旧第二種伝送交換主任技術者の使い道

平成16年の改正で、旧第1種と旧第2種伝送交換は一律に「伝送交換主任技術者」とみなされることになりました。 第1種については特段問題ないのですが、第2種については制限がかけられています。

平成16年から17年まで行われた「特例試験」の合格者(39名)もこれに含まれるため、資格者証に「伝送交換主任技術者」と書かれていても、旧2種として別扱いとなっています。

このページでは、旧2種がどのような状態となり、今現在はどのような使い道があるのかを説明していきます。

1.監督範囲はどう違うのか?

まず、旧2種は、現行の電気通信主任技術者としてのみなし規定が適用され、法的にはしっかりと「伝送交換主任技術者」として扱われます。その本来の監督範囲は

○電気通信主任技術者規則 第6条
伝送交換主任技術者資格者証
法第四十一条第一項、第二項及び第四項の電気通信事業の用に供する伝送交換設備並びにこれらに附属する設備の工事、維持及び運用

となっていますが、付則[1](平成16年3月22日総務省令第44号)により、「旧二種資格者」として区別されています。

○平成16年総務省令第44号(最終改正 平成27年総務省令第12号)
  1. 附則 第4条
    1.  前項の規定により新資格者証の交付を受けている者とみなされた旧二種資格者が監督することのできる電気通信設備の工事、維持及び運用に関する事項の範囲(以下この条において「監督範囲」という。)は、新主任技術者規則第六条の規定にかかわらず、電気通信事業の用に供する伝送交換設備並びにこれらに附属する設備(次に掲げる電気通信設備を除く。)の工事、維持及び運用とする。
      1.  事業用電気通信設備規則第三条第二項第三号に規定するアナログ電話用設備
      2.  事業用電気通信設備規則第三条第二項第五号に規定する総合デジタル通信用設備(音声伝送役務の提供の用に供するものに限る。)
      3.  事業用電気通信設備規則第三条第二項第六号に規定するインターネットプロトコル電話用設備(電気通信番号規則第九条第一項第一号に規定する電気通信番号を用いて電気通信役務を提供するものに限る。)
      4.  事業用電気通信設備規則第三条第二項第七号に規定する携帯電話用設備

注意する点は、現行の伝送交換監督範囲から、一~四が「除外」されているということです。ざっくりと書き直すと、

には使えないことになり、法律上で定義される主要な設備種別のほとんどが範囲外となっています。ちょっと使い勝手は悪そうです。

2.受験の免除に制限はあるか?

電気通信主任技術者受験時には従来通りの免除(システム+専門)が適用されます。

ただし、旧2種がそうであったように、「法規」だけは免除になりません。 これは、旧1種と線路の法規科目が同じ難易度(現在でも同一問題が出題される)である一方、 旧2種の法規だけ簡単であったという事情によります。

そして専門科目についていえば、旧1種と旧2種は共通問題でした。すなわち、1種と2種の違いは法規と設備科目しかなかった[2]のです。

旧2種・伝交特例資格取得者による免除
受験対象 実務経験 シス 設備 専門 法規
伝送交換主任 なし × ×
資格取得後
事業用伝送交換設備2年以上
(指導監督的実務経験一年以上を含む)
×
線路主任 なし × × ×
資格取得後
事業用線路設備2年以上
(指導監督的実務経験一年以上を含む)
× ×
資格取得後
事業用線路設備4年以上
(指導監督的実務経験一年以上を含む)
×

3.他資格の免除に関係するか?

無線従事者の免除については、現行の伝送交換主任技術者と代わりはありません。また、工事担任者についても従来通り、どの種別であっても「法規・基礎」が免除されます。

弁理士の免除条件も、単に「電気通信主任技術者」としか書かれていませんので、どの資格種別であろうとも問題ありません。

つまり、他資格の科目免除については旧2種でも全く問題ありません。

脚注

  1. 平成16年3月22日総務省令第44号 附則

  2. 平成11年度第2回試験まで、第2種は「無線」を選択できなかったという相違は存在する。