電気通信主任技術者の資格者証とその変遷

たいして重要では無いと思いますが、電気通信主任技術者の資格者証についてのあれこれです。

1.現在の資格者証

伝送交換資格者証 線路資格者証

平成22年4月1日[1]より、資格者証は上に表示するようなホログラム印刷タイプのプラスチックカードへ変更されました。これまで無かった顔写真付きです。資格発足当時から長らく賞状型であったのですが、無線従事者や工事担任者と共に同一形式の資格者証となっています。

無線従事者免許証

その変更理由は偽造防止と耐久性の向上だそうです。[2]

なお、従来「電気通信事業法第46条の規定により」という文面が、「電気通信主任技術者規則により」と微妙な変更がされていたりします。なぜ、法から省令へと根拠法令が変更されたのかは謎です。

2.現在の資格者証の裏面

資格者証裏面

以前の資格者証の裏面は無地の白紙だったのですが、最近は注意事項が記載されるようになりました。規則上は文面までの指定がありません。

3.旧資格者証(飾り付き)

旧資格者証(伝交) 旧資格者証(線路)

2005年(平成17年)から2010年(平成22年)3月までの間に発行されたと思われるもの(生涯受験生様提供)。鳳凰・雲龍・桐の一般的な賞状タイプであり、用紙もクリーム色です

ほぼ同時期に発行された資格者証2枚の写真ですが、フォントサイズが違ったり、印字位置が異なっていることが分かります。この傾向は初期資格者証でも同様です。

旧資格者証鳳凰柄拡大

なお、同時期に発行された資格者証(まったり様提供)ですが、フチの柄が少し異なります。

旧資格者証(伝交)その2

ちょっと枠の模様を比較してみると、鳳凰柄なのは同じですが、細部が微妙に異なっていることがわかりました。

資格者証の比較

旧資格者証の賞状ひな形は、各総合通信局それぞれで調達していたのかもしれません。余談ですが、私が持っている賞状(全く資格とは関係がない)の中には、この柄と一致するものも見つかりました。

4.旧資格者証(飾りなし)

たけちゃん様から提供いただいた、現事業法(第46条)かつ無地のタイプの資格者証です。2004年4月以後は全て賞状タイプと思い込んでいたのですが、少なくとも初期の発給については下のような無地のものであったことが判明しました。

過渡期の旧資格者証(1伝交)

いつ頃から、飾り付きの賞状タイプになったのかと改めて過去ログを調べなおしてみると、2005年(平成17年)の第1回試験以後と思われます。(少なくとも8月以後の発給は新様式で確定)。

5.旧事業法の資格者証(総務大臣名)

こちらもたけちゃん様から提供いただいた、旧事業法(第45条)の「総務大臣」ものです。

過渡期の旧資格者証(1伝交)

2001年(平成13年)1月から、所轄官庁が郵政省→総務省へ変更となった関係で、大臣名が郵政大臣から変更されました。

そのような事情から、このタイプの資格者証が発給されたのは2001年1月13日から2004年3月30日までの間ということになります。

6.初期資格者証(郵政大臣名)

初期資格者証(1伝交) 初期資格者証(線路)

昭和60年から平成13年1月の中央省庁再編までの間に発給されていた完全無地に素っ気なく印刷された資格者証。裏面は完全なる空白です。

時期によっては、判子と手書き記入で作成されていたようであり、字形が多様です。

最初期資格者証(2伝交)

上記はY様からご提供いただいた昭和時代の第2種伝送交換資格者証です。番号はサインペンでの記入、氏名・生年月日は毛筆だそうです。生年月日は「昭和」までが手書きとなっており、大正・明治生まれも記入できるようになっています。

この時期ですと、大正15年生まれの方は、まだ61歳の計算となりますので、手書きならば空欄必須でしょう。

最後は、U様からご提供いただいた記念すべき第1回試験(昭和60年)の資格者証です。(3科目を受験されたそうです)。この時は事業法施行が4月1日、試験日が7月14日、合格者証の発行が9月頃と慌ただしいスケジュールでした。

法律上は10月1日から資格者の選任が必要で、これに合わせて日程を組んだ様子を見て取れます。(このとき、NTTとKDDでは大臣認定で交付された管理職が多いとの証言を頂いています。昭和60年度の合格者数 (5,812名) よりも取得者数 (10,661名) が多い理由にはこのような背景があります。)

第1回試験後の資格者証(伝交)

7.資格者証の番号の記載

公式には一切明らかにされていませんが、資格者証番号によって、取得年、専門科目、おそらくは取得方法についても分かるようになっているようです。現時点では、過去の状況および資格者証申請書の記載内容からは下記のような番号体系だと推測されます。(あくまで推測です。)

資格者証番号(推測)

既に廃止されてしまった旧専門科目については、多少の語呂合わせをしたような形跡があって興味深いところです。

伝送・交換の資格なので、 A は有線伝送、 B は無線伝送というように割り当てていたようですが、 C の交換はクロスバ交換機(Crossbar)などと掛け合わせた可能性があります。 D が Data 通信なのは分かりやすく、 E 電気の Electricity とかけたのでしょう。

では線路関係はというと、 F は Fiber や Feeder に通じるものがありますし、 G は土木ということで Ground かなぁと思えます。 H はギリシャ語源の水を表す Hydro あたりかな。

なお、2021年度以後は専門科目が廃止されたため J が割り当てられました。 H の次に I (アイ) を割り当てなかったのは、電話業界の慣例に従ったのでしょう。(数字の 1 とアルファベットの I が誤認されやすいため忌避される。)

下の画像はH様ご提供の専門科目廃止後の資格者証(令和4年8月発行)です。

専門科目廃止後の資格者証(伝交)

8.その他

電気通信主任技術者のススメ まったり様が旧資格者証をカードに変更するにはどうしたらよいかを記事にされています。

もし、ご自分の資格者証がここに掲載されているものと違う!などの情報がありましたら、ぜひともご提供をお願いいたします。

9.謝辞

本ページを作成するにあたり、資格者証画像を提供いただいたA氏ならびに生涯受験生様(Web)、まったり様(Web)、Y様、たけちゃん様、U様、H様に感謝!

脚注

  1. 平成22年2月26日 電気通信主任技術者規則改正(総務省令第11号)による変更。

  2. 総務省報道発表資料 電気通信主任技術者規則の一部を改正する省令案等に関する意見募集の結果(2010-02-16)