他資格との関連

このページでは、電気通信主任技術者資格と関係の深い資格を紹介します。

1.電通主任取得者が科目免除できる他資格

関係資格早見図

2.他資格の保有者が免除できる電通主任科目

工事担任者や無線従事者を取得済みの場合、電気通信システム科目が免除可能です。2021年度より専門科目が廃止された影響で、1陸技取得者が有していた2科目免除のメリットは失われました。

関係資格早見図

3.工事担任者【総務省】

いわゆる「電話工事」などの内線設備工事を行うための国家資格で、全部で7種類あります。工事担任者資格を持たないと法的に工事が禁止されるため、「業務独占資格」に分類されます。 2021年度から資格名称変更があり、併せて旧第2種資格が廃止されました。

工事担任者資格 工事監督範囲(2021年4月1日施行時点)
資格 工事の範囲
第1級アナログ通信 アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ。)に端末設備等を接続するための工事及び総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事
第2級アナログ通信 アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事(端末設備に収容される電気通信回線の数が一のものに限る。)及び総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が基本インタフェースで一のものに限る。)
第1級デジタル通信 デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ。)に端末設備等を接続するための工事。ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。
第2級デジタル通信 デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が毎秒一ギガビット以下のものであつて、主としてインターネットに接続するための回線に係わるものに限る。)。ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。
総合通信 アナログ伝送路設備又はデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事

かつては、公衆電気通信工事担任者という電電公社の認定資格でしたが、電気通信事業法の成立によって1985年から国家資格となったものです(同時に電気通信主任技術者も誕生。)。

電気通信主任がネットワークの全体の管理者であるのに対し、ネットワークの末端で工事を行うのが主な職務。

工事担任者の1級や総合の資格を持っていると、電通主任の「電気通信システム」が免除となります。逆に、主任技術者が工担を受験する場合は、3科目中2科目が免除となる上に、「技術」科目免除に必要な実務経歴期間が半分に短くなるという利点も出てきます。

工事担任者との免除関係図

試験科目は、電気通信主任技術者の省略版+実地の工事関連が問われる程度。全くの通信初心者は、基礎から理解できるので、この資格から挑戦する方がよいと思います。
 受験者数が多く、参考書も電通主任に比べてはるかに多いので、勉強しやすい資格です。

資格の需要は電通主任と同様、それほど多くはありませんが、デジタル通信の知識はLAN配線などの工事に必要なこと、難易度が級別で易しいことなどから、工業高校生が取得を目標にする資格でもあります。

なお、試験実施機関は電通主任と同じ(財)日本データ通信協会です。

本資格に関するリンク

メモ:旧工事担任者資格について

平成17年(2005)の法改正で、工事担任者は制度変更されましたが、以下の表にある旧資格は、自動的に新資格へみなし移行したのではなく、「旧範囲」に限り、なお有効とされる状態になっています。

  • アナログ・デジタル総合種
  • アナログ第一種
  • アナログ第二種
  • アナログ第三種
  • デジタル第一種
  • デジタル第二種
  • デジタル第三種
平成一七年四月二十二日 ○総務省令第七八号 附則(経過措置)
  1. 第2条 この省令の施行の際現にこの省令による改正前の工事担任者規則(以下「旧規則」という。)第三十八条の規定により交付を受けている工事担任者資格者証については、この省令の施行後においても、なおその効力を有する。この場合において、当該工事担任者資格者証の交付を受けている者(以下「旧資格者」という。)が行い、又は監督することができる端末設備等の接続に係る工事の範囲については、なお従前の例による。

ですので、新資格の範囲が必要があるときは、旧資格保持者であっても新たに受験し直さなければならない制度となっています。(旧総合種のみ新資格と同等の工事範囲のため、現状は再取得不要)

ただし、電通主任の受験免除資格としては、旧資格であっても引き続き有効です。

旧工事担任者との免除関係図
【参考】 旧々工事担任者資格 工事範囲(平成17年7月31日時点)
資格名 工事の範囲
アナログ・デジタル総合種 アナログ伝送路設備又はデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事
アナログ第1種 アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ。)に端末設備又は自営電気通信設備(以下「端末設備等」という。)を接続するための工事
アナログ第2種 アナログ伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(端末設備等に収容される電気通信回線の数が50以下であって内線の数が200以下のものに限る。)
アナログ第3種 アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事(端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限る。)
デジタル第1種 デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ。)に端末設備等を接続するための工事並びにアナログ第三種の工事の範囲に属する工事
デジタル第2種 デジタル伝送路設備(回線交換方式によるものに限る。)に端末設備等を接続するための工事並びにデジタル第三種の工事の範囲に属する工事
デジタル第3種 デジタル伝送路設備に端末設備を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が毎秒192キロビット以下のものであって端末設備に収容される電気通信回線の数が一のものに限る。)並びにアナログ第三種の工事の範囲に属する工事

また、2021年改正にてDD2種、AI2種が廃止されましたが、こちらも有効な状態が継続しています。

【参考】 旧工事担任者資格 工事範囲(令和3年3月31日時点)
資格名 工事の範囲
AI第2種 アナログ伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(端末設備等に収容される電気通信回線の数が五十以下であつて内線の数が二百以下のものに限る。)及び総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が毎秒六十四キロビット換算で五十以下のものに限る。)
DD第2種 デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が毎秒百メガビット(主としてインターネットに接続するための回線にあつては、毎秒一ギガビット)以下のものに限る。)。ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。

4.無線従事者【総務省】

無線設備の操作に必要な資格です。

全部で23資格ありますが、このうちの7資格で科目免除が可能となっています。特に大きなメリットとして認識されているのが、工学的難易度の高い「1陸技」でも2科目免除が効くことです。

IT系の受験者が1陸技を取得したい場合、先に伝送交換からチャレンジという例が多いです。

伝送交換の出題とほとんどかぶらない「無線工学A」(無線機器系)と電磁気計算がややこしい「無線工学の基礎」が免除されます。

最も工学難易度が高い1陸技で免除可能なため、それ以下の2級陸上無線技術士、1~3級総合無線通信士、1、2級海上無線通信士も免除されます。(ただし、3総通は工学ABの区別がないため基礎のみ免除。)

無線従事者との相互免除関係

5.弁理士【特許庁】

特許の専門家で、特許に関する法的業務全般を扱う難関資格です。2002年度試験から電通主任で科目免除(選択理工V)ができるようになりました。

弁理士の受験一部免除を目指して、電気通信主任技術者の取得をされる方も多いようです。おおむね5%前後の受験者が、電通主任資格による免除を申請しています。

この資格に関する詳しい情報は、特許庁

6.電気通信工事施工管理技士【国土交通省】

電通主任取得者であれば、2018年度から新設された「電気通信工事施工管理技術検定」の受検資格を得るための実務経験年数が短縮される場合があります。

2級(1次)は年齢以外の制限はありませんが、2級(2次)を受検する際に必要な実務経験年数は、指定学科卒業と同等の1年以上の扱いです。(つまり最短)

1級(1次)の場合は電通主任資格+実務経験6年を必要としますので、最短の3年(大学指定学科卒)に比べると見劣りするかもしれません。しかしながら、短大・高専指定学科卒での実務経験5年に次ぐ扱いとなっており、その他の受検資格に比べると十分優遇されていると思われます。

詳しい情報は(一財)全国建設研修センターへどうぞ。

なお、制度創設の経緯や電通主任を含める検討の内容については、国交省の検討会資料が公開されています。「電気通信工事に係る施工管理技術検定に関する検討会」

7.「電気通信工事業」の主任技術者・監理技術者

2006年から電通主任取得後5年間の実務経験で、建業法の主任技術者(電気通信工事業)の資格が得られるようになりました。5年間の実務経験と2年の指導監督実務経験があれば監理技術者の取得要件も満たします(高校指定学科卒と同等)

詳しい情報は、(財)建設技術者センターへどうぞ

8.ネットワークスペシャリスト【経産省】

経済産業省が管轄する情報処理技術者資格のうち、ネットワーク専門の認定試験です。ただし、国家試験ではあるものの業務独占性は一切なく、純然たる認定試験です。

電通主任との制度的な関係は一切ありませんが、近年は電通主任の出題がネスペ(午前)寄りになってきたため同時進行で受験をされる方も多いようです。

この資格に関する詳しい情報は、(独)情報処理推進機構へどうぞ

9.電気主任技術者(電験)【経産省】

よく電気通信主任技術者と間違われやすく、世間では電験と呼ばれることの多い資格です。

古く(明治)からある資格で、事業用または自家用電気工作物の工事、維持、運用に関する保安の監督を行うのが主な職務。電通主任の電力分野の出題は本資格と類似領域で、重点範囲が異なることを除けば電験の知識で十分に解ける問題が多いです。
 ただし免除は何もありません。

1種から3種までありますが、大半の電気設備は3種で十分なため、様々な年齢の方がこの資格を受験しています。 電通主任(旧通信電力)の問題を見る限り、電験3種~電験2種(一部)の知識が必要だと思います。

この資格に関する詳しい情報は(財)電気技術者試験センターYahoo!リンクを辿ってください。

10.技術士【文科省】

技術士は技術関連の資格の中では最高峰のもので、実務経験が要求されるコンサルタント資格です。1次試験と2次試験があり、1次試験に合格すると技術士補として登録することができます。

技術士補として4年間実務経験を積むか、7年以上の実務経験により2次試験が受験でき、これに合格して登録すると技術士を名乗ることができます。最近は国際資格としてとの評価を得るべく、活動が行われているようです。

本資格(電気電子部門)では、電験+電気通信主任+無線従事者+情報処理のような問題が出題され、難易度もさることながら、電通主任以上の試験範囲の広さを持っていることが特徴。

しかしながら電通主任との免除関係は全くありません。

詳しい情報は、(社)日本技術士会などへどうぞ