平成24年度第1回伝送交換設備のメモ書き

はじめに

このページは平成24年度第1回の伝交設備についてのメモと感想です。

難易度(5段階評価)は人によりけりですので、何とも言えない部分もありますから、あくまで管理者個人の感想として受け止めて下さい。

分からない用語は、たいてい検索エンジンにお伺い立てれば出てくるはずです。一応、手持ちの書籍で参考にしたものは文献として挙げてあります。ただし、あくまで手持ちなので、最適な参考文献とは限りませんので、あしからず。

なお、情報セキュリティ関連に弱いので、間違いとか勘違いに気付いたら、ご指摘プリーズです。

※転載・利用許可は不要です、適当に使って下さい。

問1

問1(1) DNSとドメイン名の概要

■キーワード
 DNS,ドメイン名,ルートDNS,リゾルバ(Resolver)、ネームサーバ(Name Server)

■難易度:2/5

■同一過去問
  なし

■類似問題
 H17-1 データ通信 問4(5)
 H19-1 データ通信 問2(2)
 H21-1 データ通信 問2(5)

■コメント
 TCP/IP初級レベルであるが、個人的には「ゾーン転送」(Zone Transfer)という用語に馴染みが無く、今一つピンと来なかったのが気になった。

■参考文献
 マスタリングTCP/IP(第3版) 第8章アプリケーションプロトコル

問1(2) アクセス系伝送技術

■キーワード
 ISDN,xDSL,PON(Passive Optical Network),HFC(Hybrid Fiber Coaxial)

■難易度:3/5

■同一過去問
 なし

■類似問題
 H21-1 伝交デ共通 問3(3)/H22-2伝交デ共通 問3(3) → 1と2の選択肢
 H23-2 伝交デ共通 問3(2) → 3の選択肢
 H21-1 伝交デ共通 問3(4) → 4の選択肢

■コメント
 かなり細かい出題で苦労。しかし常識が身に付いていれば、4番目の選択肢が明らかにおかしいとは判断できる。さすがに幹線系と加入者系は光を使う場所が逆だろうという感じ。
 それ以外は、受験者を惑わすために細かさを盛った正答だと思われる。 ADSL/VDSL/SDSLは知っていたが、HDSLって知らない。ADSLのAが非対称(Asymmetric)という意味を知っていれば簡単。
 だがHDSLは今や知らなくてもいい知識のようだ。
 懐かしのISDNピンポン伝送が出てくるとは、相変わらず油断ができない試験だと感じました。

■参考文献
 新情報通信概論第2版 
 通信のすべてが分かる本 三木哲也監修・・・HFCが参考になった

問1(3)(i) 交換:No.7共通線の網構成

■キーワード
 CSS7(No.7),STP,SEP,信号リンク,信号ルート

■難易度:4/5

■同一過去問
 なし

■類似問題
 なし

■コメント
 交換機といえば共通線、共通線といえばNo.7ということで伝送交換らしい好感触な問題。ただ門外漢には難しい問題でしょう。

(1)(2)に迷う場所は無し。

(3)は通常2面構成(A/B面)である知識は必要。

(4)はポイントコード(PC:Point Code)といった方が馴染み深い用語だったり。

(5)は消去法で行くか、あるいは、STP(Signaling Transfer Point)という用語を知っていることが必要。
 中継がSTPの役割、SEP(Signaling End Point)が信号端局(要は交換機のこと)。ちなみに信号ルートはSignaling route、信号リンクはSignaling linkの訳である。

■参考文献
 電話はなぜつながるのか 米田正明著
 改訂版 IP時代のやさしい信号方式
 やさしいNGN/IPネットワーク技術箱

問1(3)(ii) 交換:No.7共通線のプロトコル機能部

■キーワード
 CSS7(No.7),MTP(Message Transfer Part),SCCP(Signaling Connection Control Part),ISUP(ISDN User Part),TUP(Telephone User Part),TC(Transaction Capabilities)

■難易度:5/5

■同一過去問
 なし

■類似問題
 なし

■コメント
 かなり細かい出題で、さすがに交換専門でやってる人じゃないと厳しいと思われる。自分も教科書引かなければ曖昧な部分が多いものでした。

A は、まぁそんなものと思われる。

B は細かくて迷う所。少なくとも個人的にTUPなる用語は初見であるが確かに存在した。ISUP以降の人間には厳しいが、気合で○を付けておくぐらいしかできん。なお、参考文献にはTUPはISUPで間に合うので使われていないとある。

C はレベル1が信号データリンク機能部、レベル2が信号リンク機能部の誤り。またOSIもMTPとSCCPを合わせて、レイヤ3まで。レイヤ4~6は対応するものが存在しない。

SS7 Protocol Stuck

■参考文献
 改訂版IP時代のやさしい信号方式
 やさしいNGN/IPネットワーク技術箱

問2

問2(1) 無線技術(衛星)

■キーワード
 衛星通信,姿勢制御,衛星ビーム

■難易度:4/5

■同一過去問
 なし

■類似問題
 H17-1 無線 問3(1)

■コメント
 ほとんど新問です。
 無線屋さんですが、個人的にそろそろ勉強を深めたいところ。
 は聞き慣れないけど、情報通信概論にも載っていて、何とかミッション機器と正答できる。
 は無線系の人なら周波数変換→中間周波とくれば、(スーパー)ヘテロダインと分かると思いますが、専門外の人は厳しいでしょう。
 は衛星固有の話。バイアスモーメンタムは覚えておこうかな…。スピン安定方式では衛星をグルグル回転させるので、アンテナを地球に向ける工夫が必要→デスパン。3軸にはバイアスモーメンタムとゼロモーメンタム方式の2つがある。バイアス式は、ピッチ軸(軌道面垂直方向=南北方向)に大型のモーメンタムホイールで姿勢を安定させ、ロール軸(衛星進行方向=東西方向)とヨー軸(地球中心方向)はスラスタ等で安定させる。ゼロ式は各軸に1個ずつ、計3個のホイールによって制御する。
 はトラヒック集中エリア→スポットと連想が働くはず。

その他の用語

ゼロモーメンタム制御: 3軸制御時に3つのホイールで安定

バイアスモーメンタム制御: 3軸制御時に1軸はでかいので安定させ、残り2軸をスラスタ等で制御する方式。参考 http://www.aero.osakafu-u.ac.jp/as/okamoto/okamoto_new/tango/a_9.htm

アンテナデスパン: 実際にはデスパンアンテナ(Despun Antenna)と言われるようで、衛星本体を回転させて安定させる場合に、アンテナが周期的に明後日方向を向くと困るので、地球に向け続ける機構を備えたアンテナ。機械式とアンテナ給電を切り替える電気的デスパンがある。参考文献ではデスパンアンテナ方式と書いてある。
 despunはspinの過去完了形+deの意味。

プラットホームデスパン: トラポン(中継器)とアンテナをセットでぐるんぐるん。参考文献ではデスパンプラットフォーム方式と書いてある。http://www.bell.jp/pancho/terminology/hyper-dictionary/50-sa/su/spin_stabilization.html

クロスストラップ: 衛星内の異バンドのトラポン同士を接続する機能。http://www.ntt-review.jp/yougo/word.php?word_id=2931

シングルコンバージョン: 受信信号をそのまま周波数変換して中継送信する構成。無線屋さん的には何となく分かるレベル。(1回だけ周波数変換をする意)

グローバル(ビーム): スポットビームと対比される語。地球全体を狙う感じ。静止衛星軌道(赤道上35,786km)から見た地球(直径12,752km)の視野角は17.34度で、これでも結構細いビームの印象を受ける。

バス機器: ミッション機器以外の航法系や電力系装置の総称。基本機器やバスサブ機器という言い方もあり。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%9B%E6%98%9F%E3%83%90%E3%82%B9

トラッキング・テレメトリ・コマンド系(TTC): 遠隔制御系装置のこと。バス機器に分類される。(Tracking,Telemetry and Command)http://www.nec.co.jp/space/technology/bus004.html

なお、我が家の書籍を調べると、意外に衛星が少なく、インマルサットが1冊程度であとは、情報通信概論ぐらいしかなかった。一冊買っておこうかなと思う今日この頃です。

■参考文献
 改訂 衛星通信技術(電子情報通信学会) S60発行なので古すぎ
 あとは、Webばかり。「ウェーブサミット講座 衛星通信」や「セメスター大学講義 無線・衛星・移動体通信」(丸善)が役立つかも。(まだ未購入のため何とも言えない。)

問2(2)(i) IPv6

■キーワード
 基本ヘッダ,拡張ヘッダ,ヘッダ長

■難易度:3/5

■過去問
 H16-2 伝交設備 問2(3)
 H18-1 伝交設備 問1(3)
 H20-2 伝交設備 問1(3)

■類似問題
 H22-1 伝交設備 問2(1)

■コメント
 頻出問題ですが、IPv4で知識が止まってる私には、ん?となったり。
 (1)は、IPv6のアドレスが16octなので、32oct(Byte)の誤り。
 (2)は、Version 4bit ,Traffic Class 8bit ,Flow Label 20bit ,Payload Length 16bit,
Next header 8bit ,Hop Limit 4bit,SA 128bit , DA 128bitで合計は320bit=40byteで正しい。
 (3)は、認証ヘッダ、暗号ペイロードヘッダが誤り。これらはIPSecの使用時に拡張ヘッダにとして使われるため、基本ヘッダには含まれない。
 (4)は、16進表記の誤り。一瞬、あれ?とか思いました。IPv4脳の限界を感じます。

■参考文献
 NTT-LS 電気通信主任技術者 伝送交換設備及び設備管理・法規編
 マスタリングTCP/IP 応用編
 (最近はマスタリング入門編にIPv6が出たそうなので、そちらで間にあうかも。)
 やさしいNGN/IPネットワーク技術箱

問2(2)(ii) IPv6

■キーワード
 エニーキャスト、ステートレスアドレス、ICMPv6

■難易度:3/5

■同一過去問
 なし

■類似問題
 H21-2 伝交デ共通 問4(1)
 H23-1 伝交デ共通 問4(1)

■コメント
 IPv6関係としては押さえておきたいところ。良問の部類と思う。
 (1)Unicast=1:1、Anycastはルータのみが使用し、最も近いノードに配送する。Multicast=複数ノードへ配送で正しい。なお、ブロードキャストはIPv6に存在しない。
 (2)はRFC2462のお話。SLAAC(Stateless Address Auto Configuration)。別にDHCPv6とかあり。「ホスト自身が持つ情報」は、サブネット上でユニークなインタフェース識別子(interface identifier)≒下位64bit(IEEE EUI-64形式の場合)のこと。
 ネットワークアドレスはルータ側から取得し、ホストからルータ要請(RS: Route Solicitation)、ルータからルータ広告メッセージ(RA: Router Advertisement)を受け取って、自動生成する。
 (3)が誤り。リンクローカルアドレスはローカル(同一リンク上)のみで利用可能。ルータ越えは不可。IPv6はアドレス無設定であっても、リンクローカルアドレス(ULA: Unique Local Address)は使用できる。形式はfe80::/10で上位10bit + 0が54bit連続、IF-IDが64bit。
 (4)は、その通りかなぁと思う程度。ICMPがIPv4と違いすぎるのでv6と付く。

■参考文献
 NTT-LS 電気通信主任技術者 伝送交換設備及び設備管理・法規編
 マスタリングTCP/IP 応用編
 情報通信概論第2版
 やさしいNGN/IPネットワーク技術箱

問2(3)(i) 通信電力(受電設備)

■キーワード
 受電装置、遮断器、電力量計、進相コンデンサ

■難易度:4/5

■同一過去問
 H16-2 伝交設備 問3(3)

■類似問題
 なし

■コメント
 ちょっと微妙な問題で、2~4が正しいと確定しないと、1が誤りと答えにくい。
 (1)は、おそらく整流の機能が受電機能ではない(一般に分けて考える)という点を突いていると思う。「受電設備」with「配電設備」、おまけで「整流装置(電力変換装置)」ぐらいに考えて置くべき。

情報・通信用電源には「電圧の変換、負荷へのエネルギ配分、内部外部の事故波及防止、財産責任区分、使用電力量の計量、諸計測」が挙げられている。つまり、受電・変圧・保安・計測が主な柱になると考えたらよい。

(2)は低圧系統ならばブレーカと呼ばれるもの。遮断器と開閉器と2つあって、遮断器は電流を流した状態で切れることに注意。

(3)は、まぁ常識レベル。自宅にもあるでしょ。普通は電力会社資産です。

(4)は電力をかじった人なら分かるレベル。普通の機器はモータなどの巻き線が付いているものなどが多いので誘導性=コイル(インダクタンス成分)が多く、電流位相が遅れます(遅れ位相)。
 すると、無効電力が発生するので、容量性成分=コンデンサを並列にいれて、ある程度はキャンセルします。むやみに入れると高調波流出という電力会社側にとって頭の痛い問題が発生するのは、この上のレベルのお話。

■参考文献
 NTT-LS 電気通信主任技術者 伝送交換設備及び設備管理・法規編
 新訂版 情報・通信用電源

問2(3)(ii) 通信電力(電気事故)

■キーワード
 絶縁劣化、鳥獣侵入、地絡、欠相

■難易度:4/5

■同一過去問
 H20-2 通信電力 問2(2)

■類似問題
 なし

■コメント
 いま一つ、3の猫と4の絶縁劣化のところが分かりにくい問題と感じた。3,4の選択肢はよく読みこまないとだめ。保護継電器関係が設備管理に出るのは厳しいような気がします。

(1)は欠相(一般には、3相3線のうち1本が切れること)の原因で、欠相検出器が正しい。簡単。

(2)は地絡(電線から大規模に漏電する意味)の意味だろう。簡単。なお。過電流継電器は正しい。

(3)のヘビ、ネズミ、ヤモリとかはよく聞く話(鳥獣侵入)だが、猫????って初めて見た。あってもおかしくはないし、http://www.ces.or.jp/hoan/jirei/j_07.html (中国電気保安協会)を見ると、それなりにあるらしい。ヘビだと、ひょろ長いので相間短絡の原因にもなりうる。

(4)は配線の絶縁劣化の判断が難しいところ。接続部の接触不良はよくある話。絶縁劣化=地絡ということだろう、欠相の直接原因ではないと。欠相保護は専用の検出器が必要でこれは正しい。

■参考文献
 なし。「電気」主任技術者の実務本とか、電気保安協会とかの主任技術者セミナーの記憶頼り。

問3

問3(1) 設備管理(工事管理)

■キーワード
 工程管理表、S字曲線

■難易度:2/5

■過去問
 なし

■類似問題
 なし

■コメント
 常識レベルで3問は何となく答えられるのだが、イのグラフの曲線形だけが悩む所。過去問に出題の形跡はなし。どこから持ってきたのだろうか?施行管理技士とかには出題される様子。

はサービス問題、「労働災害」だから安全しか該当なし。
 は「ばらつき」だから統計と自然に回答できる。
 は、「品質とコスト」「品質と工程」なんだから、相反するでOK。でも「品質と工程」って日本語として成立しているのか多少疑問。せめて工程進捗ってしてもらいたい。

はS字なんだけれども、通信工事進捗というよりは、建築・土木に近い分野だと思う。
http://www.dosekan.com/images/pdf/mondai/b05koutei/kouteizuhyou.pdf (カーブの説明)
http://www.ads3d.com/kank/h23/2/2kan23z1.html (管理図の実例)

■参考文献
 なし

問3(2)(i) 設備管理(品質管理)

■キーワード
 新QC七つ道具

■難易度:4/5

■過去問
 なし

■類似問題
 H18-2 伝交設備 問3(3)(ii) → 連関図法のみ
 H16-1 伝交設備 問3(3)(ii) → 連関図法のみなし

■コメント
 事実上の新問。3の系統図法は、「手段や方策をメッシュ状」が誤り。ツリー状ですね。QC分野の比重は下がって来ているものの、まだまだ健在ぶりをアピール。
 新QCのPERT/CPMは頻出なので問題ないと思いますが、連関図法、マトリックス図法、系統図法がマトモに出題されたのは初めてっぽい。

■参考文献
 おはなし新QC七つ道具 納谷嘉信編 日本規格協会
 QC手法入門 製造編 二見良治  

問3(2)(ii) 設備管理(品質管理)

■キーワード
 シューハート管理図

■難易度:5/5

■過去問
 H16-2 伝交設備 問3(3)

■類似問題
 H22-1 伝交設備 問3(2)
 H13-1 伝交設備 問4(1)

■コメント
 いわゆる常連の管理図の問題。近年はシューハートと頭文字が付くようになりました。正直、細か過ぎてかなり難しい。JISから丸ごと出題の「例」のパターン。

(1)は時間または量の両方です

(2)は3σが標準値です。

(3)のu管理図、c管理図ともにポアソン分布に従うデータを扱うが、c管理図は群の大きさが一定でなければならない。グラフの見た目は一緒で、製品の欠点数とすれば、c管理図の方は欠点数をそのまま記載するし、u管理図は単位当たりの欠点数を(その日の製造総数で割るとかして)出すということ。

(4)は管理用と解析用が逆。解析用は工程からデータを得て「工程の状態を解析」するパターン。管理用は、あらかじめ標準値が与えられていて「工程を安定維持するために管理」するパターン。

■参考文献
 QC手法入門 製造編 二見良治
 JIS Z9021-1998 シューハート管理図

問3(3)(i) 設備管理(生産管理用語)

■キーワード
 事後保全、設備保全、設備検査、予知保全、予防保全、JIS-Z-8141

■難易度:4/5

■過去問
 H19-1 伝交設備 問3(3)

■類似問題
 いろいろ

■コメント
 毎度おなじみJIS生産管理用語からの出題です。いい加減にしてほしい系ですが、5年前の過去問がまるごと出題。回答方法としては、1~5までの選択肢を順に「それらしくないもの」を潰していくのが良いでしょう。

(1)(3)は、事後保全と設備保全が真逆に入れ替わってます。ただ、読めば違うと分かるでしょう。

(4)は、設備検査の用語説明になっている。(JIS Z8141 6406)

(5)は、改良保全の文章(JIS Z8141 6211)

JIS Z 8141 6209 事後保全 設備に故障が発見された段階で、その故障を取り除く方式の保全。
JIS Z 8141 6405 設備検査 設備の性能、構造などについて、設備検査規格に基づいて行う検査
JIS Z 8141 6201 設備保全 設備性能を維持するために、設備の劣化防止、劣化測定及び劣化回復の諸機能を担う、日常的又は定期的な計画、点検、検査、調整、整備、修理、取替えなどの諸活動の総称。
JIS Z 8141 6214 予知保全 設備の劣化傾向を設備診断技術などによって管理し、故障に至る前の最適な時期に最善の対策を行う予防保全の方法。
JIS Z 8141 6214 予防保全 故障に至る前に寿命を推定して、故障を未然に防止する方式の保全。

■参考文献
 JIS Z8141

問3(3)(ii) 設備管理(生産管理用語)

■キーワード
 資材管理、製造委託、外注管理、外注依存度、在庫引当

■難易度:4/5

■過去問
 H19-1 伝交設備 問3(3)

■類似問題
 いろいろ

■コメント
 これも上記と同じ過去問からの出題。雰囲気で解答はできるけど、うんざり。これを覚える意味が理解できない。

JIS Z 8141 7101 資材管理 所定の品質の資材を必要とするときに必要量だけ適正な価格で調達し、要求元へタイムリーに供給するための管理活動。
 JIS Z 8141 7202 製造委託 自社の仕様によって資材及び製品を、外注先へ製造依頼又は加工依頼する活動。
 JIS Z 8141 7201 外注管理 生産活動に当たって、内外製の最適分断のもとに、原材料、部品を安定的に外部から調達するための手段の体系。
 JIS Z 8141 7205 外注依存度 自社の製品を作るに当たって、原材料及び、部品を外部に依存する割合。
 JIS Z 8141 7310 在庫引当 注文又は出庫要求に対して在庫台帳の在庫残高からその量を割り当て引き落とす行為。

■参考文献
 JIS Z8141

問4(1) 設備管理(信頼性)

■キーワード
 冗長系、温予備、冷予備、多数決冗長

■難易度:3/5

■過去問
 H22-2 伝交設備 問3(1)

■類似問題
 H16-2 伝交設備 問1(1)
 H15-1 伝交設備 問3(3)
 H12-2 1伝交設備 問3(1)

■コメント
 温予備(warm standby)、冷予備(cold standby)および熱予備(hot standby)の区別を明確にしておく必要がある。

は常用冗長の中で並列冗長と対になるべきものなので、切替冗長(≒待機冗長)は含まないと考えられる。そもそも「切換冗長」という用語がJISにも見当たらなかったりする。

は温予備です。エネルギーがあんま無いのでぬるま湯と覚えておきましょう。

が実は難しい。時間冗長という用語自体が見当たらない謎語です。Google先生にお伺いしてもほとんど見当たらず、「再送」による処理というのは一切見つからない。

は、フェールセーフ(fail safe)なので、日本語的な問題として安全性しか当てはまらない。

用語整理

JIS-Z8115-D4 常用冗長 要求機能を遂行するため、すべての手段が同時に動作するように意図された冗長。

JIS-Z8115-D7 待機冗長 要求機能を遂行するために手段の一部が動作し、その間手段の残りの部分は必要となるまで動作しないように意図された冗長。

D7 備考2 温予備 待機構成要素か、あらかじめ、動作に必要なエネルギーの一部の供給を受けており、切換えのとき、全エネルギーの供給を受け、動作状態となるもの。

D8 熱予備 待機手段が作動状態にあるけれども、システムには機能的に接続されていない待機冗長の形式。

D9 冷予備 待機手段が作動状態になくて、システムにも機能的に接続されていない待機冗長の形式。

D10 m-out-of-n n個の同じ機能の構成要素中、少なくともm個が正常に動作していれば、アイテムが正常に動作するように構成してある常用冗長。  備考 m>n/2となるように構成した場合を多数決冗長(voiting redundancy)という

■参考文献
 JIS Z8141

問4(2) 設備管理(信頼性)

■キーワード
 バスタブ曲線

■難易度:3/5

■過去問
 なし

■類似問題
 H21-2 伝交設備 問4(1)
 H18-2 伝交設備 問4(1)

■コメント
  昔からの定番問題の一つ、バスタブ曲線です。参考文献によると、バスタブ曲線に従う部品が、実は少数派であるという衝撃的な話が載ってます。

(1)アイテムの拡張性の評価はデタラメでしょう。

(2)修理したら、その時点でバスタブ曲線も変化(=リセット)することが、普通に想定できますのでNGです。

(3)曲線がバスタブならば、エージングしてよいですが、使用開始後ではまずいでしょう。ちなみに、エージングという用語はJIS信頼性用語で見当たらないですが、スクリーニングという用語は定義されています。

(4)が、ちょい難しい。かなり微妙な表現。ただ、使用期間は初期や摩耗期も含めると考えるのが妥当。それと、(平均)故障寿命は非修理系のMTTFのことです。(JIS Z 8115 R13備考)

(5)は正しい。保全は予防保全(定期検査や経時保全とか)と事後保全(=修理のこと。)に分かれるので、壊れそうだから壊れる前にメンテしておこうということ。なので、予防保全が正しい

用語整理

JIS Z 8115 T37 スクリーニング試験 不具合アイテムまたは初期故障を起こしそうなアイテムの除去又は検出を意図する試験又は試験の組み合わせ。

JIS Z 8115 F5 初期故障 使用開始後の比較的早い時期に、設計・製造上の欠点、使用環境の不適合などによって起こる故障。

JIS Z 8115 F6 偶発故障 初期故障期間後で、摩耗故障期間に至る以前の時期に、偶発的に起こる故障。

JIS Z 8115 F11 摩耗故障(経年故障) アイテム固有のプロセスの結果として、時間の経過に伴って発生確率が増加する故障。疲労・摩耗・劣化現象などによって時間とともに故障率が大きくなる期間の故障。

JIS Z 8115 HR12 耐用寿命(有用寿命) 与えられた条件で、与えられた時点から故障強度が許容できなくなるまでの期間、又はフォールトの結果、アイテムが修理不可能と考えられるまでの時間。
 備考1.修理系アイテムの故障強度が著しく増大し、経済的に引き合わなくなるまでの時間。

JIS Z 8115 HR13 初期故障期間 アイテムの運用初期において、与えられた時点での修理系アイテムの瞬間故障強度、又は非修理系アイテムの瞬間故障率が後に続く期間の値よりも著しく高い期間。

JIS Z 8115 HR14 偶発故障期間 修理系アイテムの運用期間中、故障強度がほぼ一定である期間、又は非修理系アイテムの運用期間中、故障率がほぼ一定である期間。

JIS Z 8115 HR15 摩耗故障期間 アイテムの運用後期で、修理系アイテムの瞬間故障強度、又は非修理系アイテムの瞬間故障率が、直前の期間の値よりも著しく高い期間。

■参考文献
 JIS Z8115
 保全性技術 藤本良一・堀籠教夫著

問4(2)(ii) 設備管理(信頼性用語)

■キーワード
 信頼度、MTTF、MTBF、MDT

■難易度:3/5

■過去問
 なし

■類似問題
 未調査

■コメント
 これも定番的な問題。

(1)信頼度関数R(t)=exp(-λt)を知っていれば普通にR(0)=1、R(∞)=0となるのが分かる。

(2)少々難しい。MTTFでは無く、MTTFF(Mean Time to First Failure)です。しかも修理系・非修理系は関係ありません。MTTFを知っていれば「最初の故障」で誤りに気付くことができます。

(3)修復時間じゃないですね。そっちはMTTR(Mean Time To Repair)

(4)は正解。運用アベイラビリティが分かっていれば、MDTとMUTは何となく分かるはず。

■参考文献
 JIS Z8115
 NTT-LS本

問4(3)(i) 設備管理(信頼性計算)

■キーワード
 信頼性計算、固有アベイラビリティ

■難易度:2/5

■過去問
 未調査

■類似問題
 未調査

■コメント
 固有アベイラビリティの定義さえしっかり覚えておけば、簡単な計算な問題。
 間違えやすいのは、λ=1/MTBFを計算するとき、パーセント表示であることを忘れないぐらいかな。
 1÷0.4ではなく、1÷0.004となります。以下、計算手順。

math01
math02
math03

■参考文献
 NTT-LS本などに基本式の記載があります。

問4(3)(ii) 設備管理(信頼性計算)

■キーワード
 信頼性計算、並列冗長系

■難易度:4/5

■過去問
 未調査

■類似問題
 未調査

■コメント
 並列冗長系の基本計算なのですが、短時間で解くにはちょっとした高校程度の対数知識が必要です。気合で潰していくのもありですけど・・・。
 ちなみに正式な不等号計算でやるより、等号でインチキしておいて、最後に数値を整数化する方がテクニックとして楽のように思います。

以下、計算手順

math05

■参考文献
 NTT-LS本などに、並列冗長系の基本式ぐらいは記載があります。

問5(1) 情報セキュリティ(ISMS)

■キーワード
 ISMS(Information Security Management System),JIS Q 27001

■難易度:4/5

■過去問
 なし

■類似問題
 H21-2 伝交設備 問5(1)
 H23-1 伝交設備 問5(1)

■コメント
 頻繁に出るような気がするISMSです。

(1) とりあえず、ISMSとくればQ27001と反射的に答えられなくてはいけない。ISO9001は品質マネジメントシステム、ISO14001が環境マネジメントシステム、18001はどうやらOHSAS18001というもの(労働安全衛生マネジメントシステム)らしいです。全く知りません。

(2) ISMS運用組織を答えるのは少し厳しかったが、選択肢の中で除外できるものが多いので正答に辿りつくのは比較的容易。ARIB、TTC、TCAは通信関係だったら馴染みのある組織。
 消去法でJIPDEC((財)日本情報経済社会推進協会)とかろうじて正答可能。http://www.isms.jipdec.or.jp/

(3) デ協的には更新期限が3年間と知らなきゃいけない知識のようです。セキュリティスペシャリストの出題項目では出てくるようですが、どうやらISO規格は3年が標準的みたい。

(4) PDCAはQC関係やビジネスで出てきそうな用語(Plan-Do-Check-Act)ですが、文章からPDCAを推測することは比較的簡単と思う。

JIS Q27001に用語記載があり、PDCAは以下に対応してます。
 Plan 計画 ISMSの確立
 Do 実行 ISMSの導入及び運用
 Check 点検 ISMSの監視及びレビュー
 Act 処置 ISMSの維持及び改善

■参考文献
 情報セキュリティ教科書 高田伸彦・南俊博 著
 ポケットスタディ 情報セキュリティスペシャリスト 村山直紀著
 ISO/IEC 27001(JIS Q 27001)情報セキュリティマネジメント 高取敏夫・竹田栄作 日本規格協会
 JIS Q27001:2006 情報セキュリティマネジメントシステム-要求事項 

問5(2) 情報セキュリティ(ウイルス対策)

■キーワード
パターンマッチング、チェックサム、ウイルス感染時の基本行動

■難易度:2/5

■過去問
 なし

■類似問題
 H19-2 伝交設備 問5(4)

■コメント
 普段からPCに慣れていれば、かなり楽な問題。上記以外に、ヒューリスティック方式とルールデータベース方式を覚えて置くとよいかも。

A は当たり前な回答。ウイルス定義ファイルを日々更新する必要があります。

B はウイルス名を特定するが誤り。チェックサムのアルゴリスムはいろいろあるでしょうが、せいぜいファイル内容や容量の変化があったことしか分からないので、改竄検知だけでしょう。

C は常識的に考えてほしい回答。再起動したところで何のメリットもない。普通はLANケーブル抜くから始める。

■参考文献
 情報セキュリティ読本 (独)情報処理推進機構 実教出版

問5(3) 情報セキュリティ(標的型攻撃)

■キーワード
 標的型攻撃、偽装ファイル

■難易度:2/5

■過去問
 なし

■類似問題
 なし

■コメント
どの選択肢も、「その通りですね。」といったダミー回答。一つだけ不自然なものを挙げられればよし。

(1) は、まぁ、そうだよねって感じ。

(2) は、あるあるって感じ。偽装ファイルが添付されたメールは一時期よく見かけました。

(3) 「HTTPは用いられないが」誤りと。なお、IRCはInternet Relay Chat Protocol と思われる(RFC1459)。独自プロトコルは使用され得るが、当然HTTPも使うでしょって感じ。検索すると、そのものズバリな資料も見つかりました。http://www.atmarkit.co.jp/fsecurity/rensai/appsec04/appsec02.html

(4) うん、そんなもんでしょう。特定標的なら検体も入手しづらい。

(5) 脆弱性対処でアップデートを怠らないことは常識レベル。不正侵入防止システムとかGWの設置(火壁とか)で対処を行うということでしょう。

■参考文献
 なし。

問5(4) 情報セキュリティ(デジタル署名)

■キーワード
 S/MIME、CMS、ASN.1、共通鍵、公開鍵、DSA、ハッシュ関数、離散対数問題(DLP)

■難易度:3/5

■過去問
 H18-2 伝交設備 問5(2)
 H20-1 伝交設備 問5(2)

■類似問題
 なし

■コメント
ほぼ、過去問通りの出題ですが、一部改造されています。

(1) S/MIMEの暗号化と署名のCMS(Cryptographic Message Syntax)は共通鍵ではなく公開鍵暗号方式。 http://www.ipa.go.jp/security/pki/072.html

ASN.1(Abstract Syntax Notation 1)は、抽象構文記法1と呼ばれ、XMLのようなものらしい。通信プロトコル記述に用いられる。(ITU-T X609)
 http://www.itu.int/ITU-T/studygroups/com17/languages/X.690-0207.pdf
 http://www5d.biglobe.ne.jp/%257Estssk/asn1/index.html
S/MIMEの場合、CMS。他にはX509形式がある
 http://tools.ietf.org/html/rfc5652 (RFC5652 Cryptographic Message Syntax)
 http://www.ipa.go.jp/security/fy23/reports/tech1-tg/b_04.html

(2) 発信者特定の誤り。受信者を特定するものではないですね。
デジタル署名 http://www.ipa.go.jp/security/pki/024.html

(3) 不特定多数なのに共通鍵を使ったら大変過ぎます。

(4) DSA(Digital Signature Algorithm) は設問どおり離散対数問題の困難性を利用する。一方、RSAは素因数分解の困難性を利用。DSAのHush関数はSHA-1が標準的みたい

■参考文献
 NTT-LS本
 情報セキュリティ教科書 高田伸彦・南俊博
 http://www.ipa.go.jp/security/rfc/RFC.html インターネットセキュリティに関する RFC

問5(5) 情報セキュリティ(認証サーバ)

■キーワード
 RADIUS、AAA、IEEE802.1X

■難易度:4/5

■過去問
 なし

■類似問題
 H16-2 データ通信 問4(2)
 H21-2 伝交設備 問5(1)
 H22-2 伝交設備 問5(2)
 H23-2 伝交設備 問5(3)

■コメント
(1) は、まぁそんなものという程度。最近のシステムはほぼクライアント・サーバ型なので、多少、慣れない部分があったり。

(2) AAAはAuthentication, Authorization, Accountingの略で、認証・認可・アカウンティング=記録、課金と訳されたりする。アクセスの部分が誤りですね。AAAという用語はルータとかの設定とかにも出てくるので多少は馴染みがあったり。 おそらくセキュア技術の3つのA(Authentication, Access Control ,Administration)とかと引っかけてるのかも。

(3) RADIUSがUDPだというのは、前回のH23第2回伝交設備問5で出題されたマニアックな問題。DiameterでSCTP(or TCP)っていうのはIMS系の知識かな・・・。

(4) IEEE802.1Xが無線LAN・有線LANの違いを意識していないことは有名。RADIUSサーバを使用する場合はEnterprise Modeという(使わない場合はHome Mode)

■参考文献
 情報セキュリティ教科書 高田伸彦・南俊博
 シスコ技術者認定公式ガイドCCNP(ISCW)編・・・RADIUSがUDP依存と説明
 改訂3版ワイヤレスブロードバンド教科書 高速IPワイヤレス編