受験科目免除の情報(伝送交換)

1.はじめに

※2021年4月開始の新制度反映済みです。

このページでは、電気通信主任技術者試験の科目免除について紹介しています。免除に関する規定は、全て、電気通信主任技術者規則(昭和60年4月1日郵政省令27号)に記載があります。

近年は同様の情報をデータ通信協会が掲載してくれるようになりましたので、そちらも必見です。

実務経験などの認定はデータ通信協会でやっていますので、該当可否判断が難しいものは最初からあきらめず、問い合わせるのが最もよいでしょう。(最終的な判断は試験免除通知書によります。)

2.免除の種別について

試験免除パターンは大別して以下のように分けられます。

3.伝送交換主任技術者の免除

3.1 科目合格の取り扱い

線路種で「電気通信システム」または「法規」の科目合格がある場合には、伝送交換種でも試験免除が可能です。

3.2 既取得資格での免除

既に該当の資格を保有している場合は、容易に試験科目免除が受けられます。

あくまで申請時に資格者証・免許証を所持していることが前提であることに注意してください。仮に、その資格試験に合格していたとしても、受験申請時点で資格が未発行の場合は免除が効きません。

表1は資格と免除科目の一覧です。規則別表3、4をまとめたものになります。記号のうち○は免除あり、×は免除なしを表します。

表1 資格による免除(伝送交換試験)
現有資格 シス 設備 法規
線路主任技術者 ×
第二種伝送交換主任技術者 × ×
伝送交換主任技術者(特例試験) × ×
第一級陸上無線技術士 × ×
第二級陸上無線技術士 × ×
第一級総合無線通信士 × ×
第一級海上無線通信士 × ×
工事担任者(総合通信) × ×
工事担任者(第一級アナログ通信) × ×
工事担任者(第一級デジタル通信) × ×
工事担任者(AI・DD総合種) × ×
工事担任者(AI第一種) × ×
工事担任者(AI第二種) × ×
工事担任者(DD第一種) × ×
工事担任者(DD第二種) × ×
工事担任者(アナログ・デジタル総合種) × ×
工事担任者(アナログ第一種) × ×
工事担任者(アナログ第二種) × ×
工事担任者(デジタル第一種) × ×
工事担任者(デジタル第二種) × ×
補足
  • 伝送交換と線路は「法規」と「電気通信システム」が同一レベルの出題(というか同一問題)であるため古くから試験の相互免除が可能。

  • 特例試験とは、第二種伝送交換主任技術者が廃止された際に経過措置として行われた試験。資格自体は「伝送交換主任技術者」として発行されたが、現行法規上旧二種として扱われる。

  • 旧二種は、法規の範囲が旧一種よりも出題レベルが簡単だったため、法規免除がない。

  • 旧々工事担任者(アナログ又はデジタル種)は現在もなお有効。

  • 旧工事担任者(AI種、DD種)は2種を除いて、新工担(1,2級アナログ又は1,2級デジタル)とみなされます。例えばAI1種は1級アナログと法的に全く同じ扱いです。

3.3 学歴と実務経験による免除

資格がなくとも、所定の学歴と実務経験によって試験の一部が免除されます。法規だけは試験免除はありません。

管理者個人の感想ですが、本資格の付与に当たっては通信技術の習得もさることながら、特に通信法規の遵守を重視しているように見えます。法規の難問が妙に多い気がするのも、その影響なのかもしれません。

なお、実務経歴・学歴の適用条件は複雑で、機械的に判断できるとは限りませんから、自己判断であきらめたりせず、デ協へ相談してみましょう。

表3 学歴と実務経験による免除
学歴 事業用電気通信設備の実務経験 シス 設備 法規
大学において電気通信工学に関する学科を修めて卒業した者 電気通信設備に1年以上 × ×
伝送交換設備に5年以上
(指導監督的実務経験1年以上を含む。)
×
短期大学若しくは高等専門学校において電気通信工学に関する学科を修めて卒業した者 電気通信設備に2年以上 × ×
伝送交換設備に8年以上
(指導監督的実務経験1年以上を含む。)
×
高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者 電気通信設備に4年以上 × ×
伝送交換設備に16年以上
(指導監督的実務経験1年以上を含む。)
×
補足

学歴については「学校教育法」に基づくものと明記されています。電気通信工学以外の履修者は適用外ですが、「電気通信工学科」などという表現をとる学校はそんなに多くはなく、看板が電気工学科だったり情報科だったりすることが多いと思います。

デ協では電気通信工学に関する学科とは、工学系の電気系学科を指します。理科系の各学科や、工学系の機械系学科、化学系学科、材料系学科、土木系学科、建築系学科等は含まれません。という表現があり、該当するか否かはデ協に問い合わせ・相談するのがよいでしょう。

大卒者であっても「電気系」学科以外の卒業者が経歴免除を受ける場合には、高卒者の経験年数が必要とされることになります。

  • 実務経験のカウント開始は卒業以降となります。

  • 工事、維持、運用に関する実務経験年数とされているので、それ以外の業務は経歴になりません。(NG例としては研究、開発、研修、営業、資材調達、計画、総務、経営企画、端末接続工事、端末保守が挙げられています。)

  • 「事業用電気通信設備」とされるので、回線設備を保有する登録事業者または届出事業者の一部に限定されます。旧許可事業者も該当します。(電気通信主任技術者を選任している事業者であれば該当すると考えられます。)

    回線非設置事業者においては、指定事業者(の指定された期間)のみが免除要件に該当します。(参考:平成30年現在はぷらら、ビッグローブ、ニフティ、楽天の4社/平成29年9月29日 総務省告示322号 / 平成30年6月13日 総務省告示199号)

  • 「伝送交換設備」とあるものは、「事業用電気通信設備」のうち「伝送交換設備」に限られるという意味です。例えば、線路設備は含まれません。

    一方、「電気通信設備」とあるのは、「事業用電気通信設備」に限定されているものの、かなり広範な意味を持っています。法2条の定義では、「電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備をいう」とされており、大半が当てはまりそうです。

  • 指導監督的実務経験というのは、昔から「例えば企業における係長以上の職位での実務経験を指します。」とデ協にて周知されています。課長とか係長とか部下がいるという条件でしょう。(社員・主任・監督・工事長・グループリーダはNG該当例としてデ協から周知されていますが、結局のところ実態によりそうです。)

  • 「中等教育学校」は中学校ではありません。中高一貫校のことです。

3.4 認定校卒業者(卒業前の履修者含む)に対する免除

認定校の科目履修により「電気通信システム」科目が免除されます(規則13条)。在学中でも免除が可能ですが、必要な習得単位は学校ごとに異なるため、詳細は学校に問い合わせてください。

ただし認定以前の履修あるいは卒業は、免除が効きませんのご注意ください。学校・学科の指定のほか、いつ時点から認定という情報も重要です。

認定学校および適用年月日は告示されるのですが、まとめたものがデータ通信協会に記載されていますので、そちらを参照ください。

3.5 現有資格と実務経験での免除

資格「取得後」、事業用伝送交換設備に従事した年数が規定に達すれば、さらに試験免除科目が増えます。

表4 実務経験による免除(伝送交換試験)/規則別表5
現有資格 実務経験 シス 設備 法規
線路主任技術者 資格取得後
事業用伝送交換設備4年以上
(指導監督的実務経験一年以上を含む)
第二種伝送交換主任技術者 資格取得後
事業用伝送交換設備2年以上
(指導監督的実務経験一年以上を含む)
×
伝送交換主任技術者(特例試験)
補足

規則における実務経験の原文は「資格者証の交付を受けた後、電気通信事業者の事業用電気通信設備の工事、維持又は運用に関する実務経験年数」です。

実務経験のカウント開始は資格証の交付日以降になります。
その他の補足は実務経歴での免除、資格での免除を参照のこと。