で未使用のアルファベットは、F,I,O,V,X,Y,Zですが、I-O-Vは前述の理由で使いにくそうですし、新資格が出たらFを使うか、1文字目に手を付けるのでしょうかね。
発行年は、西暦下2桁。2019年だったら 19 。1月~3月に取得したものを見ると年度ではなく年で記録されているのが分かる。
00001番を狙いたいなら、工担は12月に合格通知が来るタイミングがあるので、年末あたりを狙って出すと1月発行の1番という目があるかも。。。
※2023年発行の総合通信資格者証の事例でアンドリュー様より興味深い報告を頂いたのでここに追記します。発行年が「22」でありながら、2023年1月4日交付というものでした。1,900番台とのことで、2022年度の全合格者数1,761名をみるに2022年発行の末番側であることは確実でしょう。
2023年3月発行の別サンプルでは「23」になっているのが確認できるので、やはり年度ではなく年だと想定できるのですが、採番と大臣決裁スケジュールのズレがあったかもしれないと勝手に想像しています。
ちなみに、旧電電公社や旧国際電電の有資格者は昭和60年以前の交付日になっていて、発行年よりも交付日の方が古くなります。
工担の総務省申請区分は4種類あり、A~Dの記号が割当てられています。
国家試験合格は最もポピュラーな取得方法で、有資格者の8割はAになりそうです。
2017年度累計で812,745名の有資格者に対し、試験合格者累計は 673,987名で 83% 。厳密には 合格者≧取得者 なのだが、申請漏れ等は誤差程度と思われるの無視し得るでしょう。
注意点は、実際に受験したかどうかがあまり関係がないこと。実務経験や他資格所持によって無試験取得していたとしても、受験申請後の免除なのでここにカウントされます。
あくまで国家試験を受けたが、科目免除が効いていただけという扱いですね。
養成課程修了は、一部の学校で行われている認定コースを修了することで資格を取得できるパターンです。国家試験実施代行機関である日本データ通信協会自身が開催する eLPIT もこれに属しています。
国家試験ではないというものの、受講時間の単位不足はご法度ですし、修了試験もあってこれに受かる必要もあって、それなりに面倒な部分も。費用はもちろんそれなりに必要です。
具体的な人数は不明ですが、延べ80万名を超える取得者の中で、2万名を超えるか超えないかあたりと推定しています。
2018年度の認定校は13校(PDF)程度ですし、工業高校、専門学校、職業能力開発校が中心なので、年間数百人が限度ぽい感じですね。
また、2006年から続く最大規模のeラーニング養成課程である eLPIT 受講者数が16,700名(2019年9月) , 88% の合格率(同6月)と公表されているので、少なくとも2019年9月時点において 15,000名程度は養成課程取得者になります。
統計上の注意点として挙げられるのは認定校の勘違いでしょう。認定校と言う場合、「科目免除が受けられる」認定校と「資格取得ができる」養成課程認定校の二つがあります。
科目免除校は数百校と数えきれないですが、養成課程認定校はごくわずかです。(無線従事者の養成課程は大量にあるんですけどね。)
C 大臣認定も明確な統計が無いため、どの程度存在しているか確証はありません。
そもそもですが、大臣認定の法定書式が見当たらないあたり、かなり例外規定的な扱いに感じます
推定としては、9万名程度と見積もっています(取得者数-試験合格者数)。ここには次項で紹介する旧公社・旧国際電電の資格書き換えも含まれている想定です。
旧電電公社と旧国際電電の有資格者は法令で引継ぎが認められていたのですが、このとき資格者証の書き換えにDという記号が割当てられていました。これは当時の資格者証交付申請書式には存在していません。
とはいえ、旧資格者専用の法定書式(届出書)は規定されていて、デ協と電気通信振興会で有償配布されていました。
法的に見れば大臣認定とみなされているものの記号はCでなくDなんですね。昭和47年(1972)から昭和59年(1984)までの旧電電公社工担は延べ 約 92,000 名、旧国際電電は延べ 約 2150 名の合格者が存在するので、大臣認定と見られる9万名の推定データとほぼ一致しているようです。
書き換えは昭和60年だけで、以後の新規割り当ては無かったのですが、平成7年に総合種が新設された際にも本記号が割当てられることになりました。(平成7年2月28日 郵政省令第11号)
デジタル1種とアナログ1種両方の有資格者は、申請だけで総合種を取得できることになったため、この申請区分が存在します。
DD1種取得者がAI1種合格したときは、「D」ではなく「A」の試験合格扱いになるようであるが、このあたりは詳しく把握できていない。(資格のみの申請では確実に「D」になる。)
ちなみに、アナログ・デジタル総合種は2005年の試験廃止後も2007年10月1日までは交付申請が可能とされており、2006–2007年にかけて 4,919名が取得しています。大半がこのパターンによるものでしょう。(誤差は何かって云うと、旧制度の養成課程組もここに入る可能性があるからです。)
公衆電気通信法時代(1953-1984)の資格者証番号は、いくつか変遷があるものの、以下のような番号付与体系になっています。
年度記号が「ゐ」になってしまうためか、ここで番号体系が変更された。
資格種別がアラビア数字になった。1~4は第1種~第4種で、5が回線交換種、6がパケット交換種。1981年以後は、官報に認定番号の掲載がなくなって氏名のみとなったため、正確ではないがおそらく体系変更はなかったものと思われる。(4種は1万人超えたので桁数は変わった可能性がある。)