このページは平成25年度第1回の伝交設備についてのメモと感想です。
問題自体は日本データ通信協会からダウンロードできます。http://www.shiken.dekyo.or.jp/chief/exam/mondai/pdf/h25_1/qwe90.pdf
難易度(5段階評価)は人によりけりですので、何とも言えない部分もありますから、あくまで管理者個人の感想として受け止めて下さい。
今回の総評としては、「難易度が半端ない」です。敢闘むなしく撃沈された方も多かったのではないでしょうか。
分からない用語は、たいてい検索エンジンにお伺い立てれば出てくるはずです。一応、手持ちの書籍で参考にしたものは文献として挙げてあります。ただし、あくまで手持ちなので、最適な参考文献とは限りませんので、あしからず。
なお、間違いとか勘違いに気付いたら、ご指摘プリーズです。
■キーワード
IPTV,IP再送信,IP放送,VOD(Video On Demand) ,CDN(Content Delivery Network),RTP(Real Time Protocol), RTSP(Real Time Streaming Protocol)
■難易度:4/5
■同一過去問
なし
■類似問題
H19-1 データ通信 問2(3) CDN
H22-2 データ通信 問3(1) IPTV ※伝交デ共通問題
■コメント
略語が分かるか、あるいは気づけるかどうかが、キーポイントになっている問題。手持ちの各教科書を見ても微妙に出てこない。ひかりTV系サービスも増えてきたところなので、IPTV系も勉強しなくてはいけない時期に差し掛かったのかもしれません。それと、RTSPという聞きなれないプロトコルが本文に出てきたので、今後の出題に備える必要性あり。
(ア)の選択肢
CDN(Content Delivery Network)なる用語は初見で、手持ちの教科書を見ても全く見当たらず、検索して出てきたぐらい。類似用語としてCDFというのはあった。H19年度のデータ通信で出題されていたが正直キツイだろう。
(イ)の選択肢
VOD(Video On Demand)であろうことは類推しやすいが、VoDとか、ビデオオンデマンドと書いてもらえないと自分的には厳しい。
(ウ)の選択肢
これは簡単。2つの文脈からマルチキャストと答えやすい。
(エ)の選択肢
映像・音声の転送プロトコルといえばRTP(Real Time Protocol)と思い浮かびやすい。これは比較的簡単。
IPTV整理
IPTVの種類
1.VODサービス
2.ダウンロードサービス
3.IP放送サービス
4.IP再送信サービス
VODサービスは、ユーザの要求によって映像がストリーミング配信されるタイプ。必然的にユニキャスト送信となる(ユニキャスト・ストリーミング)。
ダウンロードサービスは、常識的に判断できるでしょう。
IP放送サービスは、通常のTV放送と同様のサービス。マルチキャスト・ストリーミング送信が最適。
IP再送信サービスは、IP放送サービスと同様であるが、地上波やBS放送事業者からの配信を受け、リアルタイムで送信する形式をいう。
■参考文献
新情報通信概論第2版 第14章6項 IPTV
NGN教科書 8章
やさしいNGN/IPネットワーク技術箱
■キーワード
標本化,量子化,符号化,PCM(Pulse Code Modulation),量子化誤差,符号化ディジット数
■難易度:2/5
■同一過去問
H18-1 伝交設備 問2(2)(i)
■類似問題
不明
■コメント
H18-1の伝交設備問題の簡略版で、電気通信工学の基本問題。ただし、(4)の選択肢が極端に細かく、誤りとして処理する際に一瞬悩ませる。また、(2)も深く知っていると少し悩む。
(1)
基本中の基本。
(2)
有線電話なら基本の8bit量子化×8kHzサンプリング=64kbps。
ただ4kHz帯域を8kHzサンプリングというのだけ少し悩む。実際には余裕を見て3.4kHzだからです。
しかし、標本化定理を問いたいのだろうと推測すると、これでOKとする。
(3)
PCMの基本、量子化誤差についての説明。冗長だが内容は合っている。要するに、量子化ビットが少ないと、サンプリング値と原音との誤差が増えるという話。
(4)
細かいので判断しにくいが、直線量子化の場合は、符号化ディジット数を1bit増加すると量子化雑音は6dB減少する。別な言い方をすれば、量子化ステップを1/2にすると、量子化雑音電力は1/4に減少するということ。この導出は平均確率密度の積分など少々面倒であるので暗記した方がよい。
その他PCMのまとめ
実際の音声はかなり音圧レベルが広く、それを8bitで直線量子化すると、表現できる範囲が狭過ぎる=量子化雑音が大きいので、音声をいちど13~14bitで量子化した後に圧縮する。 方式としては、ITU-G711シリーズとして勧告されているA-law,μ-law方式がある。A-lawは欧州等、μ-lawは日米で使われている。H18-1では圧縮方式も問われた。
■参考文献
やさしいデジタル伝送[改訂4版]
■キーワード
CELP(Code Excited Linear Prediction),ADPCM(Adaptive Differential PCM),MPEG1
■難易度:4/5
■同一過去問
なし
■類似問題
H18-1 伝交設備 問2(2)(ii)
H22-2 データ通信 問3(2)※伝交デ共通問題
H24-2 データ通信 問5(2)※伝交デ共通問題
■コメント
前問と同じくH18-1の焼きなおしである。表現が細かいので、CODEC関係をやりこんでいる人じゃないと難しい。
(1)
説明文がADPCM(適応差分PCM)の内容になっており、CELPをADPCMに修正すると正しい文章となる。
64kbpsで2回線ということから、ビットレートは32kbpsで、ITU-G.726規格(旧G721規格)のことを指していると考えられる。
PHSなどで使用。http://www.ttc.or.jp/jp/document_list/pdf/j/STD/JT-G726v2.1.pdf
(2)
ADPCMではなく、ボコーダー(Vocoder)/分析合成符号化、あるいはスペクトル符号化の文章と考えられる。人工音声的であり音質を犠牲にしてビットレートを下げる手法。
(3)
正しい。
(4)
MPEG-1は「音声及び静止画像」の部分が誤り。動画が正しい。ビデオCDなどの録画媒体用として1992年に規格化された。問題として問うのは古すぎるような気がする。
用語の整理
予測符号化: 既知の画素信号から別の画素信号の値を予測し、予測値との差分のみを符号化する。
フレーム内符号化: 予測符号化の一種。動画の一コマ(フレーム)内で、隣接する画素間近傍の空間相関が高いことを利用する。
フレーム間符号化: 予測符号化の一種。被写体が静止あるいはゆっくり動くと、フレームの同じような場所にとどまる。つまり時間方向の相関が高いことを利用。
動き補償予測:予測符号化の一種。動画内の移動被写体の動きから次フレームの位置を予測する方法。画像ブロックをそのまま移動するので、予測通りに動けばデータ量が圧縮できる。
変換符号化: ある範囲(ブロック)をまとめて変換する。隣接画素間の相関が高ければ、各種の基底変換により効率的な符号化が可能。離散フーリエ変換、離散コサイン変換、アダマール変換などがある。基底とは関数の基底をいうが、分かりやすい例として、x-y座標とか、sin/cosなど互いに関係の無い数を使った数値基準に変換すると考えればよい。
■参考文献
(画像符号化)新情報通信概論第2版 14章画像通信技術
(音声/画像符号化)やさしいデジタル伝送[改訂4版]
(CELP)無線・衛星・移動体通信
(CELP)http://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol8_4/vol8_4_025jp.pdf
(CELP)http://www.ricoh.co.jp/about/company/technology/techreport/23/pdf/091_094.pdf
■キーワード
NGNアーキテクチャ,トランスポートストラタム、サービスストラタム
■難易度:3/5
■同一過去問
なし
■類似問題
H22-2 伝交設備 問2(3)
H24-2 交換 問5(5) ※伝交デ共通問題
H23-1 交換 問4(5) ※伝交デ共通問題
H22-2 交換 問1(5)
H21-1 交換 問1(5)
H20-2 交換 問1(2)
■コメント
NGNの基本部分であるが、用語に慣れていないと厳しい。なお、ストラタム(stratum)という用語は通信プロトコルレイヤと似た概念であるが、プロトコル群/機能群(function)としての側面が強い。通信系の規格書によく出てきます。
(1)
基礎知識があれば解ける。なお、トランスポート機能=IPパケット転送機能であり、
ルータやスイッチのことを指す。OSIのトランスポート層と混同しないよう注意。
またアプリケーションはサービス制御機能などを指す。
(2)
トランスポートストラタムは、トランスポート制御機能とトランスポート機能の2つからなるため正しい。
トランスポート制御機能にはRACF(Resource and Admission Control Functions:帯域確保やQoSの機能)と
NACF(Network Attachment Control Functions:端末へのIPアドレス割当、ネットワーク認証の機能など)がある。
(3)
いまひとつピンと来ない表現で怪しんでしまう。
TTC標準規格内の3行を2行にまとめたときに、日本語が崩壊したパターン。
本来は「アプリケーションとサービスの操作に関与する」が正しく、ここで一度文章が終わる。
その次にサービスの例示「例えばサービスは、音声、データ、および映像アプリケーションと関連し」があるのだが、 これを無理やりつなげてしまったために、「端末間のアプリケーションと音声、データ、映像アプリケーションなどと関連するサービスの操作」という日本語としてどこで区切るべきか?一読では判然としない文章が登場したのだと考えられる。
(4)
基本的なことが分かっていれば誤りと判断しやすい。
サービスとトランスポートの分離は最も基本ですので正しいが、サービス別に分離されているわけではない。
NGN用語整理(JT-Y2011より抜粋)
サービスストラタム
サービスに関するデータを転送するユーザ機能、そして、ユーザサービスとアプリケーションの提供を可能にするためのサービスリソースやネットワークサービスの管理機能および制御機能を提供するNGNの一部。
ユーザサービスは、サービスストラタム内の複数のサービスレイヤの繰り返しによって実装される場合もある。
NGNサービスストラタムは、端末間のアプリケーションとサービスの操作に関与するものである。例えばサービスは、音声、データ、および映像アプリケーションと関連し、それらは単独、またはマルチメディアアプリケーションの場合は組み合わせて提供される。
トランスポートストラタム
データを転送するユーザ機能、そして、端末間においてそのようなデータを転送するためのトランスポートリソースの制御と管理を行う機能を提供するNGNの一部。
転送されるデータはそれ自体がユーザ情報、制御・管理情報となる。
エンティティ間の情報転送を制御するために、ダイナミックまたはスタティックな連携が設定される場合がある。
■参考文献
NGN教科書(インプレス標準教科書シリーズ) →詳しすぎる
新情報通信概論第2版 7章 → ほんの概要しかない。
やさしいNGN/IPネットワーク技術箱 → 試験レベルにちょうどよい
http://www.ttc.or.jp/jp/document_list/pdf/j/STD/JT-Y2011v1.pdf →本家
■キーワード
ANI(Application Network Interface) ,UNI(User Network Interface),NNI(Network Network Interface)
■難易度:4/5
■同一過去問
なし
■類似問題
H22-2 伝交設備 問2(3)
■コメント
NGNしっかりやり込んでないと厳しい。
ANIについての選択肢である(2)は、どうしても原典が見出せず、NGN教科書を隅まで読んでようやく出てきたレベル。
書籍の出版時点ではそもそも標準化の初期段階らしくほとんど載ってはいない。とはいえ、推測で十分に誤りと判断できるとは思う。
(1)
3つのインタフェース(ANI,UNI,NNI)なのでHMIが誤り部分。推測だが、Human Machine Interfaceっぽい。
(2)
アプリケーションがNGNに依存しないよう、わざわざ用意されているものがANI。
(3)
まぁ正しいと判断できる。
(4)
NNIはPTSN/ISDNなどの異なるNWとの接続も考慮されているので誤り。もちろん直結できないので、GWを介す。
(5)
ANIはアプリケーションとアクセスストラタム間のインタフェース。一足飛びにトランスポート層とは直接やりとりしない。
■参考文献
NGN教科書(インプレス標準教科書シリーズ)
http://www.ieice-hbkb.org/files/S1/S1gun_06hen_05.pdf
■キーワード
PWM(Pulse Width Modulation),バイパス回路
■難易度:4/5
■同一過去問
H16-1 伝交設備 問2(1)
■類似問題
H21-2 伝交設備 問2(1)
H20-1 伝交設備 問2(2)
H18-2 伝交設備 問2(4)
■コメント
電力分野の基本問題であるが、保持時間まで問われる微妙な問題。
(ア)
比較的容易な問題。UPSの構成要素として整流器・BATTとあと一つと言われれば、インバータしか該当するものはない。
(イ)
正弦波に近づけるという条件から、矩形波ではないことが分かる。すると、PWM(パルス幅変調)に解答が絞られるが、これにはやや専門的な知識が必要。
(ウ)
UPSには大体付いているバイパス回路。故障時や保守時、あるいは出力超過時などに使用される。実務を知らないと厳しいと思われる。
(エ)
前提条件が小容量の3kVAで、サーバ停止(OSシャットダウン)や電源切り替えが対象と考えると、与えられた選択肢(10分、3時間、8時間、1日)の中では10分程度が妥当である。
■参考文献
新訂版 情報・通信用電源
■キーワード
AAAAレコード、ルートドメイン、トップレベルドメイン
■難易度:5/5
■同一過去問
なし
■類似問題
なし
■コメント
問題文が少し細かいように思える。個人的にはDNSは基本しか知らないので、正直難しかった。あと、適度な参考文献を探すのに苦労。DNSサーバ立てたことがある人なら当然楽勝でしょうと思いきや、MXやAレコードでなく、AAAAレコードが問われるなど、IPv6への執念が見える。
(1)
木構造のトップはルートドメイン。分岐点がトップレベルドメインで、逆になっている。DNSの基本です。
(2)
ピンと来ない誤り選択肢である。おそらく「階層配下にあるすべてのドメインに関する情報を有している」が誤り部分。注意深く読めばDNSの階層化と真っ向から勝負している表現のようにも取れなくない。
(3)
IPアドレスからホスト名への変換は、正引きではなく、逆引き。これは分かりやすい誤り。
(4)
リソースレコードという表現は正しいが、DNSとMACアドレスは関係がないというのは常識レベル。それはARPとかのお仕事でしょう。
(5)
IPv6はAAAA(クアッドA)レコードです。自分は知りませんでした。
用語の整理
Aレコード
:IPv4用のレコード(32bit)
AAAAレコード
:IPv6用のレコード(128bit)
MXレコード
:そのドメインのメール交換局
■参考文献
やさしいNGN/IPネットワーク技術箱 p118-121
マスタリングTCP/IP 第5版 5.2章
マスタリングTCP/IP 第2版 IPv6編
■キーワード
IPv6トランスポート、ルートネームサーバ、DNSキャッシュ、リゾルバ(Resolver)
■難易度:3/5
■同一過去問
なし
■類似問題
なし
■コメント
前問よりもさらに細かいDNSの問題。設備管理でここまで細かい必要性はあるのか、多少疑問なところもある。ただ、誤り選択肢が比較的易しいので得点源になりやすい。
(1)
IPv6トランスポート(DNS)という用語を初めて知りました。
(2)
DNSの最下層ではなく、最上位がルートネームサーバ。これはDNSの基本。
(3)
DNSキャッシュは、過去問(DNSキャッシュポイズニング)などで出ている。
(4)
細かい出題だが、リゾルバはUDPを使ってDNSにアクセスするので正しい。
■参考文献
マスタリングTCP/IP 第5版 5.2章
マスタリングTCP/IP 第2版 IPv6編
■キーワード
QAM、π/4シフトQPSK、DS-SS方式、FH-SS方式、IMT-2000
■難易度:5/5
■同一過去問
なし
■類似問題
なし
■コメント
非常に細かい突っ込んだ内容の出題だと感じる。あと全般的に古い印象。π/4シフトQPSKは第2世代携帯電話(PDC)や初期PHSに使われていたもの。個人的には専門分野なので何とか解くことができたが、専門外の受験者には酷な問題だと思った。専門科目の中ではたびたび問われているが、設備管理の出題としては初見のようである。
(1)
PAM(Pulse Amplitude Modulation:パルス振幅変調)ではなく、PSK(Phase Shift Keying:位相変調)やQAMの誤り。PAMはPCM信号の標本化に用いるイメージが強い。
(2)
16QAMは1シンボルで16通りの信号点配置なので、2の4乗=16から、1変調シンボルあたり4bitの情報伝送速度となる。
(3)
位相差が通常のQPSKの表現となっている。π/4シフトQPSKでは、変調ごとにπ/4(90度)位相基準をずらすので、+-π/4と+-3π/4の計4つ。
(4)
スペクトル拡散変調方式(Spread Spectrum)方式にはDS(直接拡散)とFHがあり、IMT-2000(W-CDMA/UMTSやCDMA2000等)はDS方式なので正しい。無線LANはIEEE802.11や11bが該当。現状、FHはBluetoothぐらいしか使われていない。
用語の整理
PAM(Pulse Amplitude Modulation)
:アナログ入力信号をパルス変調して、その振幅を切り取る方式。パルスの高さ(大きさ)がアナログ信号の入力値に比例する。現在、無線変調方式として用いられることはまず無いが、A/D変換時のサンプリング処理(標本化)には欠かせない過程となる。
QAM(Quadrature Amplitude Modulation)
:一度の変調で、複数bitの伝送が出来る多値変調技術。振幅と位相を同時変調する。16QAM,64QAM,256QAMが有名どころ。256QAMだと信号の配置点が256通りあるので、1変調で8bitの情報伝送が可能。
QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)
:4値位相変調。
π/4シフトQPSK
:変調ごとに、位相基準を90度づつずらしていくNTT開発方式。変調時の振幅変化が小さく、リミッタが使用でき、遅延検波が可能であるなど、モバイル端末に有利な特徴とされた。
DS-SS
:1次データ変調の後に、PN符号などで2次変調を行い広帯域に拡散させる方式。3G携帯で使用。UMTSでは3.84Mchip/sの速度の拡散コードを利用し、5M帯域を得る。
FH-SS
:1次データ変調の後に、ホッピングシンセサイザで、タイミングごとに頻繁に周波数を変えて送受信することにより広帯域に信号を拡散する方式。Bluetoothでは1M帯域の79Channelを1600hop/sの速度で拡散している。
■参考文献
セメスター大学講義 無線・衛星・移動体通信
ウェーブサミット講座 移動通信
ユビキタス技術 無線LAN
改訂3版 ワイヤレス・ブロードバンド教科書 高速IPワイヤレス編
第2版 スペクトラム拡散通信(TDU出版)
■キーワード
FDMA(Frequency Division Multiple Access )、TDMA(Time Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)、SCPC(Single Channel Per Carrier),TDD(Time Division Duplex)、FDD(Frequency Division Duplex)
■難易度:4/5
■同一過去問
未調査
■類似問題
未調査
■コメント
多元接続技術についての基本と思いきや、SCPCとかの古語に驚いた。全般的にやや古い技術を扱っている印象。また、TDDやFDDなどの複信方式の種別はやや難しい部類に属すると思うので、無線が専門じゃないと、当たりが付けられないと感じた。
(1)
これは正しい事が判断しやすい。あとはSDMAとか今後出るかも。
(2)
正しいと思いたいが、SCPCなる用語で引っかかった。複数の教科書を紐解くと、「やさしいデジタル無線」、「セメスター大学講義」の2文献とNTT-LS本でしか確認できない。マイナー用語だと思うし、概念的に1G携帯の頃の技術なので古すぎる。
(3)
基本だが、専門外だと細かいような気がする。同一周波数で時間を分けて双方向通信を実現するのがTDD、送受信の周波数を分けて双方向通信をするのがFDD。日本における3Gモバイル通信はFDDが主流。TDDの代表格にはPHSとAXGP(TD-LTE)がある。
(4)
これが誤り。「1次変調をほどこした狭帯域の信号を、更に2次変調して広帯域の信号としている」が正しい表現。
用語の整理
FDMA
:周波数でユーザを分ける。ユーザの数だけ周波数チャネルが必要。第1世代携帯。
TDMA
:時間でユーザを分ける。第2世代携帯。
CDMA
:直交符号でユーザを分ける。第3世代携帯。
OFDMA(Orthogonal FDMA;直交周波数分割多元アクセス)
:直交(互いに無干渉)した周波数間隔でキャリアを配置し、極限までキャリア間の幅を狭くしたFDMA方式。ある時間にある周波数をユーザに割り当てる。第4世代携帯(LTEは厳密には3.9G)。
■参考文献
やさしいディジタル無線
セメスター大学講義 無線・衛星・移動体通信
NTT-LS設備管理本
■キーワード
受注生産、見込生産、間接検査、抜取検査、スキップロット検査、計数型検査、計量型検査、合格判定値、合格判定係数
■難易度:4/5
■同一過去問
なし
■類似問題
H24-2 伝交設備問3(2) ・・・間接検査
H23-1 伝交設備問3(1) ・・・スキップロット検査
■コメント
いつもながら厳しすぎて涙が出る、JIS関連問題ですが、半分程度は知識不足でも解答できそうです。主任技術者として、どんな知識を問いたいのかが不明な問題です。
(1)
JIS上の生産形態は受注生産と見込み生産の2種類(JIS Z8141/1202)。細かすぎ。
(2)
「間接検査」は品質管理の基本的な用語です。
(3)
簡単。勘でも、「スキップロット検査」と答えやすい。
(4)
「合否判定値」と「合否判定係数」の一騎打ち解答。合否判定値が正しいのだが、合否判定係数とは何なのかが気になるところ。調べると、係数の方はサンプル数に応じて、合否にかかわる標準偏差を補正したりするのに使用していた。
用語の整理
合否判定係数(Z8101-2 4.12)
:計量値抜取検査において、合格基準に用いられるサンプルの大きさと、合格品質水準規定値を与える係数。
合否判定値(Z8101-2 4.13)
:計量値抜取検査において、合格基準を満足するサンプルの平均値の限界値
見込生産(Z8141 3203)
:生産者が市場の需要を見越して企画・設計した製品を生産し、不特定な顧客を対象として市場に出荷する形態。
受注生産(Z8141 3204)
:顧客が定めた仕様の製品を生産者が生産する形態。
スキップロット抜取検査(Z8101-2 4.19)
:定められた数のロットが、規定された基準を満たした場合に適用する、連続するロットのうちのいくつかのものは検査なしに合格とする抜取検査。
■参考文献
JIS Z8141
JIS Z8101
■キーワード
衛生管理者、安全管理者、総括安全衛生管理者、安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会
■難易度:5/5
■同一過去問
なし
■類似問題
H19-2 伝交設備 問4(1)
H21-1 伝交設備 問4(1)
■コメント
労働安全衛生法からの出題で、通信工事の施工管理などに直接携わらないと厳しい問題。「通信業」に関しての項目については覚えておいた方がよいかもしれない。
(1)
(正)通信業の場合は300人以上。建設業では100人以上での事業場で選任。
安衛法10条、安衛令2条
(2)
(誤)「安全管理者」は、特定の業種において常時50人以上の事業場で選任。
安衛法11条、安衛令3条
(3)
(正)安衛法17条、月1回以上の開催義務は安衛則23条による。
(4)
(正)安衛法19条
■参考文献
労働安全衛生法
安全法令ダイジェスト改訂5版 労働新聞社・・・(直接、本問には役立ちません)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/anzen/anzen00/5.html
NTT-LS本
■キーワード
4S、5S運動、KYT(KYK)
■難易度:5/5
■同一過去問
なし
■類似問題
なし
■コメント
正確に答えようとすると、Bの選択肢の正誤判定が難しい問題だと感じる。
(A)
(誤)4S運動では、整理・整頓・清掃・清潔の4つである。これに躾が加わると5S運動と呼ばれる。
(B)
(誤)「職場の小単位のグループ」という文脈から推測するに、全員参加が基本の「安全朝礼」ではなく、「安全ミーティング」あるいは「TBM(ツールボックスミーティング)」と呼ばれるものと思われる。ただし、かなり曖昧な部分。参考文献では安全朝礼の後に安全ミィーティングが行われることとなっている。
(C)
(正)KYTの基本知識。これは正しいと答えやすい。
■参考文献
安全法令ダイジェスト改訂5版 労働新聞社
事後災害を防ぐための基本心得・基礎知識 労働新聞社
■キーワード
企画型輻輳、災害型輻輳、再呼、重要通信
■難易度:3/5
■同一過去問
H22-1 伝交設備 問2(2)
■類似問題
H21-1 交換 問2(3)
H24-1 交換 問1(3) など
■コメント
設備管理としては大切な概念である輻輳についての問題。最近の過去問でもあり、こういった問題は非常に適切だと思う。唐突にPSTNという用語が出てきて戸惑うかもしれないが、一般には固定網のことを指す用語。狭義にはアナログ電話網を指すがISDN網も含める場合もあって、やや曖昧。PSTN/ISDNという表記も一般的。なお、携帯電話はPLMNという分類になる。
(1)
(正)輻輳についての一般論。
(2)
(正)加入者輻輳の代表例が企画型輻輳。
(3)
(誤)災害型輻輳は、被災地発信によるものよりも周辺からのお見舞い電話や安否確認の電話による輻輳が主な原因となる。
(4)
(正)電話がかからないと何度も掛けなおしますが、これを再呼と言います。
(5)
(正)一例として、110番/119番などの「緊急呼」や指定された「災害時優先電話」は優先的に疎通させます。回線能力を一定数残す「留保制御」なども実施。
■参考文献
新情報通信概論 第2版 p42
通信ネットワークの品質設計 電子情報通信学会
http://www.ntt-east.co.jp/traffic/congestion_flow_index.html
■キーワード
災害時優先電話(通信)
■難易度:3/5
■同一過去問
H22-1 伝交設備 問2(3)
■類似問題
なし
■コメント
過去問とほぼ同等の問題。なお、公衆電話機は優先電話です。
(A)
(正)なお、過去問では「事業者との契約」という表現で正解選択肢になっています。NTTの契約約款を見ると、「契約」約款に「協議」という言葉があるので、どちらも正解なのかも。
(B)
(誤)優先電話は発信優先機能です。
(C)
(誤)PBX収容も可能ですが、「不特定の電話機」から利用できるようにとは推奨していないはず。
■参考文献
http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/net_anzen/hijyo/yusen.html
http://www.ntt-east.co.jp/tariff/pdf/e01.pdf
NTT-LS本
■キーワード
ITU-T M3010、障害管理、構成管理、課金管理、パフォーマンス管理、機密管理
■難易度:4/5
■同一過去問
H18-2 伝交設備 問4(1)
■類似問題
なし
■コメント
ITU勧告を元にした2006年出題の焼き直し。5年ぶりの出題なので過去問やってるかどうか微妙なライン。
ただ、NW知識が多少なりともあれば、半分程度は取れそうなところ。問題分類としては設備管理を装いつつ、地味にISO20000とかITILとの複合問題(最後の3行のみ)のように見える。
(1)
少々悩ましいが、文脈からは資源管理のことを指していると考えられる。そのため、最も近そうな「システム有効度」「構成」の2つぐらいから選択。正解は構成(Configuration)の方です。
(2)
「性能」というヒントから「パフォーマンス」か「システム有効度」ぐらいに絞れる。ただ、システム有効度はJIS信頼性用語に出てくるものなので、除外できる。
(3)
ほぼ、「アクセス権限」の一択に絞れると思う。
(4)
「サービスレベル」と「合意」からSLA(Service Level Agreement)と思いつくかどうかが鍵。個人的にはISO20000やCISCOのIP-SLA技術とかで馴染みがあった。
用語の整理
M3010において、TMN(Telecommunication management Network)の基本的な目標として挙げられているのは、以下の5つ。
障害管理(Fault management)
構成管理(Configuration management)
課金管理(Accounting management)
パフォーマンス管理/性能管理(Performance management)
機密管理(Security management)
これらは、OSIで策定されたFCAPSと呼ばれているものと同じ概念でISO7498やITU-T X700で述べられている。
システム有効度(JIS Z8115 G14)
システムが規定の任務を達成すると期待される尺度。信頼度、アベイラビリティ、能力などの関数として表す。
TQC
Total Quality Control、いわゆるQC新七つ道具系の用語概念。
OC曲線
Operating Characteristic (検査特性)曲線のこと。抜き取り検査方式での信頼性用語。
ログ/履歴
ITU-T X735の障害管理項目中のログ制御機能関係のことか?
■参考文献
http://www.ttc.or.jp/jp/document_list/pdf/j/STD/JT-M3010v2.pdf
(Principles for a Telecommunications management network)
http://www.ttc.or.jp/jp/document_list/pdf/j/STD/JT-X700v1.pdf
(OSI Network Management - General and Architecture Specifications)
http://www.ieice-hbkb.org/files/05/05gun_09hen_01.pdf
(電子情報通信学会 知識ベース 5群9編ネットワーク管理 山村・藤井・多田 2010)
■キーワード
JIS Z8115 信頼性用語 k)管理分野
■難易度:5/5
■同一過去問
なし
■類似問題
なし
■コメント
いつものJIS文書からの丸ごと出題。範囲が広く勉強しにくいので、過去問をやりこんでおくぐらいしか対策方法がないが、完全に新問でお手上げ。問題が作成しやすいだけの意味不明な問題である。
(1) (誤)「信頼性評価」の文章となっている。
(2) (正)
(3) (正)
(4) (正)
用語の整理(JIS Z8115 k)
MT12 信頼性改善
系統故障の原因除去、その他の故障発生確率の低減及びそれら両者を考慮した活動によって、信頼性を向上させるための明確な意図をもって行うプロセス。
MT2 信頼性実証
アイテムに要求される信頼性特性値の実証。
MT9 信頼性評価
試験及びフィールドデータを基にしてアイテムの信頼性特性値を推定する行為。
MT4 信頼性・保全性計画書
ある契約又はプロジェクトについて、与えられた信頼性・保全性性能に関する要求事項をアイテムが確実に満たすために必要な特定の実施方法、資源及び活動を記載した文書。
MT8 信頼性・保全性保証
アイテムが与えられた信頼性・保全性性能の要求事項を満たすという確証を得るのに必要な、適切で計画的、かつ体系的な活動を実施する行為
■参考文献
JIS Z8115信頼性用語
■キーワード
JIS Z8115 信頼性用語 i)解析分野
■難易度:5/5
■同一過去問
なし
■類似問題
なし
■コメント
前問と同様。特になし。
(1) (正)
(2) (誤)「フォールトの木」の説明になっている。
(3) (正)
(4) (正)
用語の整理(JIS Z8115 i)
AN1 故障解析
故障メカニズム、故障原因及び故障が引き起こす結果を識別し、解析するために行う、故障したアイテムの論理的、かつ体系的な調査検討。
AN6 ストレスモデル
所定のストレスがアイテムの信頼性性能値、又はその他の特性に与える影響を説明する数学モデル。
AN5 ストレス解析
アイテムが与えられた条件の下で遭遇する物理的、化学的又はその他のストレスの種類とそれによる影響を決める行為。
AN3 フォールト位置特定
ある保全実施単位のもとで、フォールトを発生している単数又は複数のアイテムの種類とその部位を特定する活動。
AN7 フォールトの木
下位アイテムのフォールトモード、外部事象又はこれらの組み合わせのいずれかが、アイテムに与えられたフォールトモードを発生させることを示す論理図。
■参考文献
JIS Z8115信頼性用語
■キーワード
FIT、信頼度、故障確率
■難易度:3/5
■同一過去問
H22-2 伝交設備 問4(2)
■類似問題
未調査
■コメント
過去問から、数値を変えての出題。計算自体は非常に簡単だが、文章を正確に読み取れるかどうかが最も重要な問題。FITの定義と、メモリの数を意識することが大切だが、最後のアウトプットが「故障する確率」であり、不信頼度を求めることに注意を要する。
■参考文献
なし。
■キーワード
syslog、IDS
■難易度:2/5
■同一過去問
なし
■類似問題
なし
■コメント
TCP/IPネットワークと、ネットワーク機器の基本なので、かなり簡単に感じた。知らなくても半分ぐらいは正答できそうである。なお、選択肢のSANはStorage Area Networkのことだろうか。
ア ID(Identification)ぐらいしか該当するものがない。簡単。
イ パケット監視なので侵入検知システムであるIDS(Intrusion Detection System)が該当。
ウ 時刻なんだからNTP(Network Time Protocol)ぐらいしか該当しない。簡単。
エ サーバやルータ管理とくればsyslogとかSNMPが一般的。文章からは、UNIXのsyslogデーモンというよりは、RFCに規定されるsyslog(RFC 3164)を指しているようである。
■参考文献
マスタリングTCP/IP 入門編 第5版 p326 IDS
マスタリングTCP/IP 応用編 第1版 p450 SYSLOG
Linux教科書 LPICレベル1第5版 p370
■キーワード
ISMS、資産の管理責任者、情報セキュリティ基本方針文書、経営陣の責任、装置の設置及び保護
■難易度:1/5
■同一過去問
H23-1 伝交・線路設備 問5(2)
■類似問題
H22-1 線路設備 問5(5)
■コメント
常識と日本語が理解できれば解けるはずのサービス問題。
1 (正)JIS Q27001 付属書 A7.1.2 「資産の管理責任者」より。
2 (誤)JIS Q27001 付属書 A5.1.1 「情報セキュリティ基本方針文書」より。
法の管轄ではないので監督官庁への届出義務などあるはずない。国や事業によってはありえるが、本文書は国際規格なので無理でしょう。
関係当局との適切な連絡体制の維持が求められる程度。経営陣の承認と全従業員への公表は必要。
3 (正)JIS Q27001 付属書 A 8.2.1 「経営陣の責任」より。
4 (正)JIS Q27001 付属書 A.9.2.1 「装置の設置及び保護」より
■参考文献
JIS Q27001
ISO27001の基本と実践がよくわかる本
■キーワード
UTM、IPS(Intrusion Prevention System)、CASE (Computer Aided Software Engineering)
■難易度:4/5
■同一過去問
なし
■類似問題
なし
■コメント
久々に、あまり馴染み無い用語が多かった出題。セキュリティ実務者なら簡単だろうと思う。残念ながら、我が家の情セキ関係の参考文献が全敗した問題。
1 (正)UTM(統合脅威管理)製品は、1台のGWで何でもできる便利製品。とは知らなかった。
2 (正)統合したからには、当然、こんな影響が出ます。ただ、故障切り分けは製品によるのではないかという疑問も。
3 (誤)CASEツールはソフト開発支援のためのソフト。知りませんでした。基本情報などには出題される模様。
4 (正)コンテンツフィルタもお子様向けなど含め、一般的になってきました。
■参考文献
http://itpro.nikkeibp.co.jp/word/page/10002209/ (CASEツールについて)
■キーワード
IPsec、AH,ESP,L2TP
■難易度:3/5
■同一過去問
H18-2 伝交設備 問5(3)
■類似問題
H15-1 伝交設備 問5(3) ESP/AH
H23-1 伝交設備 問5(5) L2TP
H20-1 データ通信 問2(3) L2TP
■コメント
出題が細かいものの、VPN系のプロトコルをある程度知っていれば、1つか2つに回答を絞れると思う。MPLSとかPBとかGREでなく、L2TPを久々に見た印象。
1 (誤)トンネルモードとトランスポートモードが逆の表現になっている。
2 (誤)AHとESPが逆。認証ヘッダとペイロードという原語からでも推測できる。
3 (誤)IPsecは下位レイヤなので、上位レイヤのFTP/TELNETとは関係ないでしょう。
4 (正)L2TPはPPPやイーサフレームをIP上で伝送するので、LAN間接続にも適用可能。暗号化の機能はGREと同様に有していないので、IPsecと合わせ技をかけることが大半。
■参考文献
やさしいNGN/IPネットワーク技術箱 p142-144 (IPsec)
マスタリングTCP/IP 第5版 p331( IPsecとVPN)
■キーワード
公開鍵、共通鍵、ブロック暗号、ストリーム暗号、排他的論理和、RSA暗号、楕円曲線暗号
■難易度:3/5
■同一過去問
H22-1 伝交設備 問5(2)
H23-2 データ通信 問5(4) ※伝・交・デ共通問題
■類似問題
未調査
■コメント
一応、暗号方式の基本。ただ、普段使う分にはブロック符号化・ストリーム暗号化というのは意識していなかったので、やや難しくも感じる部分があった。
A (正)基本。過去問ではElGamal暗号も出ている。
B (誤)AESやDESはブロック暗号。AESでは128,192,256bitのブロック長となる。
C (正)1bitごとに暗号化するので正しい。なお、排他的論理和(EX-OR)は2値符号化において、掛算器の役割を果たす。RC4暗号化が有名。
■参考文献
やさしいNGN/IPネットワーク技術箱 p146 (主な暗号化アルゴリズム)
情報セキュリティの基礎 織茂
情報セキュリティ教科書 高田・南