電気通信主任技術者試験の科目概要

はじめに

電気通信主任技術者は、ネットワーク全体を統括する管理者という立場にある関係上、個々の専門技術試験とは異なり、様々な技術に精通しなければなりません。この点、特定技術のみについて高度に問われる工事担任者や無線従事者等と違う部分です。

しかしながら、全てを究めなければならないというわけでなく、一つの専門分野を軸に、各技術と管理方法の基礎的な部分が問われます。膨大化、複雑化する電気通信技術について、どれだけ幅広い知識を身につけて行けるかが鍵となるでしょう。

このページでは、大ざっぱな概要を紹介しています。さらに詳しい情報については受験科目の詳細(細目)を参照してください。また、電気通信主任技術者スキル標準(総務省)も参考になります。

1.試験内容の大要について

1.1. 電気通信システム

伝送交換・線路で共通の問題が出題されます。試験は午後に実施されるものの「基礎科目」的な扱いです。

非常に基礎的な電磁気学や電気工学、または通信設備の基本部分の出題で全20問からなります。

個々の問題はとても簡単なものが多いですが、出題範囲の広さが難易度を上げており、免除が効くことも多いため、避けられる傾向にあります。

1.2 法規

伝送交換・線路で共通の問題が出題され、電気通信事業法を中心に有線法、電波法、不正アクセス法、条約などが範囲です。

出題形式が16択1式など非常に意地の悪い出題形式で皆を悩ませ、かつ、受験免除が一切効かない厄介な科目です

1.3 専門科目

専門科目は全部で8科目。うち1科目を選びます。どれを選ぶかは、完全に受験者の自由です。

1.4 設備及び設備管理

伝送交換と線路で異なる問題が出題されます。出題範囲の広さ、問題文の曖昧さなどから難易度が高めです。

専門科目の中から問題を抽出したような設問が多く、加えて管理に関することや情報セキュリティなどが問われます。

2.電気通信システムの詳細

電気通信システム科目
(1)電気工学の基礎
(2)通信工学の基礎
(3)電気通信システムの基礎理論
(4)電気通信システムの構成

電気通信システムで問われる事項は、どれも基礎的な事項ばかりです。

問題個々の難易度は易しいですが、出題範囲が非常に広いので難しい科目でもあります。しかし、認定大学を卒業するか、工事担任者などの資格を持っていれば、免除対象となることが多い科目です。

出題形式は5択1式で全20問です。

実際の問題(PDF)例H25年度第2回試験(データ通信協会)

3. 法規の詳細

伝送交換・線路共に共通の問題が出題されます。

法規科目の詳細
(1)電気通信事業法関連
(2)有線電気通信法関連
(3)電波法関連
(4)不正アクセス行為の禁止等に関する法律
(5)電子署名及び認証業務に関する法律
(6)国際電気通信連合憲章と国際電気通信連合条約の大要

伝送交換・線路共に共通の問題が出題されます。

法規は範囲が広く面倒な科目の一つでしょうが、これらの中で主要な出題対象は(1)と(2)であり、他は少なめで範囲も限られています。
 意地悪な問題が多いと昔から評判の科目で、けして簡単ではありません

免除はありません。逆に電気通信主任技術者資格を持っていれば、工事担任者の法規が免除になります。要は、工事担任者資格の上位にあたる資格だということでしょう。その分難易度はアップしています。

実際の問題(PDF)はH25年度第2回試験法規(データ通信協会)

4. 伝送交換設備の詳細

伝送交換種のみの試験科目です。電気通信のシステムエンジニアとなるために必要な全体的な知識が求められ、出題範囲がかなり広いといえます。内容の半分程度が専門科目の簡略的な設問に相当し、残りは情報セキュリティや信頼性などの管理分野が出題されます。

(1)伝送交換設備の概要
(2)伝送設備の維持及び運用
(3)交換設備の維持及び運用
(4)無線設備の維持及び運用
(5)データ通信の維持及び運用
(6)通信電力の維持及び運用
(7)セキュリティ管理の概要
(8)セキュリティ対策

実際の問題(PDF)H25年度第2回試験伝送交換設備(データ通信協会)

5. 線路設備の詳細

線路主任技術者のみが該当します。

(1)通信ケーブルの概要
(2)通信土木設備の概要
(3)インターフェース技術の概要
(4)通信ケーブルの維持及び運用
(5)通信土木設備の維持及び運用
(6)水底線路の維持及び運用
(7)セキュリティ管理の概要
(8)セキュリティ対策

本科目においては、光ファイバーケーブルや同軸線路、海底ケーブル又は土木工事系の設問が多くなります。伝送交換に比べて、工事に関する知識が特に必要となるので、これまで情報一本で来られた方は戸惑うかもしれません。

電線を引っ張ったり、地中を掘り返したりしなければならないお仕事上、ここでも法律知識が問われることが多々ありますので、対策にも一苦労です。電気電子の知識、半導体や分布定数回路、光工学なども必須となるので難易度は高め。

それらに加えて、最近は「セキュリティ対策」の出題が出るようになり、線路設備なのにウイルスなどの知識も要るようになってしまいました。勉強方法が困りもので、まとまった参考書などが極めて少ないため、個々の専門書を手に入れることも必要でしょう。

実際の問題(PDF)はH25年度第2回試験線路設備(データ通信協会)

6. 専門的能力の詳細

伝送交換主任は、5科目のなかから一つを選択。線路主任は3科目のなかから一つを選択します。

専門的能力
伝送交換主任技術者 線路主任技術者
伝送 通信線路
無線 通信土木
交換 水底線路
データ通信
通信電力

専門は、受験者が最も得意とする科目が選べます。そういった意味では難易度は高くないでしょう。どの専門を選んだからといって、得られる資格自体に違いはなく、業務内容が制限されることもありません。(ただし資格証には記号で記載されます)

IP系ネットワークを学んだ方なら「データ通信」、無線従事者資格をお持ちなら「無線」、 電気主任技術者に選任されているなら「通信電力」、伝送部門勤務であれば「伝送」といったように、好きに選ぶことができます。

また、建築や土木の専門家向けに「通信土木」という科目もあります。この科目が最も異色ですが、実は一番簡単だという意見も。

傾向的にはデータ通信の受験者が多く、次いで通信電力や無線が人気科目です。逆に、伝送や交換などは実務をしていないと資料や参考書が少ないため、受験者は少なめ。ただし、近年は「伝送」・「交換」・「データ通信」の3科目は、その6割が同一問題になっており、IP化の進展により差分が減りつつあります。

線路にあっては、「通信線路」と「水底線路」は、4割が同一問題です。「通信土木」のみ独立出題です。

専門科目の傾向

専門科目は他科目と比べ科目免除が利用できることが多く、資格での免除なら「第一級陸上無線技術士」、業務経歴では大卒(電気通信工学に関する学科履修者)で5年以上など、わりあい多くの方々が免除を利用しています。

実際の問題(PDF)下記のリンク先(データ通信協会)にありますので参照してみてください。いずれもH25年度第2回試験

もしリンク切れになっていましたら、過去問のTOPページ(デ協)をご覧ください

その他関連情報

さらに詳しい受験科目内容は、受験科目の細目をご覧ください。