ダイオードはゲルマ/鉱石ラジオの根幹をなす電子デバイス。これに何を用いるかでラジオの名称も変わり、鉱石ラジオとなったり、ゲルマニウムラジオだったりと“商品名”が変わるぐらいです。
もっとも最近は、ゲルマニウム・ダイオードがシリコン・ショットキーに置き換えられてます。が、不思議と「ショットキーラジオ」とは言いませんね。何か事情がありそうです。
海外においては徹頭徹尾 Crystal Radio という名称が主流で、妙に気になってしまったりも。勝手な推測ですが、Crystalを結晶ではなく鉱石と訳したのが原因なのかもしれません。
そんな、重要デバイスですから特性を測定してみたいのも当然のこと。他のサイトでも何度も試みられています。
ここでは巷に売っているものと、手持ちの部品をいくつか詳しく測定してみた結果をご紹介します。
なお、ダイオードは温度によって特性が変わります。もちろん一般家庭で測定ですので、温度はあまり一定していません。だいたいの傾向が分ればよいという程度の参考にしていただければと思います。
また、同じ品種、同じ製造ロットでもばらつきがありますので、測定結果を鵜呑みにしないようご注意ください。
追記:日本ITU協会様の記事で、このページの測定結果が引用されました。
秋葉あたりで手に入るダイオード数種類と、唯一持っていた固定式鉱石検波器を1個をチョイスしました。
秋月電子で500本入り袋を2500円で買った、我が家の標準的検波デバイス。高速シリコンショットキーバリアダイオード 定格:Vr:30V Id:15mA C=3pF(Vr=1V@1MHz)
写真1 1SS108
千石電商で売っている三洋のショットキー 定格: 40V 30mA 2pF(Vr=1V@1MHz)
写真2 SB0030-04A
点接触型ゲルマニウムダイオードの代表格。
ゲルマと言えば1N60というぐらい有名。メーカ不明品。またメーカ・類似品によって特性も違うらしく、製品の性質上も品質にばらつきがありますので、データシートもさほど当てにならないようです。定格:不明
ゲルマニウムダイオードとは言うものの、その動作原理によってショットキーバリアデバイスに分類されます。
2014年現在、入手自体はできますが、以前に比べて確保が難しくなりつつあるようです。
写真3 1N60
最近のダイオードに比べるとずいぶん大きいが、それでもガラスの長さは6mmしかない。
いつ頃入手したかあまり覚えてないのですが、JA8コールのOMさんから譲っていただいたような記憶あり。Philmore社製の固定式鉱石検波器。(今は手元にありません。大切に使っていたける方にお譲りしました)
1N60と取り替えても遜色なしの記憶。
写真4 固定式鉱石検波器
UHFミクサ用 ショットキーバリアダイオード。その昔は、マイクロ用途で大活躍していたらしい。
Vr:10V Id:35mA C=1pF(Vr=0V@1MHz) 鈴商かどこかで、100円で買いました。
写真5 1SS97
高速スイッチング用ゲルマニウムトランジスタ(アロイ型)。トランジスタをダイオード接続(B-C間短絡)してB-E間をA-Kとみたて比較する。
Vcbo:-18V Vceo:-16V Ic:24mA
だいぶ以前に購入したため、今は入手困難かもしれません。
写真6 2SA50
こちらは通常の小信号用PNシリコンダイオードで、他との比較用。
とにかく、1本あたり2円と安くて気軽に使えるダイオードの代表格(自分的には)。かつては、1S1588というのがありましたが、それより性能は格段によいです。
特性:Vr:30V Id:150mA C=3pF(Vr=1V@1MHz)
写真7 1S2076
以上のダイオードたちは、写真の接写の都合により大きさが分りにくいため、一覧写真も撮ってみました。大小があるとはいっても、とっても小さいです。
写真8 ダイオード集合写真
ダイオードの特性には大まかに言って、静特性と動特性があります。
動特性はいわば、交流信号を流したときの特性で、直流で測ったときとは異なった値になることがあります。
例えば、電極間の静電容量、半導体キャリアの移動速度、回復時間などさまざまなパラメータがありますが、測定が難しいのと、ゲルマラジオ用としてはさほど条件がきつく無いので、普通の静特性の測定になりました。
静特性に必要なのは、直流電源、電流計、電圧計の3つです。
図1.測定回路(原理図)
図1は原理図で実際の回路ではありませんが、このままでも電源にしっかりとしたものを用いて、電圧・電流計に工夫をすれば、測定自体できないことはありません。
当初、あまり考えず直流電源に「定電圧電源」を使っていましたが、実際の測定にかなり苦労を伴いました。
ここには、定電流電源を使うのがベターだと、体を張って覚えましたw。実際やってみないと分からないものですね
さて、実際の測定にあたっては、数ミリV~1Vまで測りたい、かつ、ダイオードの電流がごく小さい領域まで測定したいので、なるべくハイ・インピーダンスがよいと考えました。そのため、そのままテスタで測るのではなく、オペアンプのボルテージフォロワを入れての測定としました。
電流計はごく微小な領域から測りたいと考え、高入力抵抗のオペアンプ(LMC662)でI-V変換回路を組みました。1nAが十分に計測可能です。
電源には精密な電圧設定ができるよう、ポテンショメータ(ボリューム)で分圧した上でオペアンプを使ってボルテージフォロワを組みました。しかしながら、これは失敗であって、ボリュームを大小二つにして微調整できるようにしたものの、かなりクリチカルでピーキーなものが出来上がりました。
結局、ダイオードを安定して測るには電源の内部抵抗を上げる必要があって、最終的に数kΩ~数MΩの抵抗を直列にして測る羽目になったのです。
写真9.測定器外観
写真10.測定風景(周囲にあるボックスは無関係)
ここで、ダイオードの理論的な特性について説明します。
\[ i_d = I_s \left( e^{v_d/V_T}-1 \right) \tag{1} \]式(1)はショットキーとPN接合、どちらのダイオードでも適用できる便利な基本式です
ダイオードにはさまざまな特性がありますが、最も影響の大きい変数が逆方向飽和電流Isです。記号ではよくIsが用いられます。Iは電流、sがsaturation(飽和)の略称でしょう。
そのいわれは、ダイオードに逆電圧をかけたときに流れる最大飽和電流です。
グラフ1.逆方向飽和電流(理想)
一般的なダイオードの場合、おおむね0.1V以上の逆電圧になるとなかなか電流が増えません。もちろん増えたらダイオードとして失格です。この飽和値がIsです。
このIsを元に、順方向電圧をかけたときの電圧-電流特性を描くとグラフ2のようになります。
グラフ2.Is別のダイオードV-I特性(理想)
単純には、Isの値が大きいほど低電圧でスルスル電流が流れるので、ゲルマ/鉱石ラジオとしてはIsが大きい方が感度がよく、好ましいといえます。
次に、熱電圧$V_T$です。これは主に温度によって決定される定数。半導体物理だと下にある式(2)の$nkT/q$という表記が好まれますが、電子回路ではそれら定数をまとめた$V_T$(Thermal Voltage)と言う記号が好んで使われます。
\[ V_T = n \frac{kT}{q} \simeq n \times 26 [mV] \ \ \ (T=300 \mathrm{[K]}) \tag{2} \]ここで、各変数は
ちなみに、温度に関係無さそうなフリをしている定数$I_s$の方が温度に敏感なのでご注意を。シリコンに一定電流を流しているとき室温では-2mV/K程度の温度特性が出る事で有名です。日常?で体験する半導体の温特は、ほとんどがIsの影響によるものです。
上記は理論的なダイオード式でしたが、現実には内部抵抗成分がありますから、測定値にはその抵抗効果が加わってきます。
図2.内部抵抗を考慮したダイオードモデル
ダイオードと並列になっている図2の並列抵抗成分Rpは、逆電圧が加わったときの影響を考慮したもので、数百kΩ以上となるのが一般的です。このRpはゲルマ/鉱石ラジオへの影響が意外に大きいようです。
グラフ3.内部抵抗を考慮した逆電圧特性
それから、ダイオードと直列になっている直列抵抗成分Rsは、順方向V-I特性がある電圧以上で直線的になる理由を考慮したものです。検波用ダイオードであれば、数Ωから数百Ωの範囲となるでしょう。
これらの抵抗は、ある範囲で等価的に求められるのであって、実際には非線形抵抗成分です。つまり測定する電圧・電流範囲によってその「見かけ抵抗」が変わって来るのが厄介なところ。電流を多めに流すと発熱の影響なんかもあって余計に面倒を抱え込みます。まぁターゲットを絞って測定するのが良いのでしょうね。
グラフ4.内部抵抗を考慮した順電圧特性
グラフ5は、各ダイオードの順方向電圧と電流のグラフです。一般に、低い電圧で立ち上がってくれるダイオードの方がゲルマ/鉱石ラジオに適しています。
グラフ5.各種ダイオードの順方向電圧-電流特性
測ってみると、その差は一目瞭然というべきでしょうか。かなり違いが分りやすくなりました。
不思議なことに、ゲルマニウムトランジスタ2SA50の立ち上がりが非常に優秀です。200mVを越えたあたりで垂直に上っています。かなり理想的な特性です。
ついで、1SS108。立ち上がりは最も良いものの、途中で斜めの直線になっています。
これはダイオードとしては、直列抵抗分Rsが大きいことを表しています。角度から計算して70Ωから80Ω程度の抵抗となり、やや悩む結果です。
ゲルマ/鉱石ラジオ用としは問題ないかもしれません。
1SS108より直線性が少なく、抵抗成分が少ないですが、立ち上がり電圧が1N60に比べても高いので、非常に悩む結果です。
意外な結果でした。ダイオード特性そのものは素直なのですが。立ち上がり電圧が非常に高く、鉱石検波器にも劣る結果に。
ゲルマ/鉱石ラジオには適さないようです。
1N60は古いデバイスですから、ショットキーバリアダイオードと比べると分が悪いです。原理的には同じはずなんですけれどもね。
300mV前後から直線になっていて、抵抗成分が支配的になっていますが、その角度は1SS108に比べて小さく、90~100Ωぐらいの抵抗成分と計算できます。
その代わり、低い電圧まで特性が伸びているので、ゲルマ/鉱石ラジオ用途としては悪くないです。少なくとも鉱石検波器には十分勝てる特性。ただし、大きく差を離してという訳ではありませんが…。
こちらはシリコンダイオードですので、比較は難しいですが、特性そのものとしては、いかにもダイオードというぐらい素直な特性です。
次は、逆方向電圧の特性(グラフ6)です。ダイオードが理論的に持っている逆方向電流は飽和電流Isですから、この電流が大きいほど、感度が良くなります。
しかし、実際には半導体障壁以外での抵抗成分Rpによる漏れ電流もあるので、単純に多ければ良いというわけではありません。0.1V以上でグラフの傾きが水平になっていることが望ましいところ。
グラフ6.各種ダイオードの逆方向電圧-電流特性
グラフ6を見ると、1SS108が飛びぬけて逆方向電流が多いです。先ほどのグラフ5とは、目盛りが違いますので注意してください。(電流がmAからμAへ、電圧がmVからVへ)
おおむね、各ダイオードとも0.1Vに至るまでの間に、飽和している様子が見られます。これより右側の電流はおそらくオーム性(抵抗成分)の漏れ電流でしょう。
本来であれば、立ち上がり電圧が低いダイオードほど、逆方向の電流は大きくならなくてはなりません。グラフ1の順方向グラフと比較しても、その傾向が一致していることが分ります。
この結果を見る限り、1SS108のIsが大きく、高感度ゲルマラジオ用に適している可能性が高まります。ただし、逆電圧に比例した電流も盛大に流れているので、200kΩ~700kΩのRpがあり、同調回路への負担が心配だったりします。
一方、1SS97やSB0030-04Aは、かなり漏れが小さく。電気回路上のダイオード素子としては、かなり優秀な特性を持っている様子。
ダイオード種別 | Rp (ΔVr/ΔId) | 測定条件 Condition |
---|---|---|
固定鉱石 | 9.8MΩ | 0.5V ≤ Vr ≤ 1V |
1N60 | 2.3MΩ | 0.5V ≤ Vr ≤ 1V |
1SS108 | 460kΩ | 0.6V ≤ Vr ≤ 1V |
2SA50 | 17MΩ | 0.6V ≤ Vr ≤ 1V |
SB0030-4A | 420MΩ | 0.5V ≤ Vr ≤ 1V |
1SS97 | 12GΩ | 0.5V ≤ Vr ≤ 1V |
1S2076 | 測定不可 | - |
これまでのグラフでは、グラフの小さい値の部分が分りずらいので、nA級電流計の本領を発揮して、片対数グラフにしてみたのが、グラフ7です。
理想ダイオードに近い特性であれば、ほぼ一直線のグラフとなります。
グラフ7.各種ダイオードの 順方向電圧-電流(片対数)
グラフ5ではmA表示でしたが、こちらでは、一応ですけれども0.1nAまで表示しています。
1S2076 さすがシリコン、一直線です。これが理想のダイオード特性。500mV前後の再結合電流と拡散電流の境目も見えたりするぐらい模範的です。もちろん、グラフは一番右端ですから、そのままラジオには使えませんけども。
1SS108 低電圧領域では一番左端にいて、かなり飽和電流が大きいのですが、直列抵抗成分が大きいせいでべちゃーと曲がっています。良否に悩む結果。結果的に感度は一番よさそうですけども。
2SA50 対数直線性と高い飽和電流を両立させているように見える。ゲルトラ、ヤヴァイ、何か分らないが、優秀すぎ。
1SS97、SB0030-04A 特性が優秀。でも、逆飽和電流が小さすぎて、特に1SS97はゲルマ用には向かないかも。(強い電波が受かるならいい)
固定鉱石、1N60はだいたい1SS108と似たようなグラフですね。
これらの測定値をまとめて、モデルに一致するパラメータを求めてみました。これらの値は、測定する電流領域で変わってくるものですから、ゲルマ/鉱石ラジオ用としてよく使う値を抜粋しています。(測定条件欄)。
ダイオード種別 | Is | VT | Rs | 測定条件 Condition |
---|---|---|---|---|
1N60 | 0.564μA | 30.1mV | 126Ω | 2.3 μ ≤ Id ≤ 360μA |
2SA50 | 0.879μA | 25.6mV | 0.92Ω | 5.4μ ≤ Id ≤ 300μA |
1SS108 | 3.38μA | 26.6mV | 65.5Ω | 18μ ≤ Id ≤ 380μA |
1S2076 | 10.0fA | 28.0mV | 0.0Ω | 0.1μ ≤ Id ≤ 4mA |
SB0030-4A | 8.06nA | 25.7mV | 12.8Ω | 0.4μ ≤ Id ≤ 370μA |
鉱石 | 0.113μA | 30.4mV | 165Ω | 1μ ≤ Id ≤ 340μA |
1SS97 | 266pA | 25.0mV | 15.0Ω | 2.6n ≤ Id ≤ 380μA |
なお、1S2076はRsが-0.7Ωと算出されてしまったため、便宜的に0Ωとています。明らかに測定誤差ですね。
また、参考に別サンプルの値を紹介しておきます。
ダイオード種別 | Is | VT | Rs | 測定条件 Condition |
---|---|---|---|---|
1N60 | 1.04μA | 29.9mV | 145Ω | 0.1μ ≤ Id ≤ 330μA |
2SA50 | 0.817μA | 25.3mV | 2.98Ω | 0.1μ ≤ Id ≤ 330μA |
上の測定で、ダイオードごとでかなり特性が違うことが分ります。とは言え、どれが最も優秀なのかという判断を下すのは、難しいことです。
少なくとも、なるべく高感度のラジオが良いと言うのであれば、1SS108や2SA50に軍配が上がるでしょうが、さまざまな条件によってその位置づけは変わりますので、絶対的なものではありません。
では、「ゲルマラジオ」「鉱石ラジオ」用途に限定した、各ダイオードの総評をしていきたいと思います。
おそろしく特性が良い。実際に700kHzでテストしてみても問題ありません。つまり接合容量的にも問題無く、Rsも数Ω、Rpも10MΩ超えと、マイナス点が見つからない完璧超人。
おそらく、低電圧で動作するゲルマニウムかつ、安定したPN接合というのが有利なのだと思われる。最大の欠点は入手性が極端に悪いこと。
他のGeトランジスタでも、似たような特性は出るでしょうが、そもそも入手が難しいです。よって、参考記録扱いになってしまいます。
検波用デバイスにしては飽和電流が極端に大きく感度的に有利。しかし度を越したその値は、入力インピーダンスの低下に直結してしまう諸刃の剣。(最悪値で8kΩまで低下)。
つまり同調回路への負担がきつく、感度低下しやすい両面性をもつ。
また、感度を上げようとしてハイ・インピーダンス検波しようとすると、その寄生抵抗成分Rpが悪さをしそう。この値は各ダイオードの中で最悪値(200kΩ~500kΩ)で、検波出力の一部を喰ってしまいます。
要約すれば、使い方次第ということで、扱いが難しい。
たとえば、2GHz帯の測定器を作成したとき、1SS108は最も楽に性能が出ました。おそらく50Ωでの低Z検波だったのが良い方向に作用したのでしょう。一方、ゲルマラジオとしては、性能的に際どいあたりで使用することになります。
感度がそこそこよく、Rpもさほど低くないなど意外に特性のバランスが取れています。やっぱり長年使われてきた実績というのはあなどれない!
何も考えずに使うなら、1N60がオススメという結果になってしまう悲しさ。
鉱石という原始的なデバイスの割に、大健闘しています。やや1N60を下回る程度という結果に。むしろRpについては、1N60を上回っている恐ろしさ。
下手に、最近のショットキーダイオードを使うよりも性能が出やすいと思われる(探り式だと調整次第で、1N60を上回る可能性も十分あります)。
難点は、直列抵抗成分の大きさですが、スピーカーを鳴らすなどのことを考えない限りは、目だった弊害にはならなさそうです。
やはり、最も歴史あるデバイスは、性能も必要かつ十分というところでしょうか。
シリコンダイオードのため、そのまま使えないものの特性が素直。バイアスをかけて使用するにはもってこい。
ゲルマ/鉱石用としては不適格。なにぶんシリコンダイオードに次いで感度が悪い。バイアスをかけるなら、1S2076を使用した方がよい。
ゲルマ/鉱石用としてはやや性能不足。バイアスをかけるにしても中途半端である。
以上となりますが、前提を変えると違った結論も導けますので、ご注意ください。今後は、もっとお気軽簡単に測定できる方法はないか?という課題と、特性が回路に影響する度合いをよく調べなくてはいけないと考えています。
それはナノアンペアを測定中に値がふらつく事でした。オペアンプが発振しているのかな?とか、ノイズが乗ってるかも?と…静電シールドしたり回路定数を変更したりしていましたが、一向に収まりません。
症状が一定でなく、何かのきっかけでふらふらするのです。だいたいこのような事象では、外部ノイズや発振が原因と相場が決まっています。
しかし、思いつく対策を施しても事象に変化がありません…対策を始めてから3時間ほど経ち、机の上の蛍光灯を落として小休止したその瞬間。針が正常に!
あっ、もしかして!?と再び蛍光灯を付けると、やはり値がズレる。そーっと、ダイオードの上に手をかざすと・・・見事、ふらつきは収まりました。何のことはなく、原因は光だったんです。
ガラス封入のシリコンダイオードが太陽電池と化し、蛍光灯の光で数nAの発電をしていたんですね。ナノアンペア級の測定は初めてだったので、こういう失敗もありました。
鉱石検波器を測定中。マイクロアンペアの電流レンジでしたが、突然、アナログメータの針がガツン!!!と振り切れました。
「うわぁ、何か短絡したか?」
と思いましたが、その直後、机の上に置いていた携帯電話に着信があったのでした。
何十年も前のデバイス、しかも鉱石なのに、UHFに感度があるなんて、おそろしい事実を目の当たりにしました。
いや、思い返してみれば、鉱石でマイクロ波を検波していたは歴史的事実です。つまり、それほど変なことではないんですが…まぁ、びっくり体験でした。