2021年度から専門科目が廃止されました。現時点では受験者にとって意味のある資料ではなく、歴史的な資料に過ぎません。
この試験は科目選択の自由度が比較的高く、伝送交換なら5科目、線路なら3科目から一つ選べばよいことになっています。
科目間の差異が少なくなってきたとはいえ、どれを選ぶかは受験者の悩みの種でもあり、自身の専門に近いものを選ぶ方、合格しやすそうな科目を選択する方、勉強のしやすさで決める方、などなど人それぞれです。
ところが、科目ごとの人気についてはこれまで公式に発表されたことはありませんでした。20年近く前から「データ通信」、「通信線路」の選択が主流であることは明らかなのですが、その他の科目に関するデータはありません。2009年以後から発表されるようになった「科目別合格率」だけが唯一存在するデータです。
2018年10月になり総務省の研究会において、初めて選択科目の比率が公表[1]されましたので、このデータをまとめてみました。
※情報をいち早くお知らせいただいたF様に感謝
図1 伝送交換の科目受験比率
図1は、ここ3年間(7回分)の受験者比率です(H27年度第1回~H30年度第1回)。数値は1試験毎の平均受験人数を表しています。
やはり「データ通信」が一番人気であることが一目で分かりますが、比率が50%近いというのに驚きです。
各種の受験者データと比較した結果、このデータには科目免除者が含まれておらず、実際に会場で受験した延べ人数であると考えられます。そのため受験申請者の選択比率とは必ずしも一致するとは限りませんでご注意ください。
例えば「無線」は1陸技での免除の際に申請するケースが多いと言われますので、申請者全体の比率についてはもう少し大きめだと想定しています。他にも難易度の高い専門科目があれば増加、実務経験免除が多い科目だと減少する可能性があるものの、全体的には申請者割合とほぼ等しいと見ています。
なお、過去(平成11年度第2回)試験において、当サイトで皆さんから頂いた情報を取りまとめた非公式調査データ[3]と比較しても極端に大きな変化はありません。当時は データ通信(39%以上) ≫ 伝送(16%) ≒ 無線(18%) ≒ 交換(18%) > 通信電力(10%)という傾向でした。
図2 線路の科目受験比率
線路主任における選択科目の比率は、図2のように「通信線路」の1強状態となっています。データ元は伝送交換と一緒で直近3年間(7回分)の受験者比率を抜粋したものです。(H27年度第1回~H30年度第1回)。数値は1試験毎の平均受験人数を表しています。
これらの傾向は既存公表データ[2]からも概ね想定できたのですがが、これを明確に裏付けるデータとなりました。
デ協が作成した資料では、『専門科目(受験者の少ない科目の廃止、専門科目の統合等)の見直しが必要。』と記載があり、試験実施の負担が大きいものと想像できます。
なお、平成30年度第1回の試験データから推計した値は以下の通りで、ほぼ上記の傾向が維持されていると判断できます。
受験者総数 (推定値) |
専門受験者数 (公表値) |
合格者数 (推定値) |
合格率 (公表値) |
受験比率 (推定値) |
専門受験比率 (公表値) |
|
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通信線路 | 720 | 508 | 220 | 30.6% | 93.6% | 93.6% |
通信土木 | 32 | 24 | 5 | 4.4% | 4.2% | 4.4% |
水底線路 | 17 | 11 | 8 | 64.7% | 2.2% | 2.0% |
小計 (公表値) | 769 | 543 | 233 | 30.3% | - | - |
上記、平成30年度第1回試験(線路)は偶然にも高精度で科目別の「受験者数」が推計可能な回でした。「受験者」は「申請者」ではなく、実際に当日試験を受けた方のことです。ここから、受験した方の7割前後が専門科目を受けているであろうことが読み取れます。残りの3割は専門の科目合格者と実務経験による専門免除者であると思われます。
なお、過去(平成11年度第2回)試験の非公式調査データと比較すると、全く変わっていないようです。当時は 通信線路(92%) ≫ 通信土木(6%) > 水底線路(2%)という傾向でした。
平成30年10月9日 総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会 IPネットワーク設備委員会 (第42回) 内の資料 42-2-1 p.9 (PDF 750kB)
(一財)日本データ通信協会 が発表した電気通信主任技術者試験統計情報の "資格/専門別合格率推移表" のデータを用いると、線路主任に限り推計可能な場合がある。
2000年1月に当サイトで各地の受験者から頂いたデータを集計した非公式の調査資料。東京・大阪・札幌・金沢・松山の5会場(6名)によるサンプル調査結果。